空を見上げると、そこには雲が流れ、風が吹き、時には雨が降ります。
何気なく見ているこの景色の裏には、必ず理由があります。
「なぜ雲は浮かんでいるのか?」
「どうして急に雨が降るのか?」
「風はどこからやって来るのか?」
気象予報士の学びは、この“なぜ”をひとつずつ解き明かすことから始まります。
最初は少し難しく感じるかもしれません。専門用語も数式も出てきます。
けれど、仕組みを理解していくうちに、空を見上げるのが楽しくなります。
やがて、天気図から明日の天気を読み、衛星画像から雲の動きを予測できるようになります。
それは、ちょっとした魔法を手に入れるような感覚です。
私たちの講座は、はじめて学ぶ方でも合格までの力を養えるよう、基礎から一歩ずつ積み上げる構成になっています。
勉強を進めていくと「難しそうだから無理かも」から「もっと知りたい!」へと、 あなたの気持ちはきっと変わっているはずです。
空は、あなたにたくさんのヒントをくれます。 さあ、気象の世界へ一歩踏み出しましょう。

雲と雨と風が生まれるまでの物語
1. 空では何が起きている?
私たちの頭上には「大気」という分厚い空気の層が広がっています。
その一番下の層「対流圏」は、高さ8〜16kmまでの範囲で、雲や雨、風など、日々の天気のほとんどがここで生まれます。
空は静かに見えても、常に空気が動き、温度や湿度が変化しています。その変化を読み解くのが、天気予報の出発点です。

◆気象予報士として学ぶこと
大気の構造と性質(温度の変化、層の特徴)天気の変化が起こる「対流圏」の重要性気象観測データ(気温、湿度、風)の読み取り方
2. 雲はどうやってできるの?
地表が太陽に温められると、水が蒸発し、水蒸気となって空へ。温められた空気は軽くなり、周りの空気より上にふわっと上昇します。上空では気温が低くなるため、水蒸気が冷やされ、小さな水滴や氷の粒になります。これがたくさん集まったものが「雲」です。雲がどうやってできるのかを定義だけでなく、具体的な数値でも見ていきます。

◆気象予報士として学ぶこと
空気が上昇すると温度が下がる「断熱変化」飽和水蒸気量と露点温度雲の種類と高さ、発生の条件
3. なぜ雲は空に浮かんでいるの?
雲をつくる水滴や氷の粒はとても小さく、雲粒で半径0.001mm0.01mmくらい、雨粒で半径1mm前後。重力で落ちようとしても、空気の流れや抵抗が支えとなり、空にとどまります。そのため、雲はふわふわと漂っているように見えるのです。

◆気象予報士として学ぶこと
雲粒の大きさや落下速度の計算空気抵抗と浮遊の関係雲の寿命や移動の仕組み
4. 雨はどうして降るの?
雲の中では水滴や氷の粒が衝突して成長します。 十分に大きく重くなると、空気の抵抗では支えられなくなり、地上へ落ちてきます。暖かい時は水のまま雨に、寒い時は雪やあられに変わります。

◆気象予報士として学ぶこと
降水のメカニズム(氷晶過程と降水過程)降水強度と気象レーダー観測雨や雪の予測モデルの基礎
5. 地球が回ると何が起きる?
地球は1日に1回、自転しています。この回転によって、空気や海の流れはまっすぐではなく曲がります。北半球では右に、南半球では左に曲がる力を「コリオリの力」と呼びます。

◆気象予報士として学ぶこと
コリオリの力の数式と風向への影響緯度と風の曲がり方の関係大気大循環(貿易風、偏西風)の基礎
6. 風はなぜ吹くの?
空気は、高い気圧(高気圧)から低い気圧(低気圧)へ流れます。日なたと日陰、海と陸など、場所によって温まり方が違うため、気圧の差が生まれます。その差を埋めようとして空気が動き、風となります。

◆気象予報士として学ぶこと
気圧傾度力と風速の関係天気図から風を読む方法地形や地表の影響による局地風(海風・山風など)
7. 天気はこうしてつながっている
- 太陽が地面や海を温める
- 水が蒸発し、水蒸気になる
- 空気が上昇して冷え、雲ができる
- 雲が成長して雨や雪になる
- 気圧差と地球の回転で風が吹く
すべてはつながっていて、ひとつの変化が別の現象を引き起こします。
気象予報士はこの「つながり」を科学的に読み解き、予測へとつなげるのです。
◆気象予報士としての使命
気象予報士は、単に天気を予測するだけではありません。
気象予報士には、気象災害から人々の命と暮らしを守るという使命があります。
台風や豪雨、猛暑、豪雪などの気象災害は、正しい情報と迅速な判断があれば被害を減らすことができます。そのためには、晴れや雨の仕組みだけでなく、災害時の気象情報やその背景もしっかりと学ぶ必要があります。
さあこれから、基礎知識から実践まで使える気象の知識を身に着けていきましょう。