元サイト_専門⑤第7章アンサンブル予報/第8章予報精度の評価法

今回のポイント!

◎アンサンブル予報の意味・各図の読み取りや解釈ができるようにしよう!
◎予報精度評価の出題はほぼ毎回あるので、確実に点が取れるように学習しよう!

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NEW!! 2023年12月実施分

*動画や資料の無断掲載、転売等は受講資格の喪失および違約金が発生しますので、受講規約を遵守していただきますようお願いいたします。

投影資料 

 

ちょっとブレイク コストロスモデルで考える新型コロナウィルス

面白い記事を見つけました。一つはコストロスモデルで新型コロナウィルスを考えるという記事です。降水確率40%で傘を持っていくのはどちらが得か、という例えと、新型コロナウィルスの場合は?という記事

もう一つはパワハラ対策費用について。

「コストロスモデル」は天気以外でも使う理論ですので、検索するといろいろ面白い記事がありますね!あなたにとってのコストロスを考えみても面白いかも!

一通り終えたら確認テスト! ○or× 確認編

問1)アンサンブル予報の個々の予測結果の差をディファレンスという

× スプレッドという

授業資料(専門5回)3ページ(23年前期)

テキスト(専門)338ページ

問2)アンサンブル予報のメリットは、初期値の不確実性が要因となるランダム誤差を単独予報よりも小さくできることである

授業資料(専門5回)4ページ(23年前期)

テキスト(専門)340ページ

問3)アンサンブル予報のデメリットは、個々のメンバーに含まれる同種の系統的誤差の影響をうけることである

授業資料(専門5回)4ページ(23年前期)

テキスト(専門)341ページ

問4)アンサンブル予報はスプレッドが小さいほど予報精度は良い

授業資料(専門5回)4ページ(23年前期)

テキスト(専門)341ページ

問5)アンサンブル予報はスプレッドが小さいと常に予報精度は良い

× 「常に良い」とは言えない

授業資料(専門5回)4ページ(23年前期)

テキスト(専門)341ページ

問6)アンサンブル予報はメンバー数を増やせば増やすほど精度が良くなる

× メンバー数を増やしても精度には限界がある(天気予報が100%当たる時代はまだ来ていない)

授業資料(専門5回)5ページ(23年前期)

テキスト(専門)341ページ

問7)コントロールランとは初期値に誤差を与えずに一つの初期値で予報することである

〇 一つだからコントロールしながら走れるね!

授業資料(専門5回)6ページ(23年前期)

テキスト(専門)342ページ

問8)センタークラスターとはアンサンブル平均に近い7メンバーのクラスターである

× アンサンブル平均に近い6メンバーのクラスター   アンサンブルのセンターは神6!(AKB的に)

授業資料(専門5回)6ページ(23年前期)

テキスト(専門)343ページ

問9)センタークラスター平均とは予報の中央値と言える

〇 

授業資料(専門5回)6-7ページ(23年前期)

テキスト(専門)343ページ

問10)相当温位が高いところは気温が高いところである

△ 気温が高いだけでなく、湿度も高いところである (〇or×なのにという突っ込みをお待ちしています)

授業資料(専門5回)9ページ(23年前期)

テキスト(専門)346ページ

問11)等相当温位線の集中帯の北縁が前線の位置の目安である

× 等相当温位線の集中帯の縁が前線の位置の目安である これは実技でもよく出ますよ!実際に予報士になって予報をするときにも良く使いますよ!

授業資料(専門5回)9ページ(23年前期)

テキスト(専門)346ページ

問13)冬が暖冬になる時は太平洋側は晴れやすい

× 極域や大陸からの寒気の南下が弱く、南岸低気圧が東進しやすくなり、太平洋側で平年より降水量が多くなる。

授業資料(専門5回)14ページ(23年前期)

テキスト(専門)356ページ

問14)3か月予報と暖候期、寒候期予報は、地形の影響を受けるため、「地形結合モデル」を用いて予測している

×3か月予報と暖候期、寒候期予報は、海洋の影響を受けるため、「大気海洋結合モデル」を用いて予測している

授業資料(専門5回)21ページ(23年前期)

テキスト(専門)361-362ページ

問15)季節予報の平年値は過去10年の平均値である

× 過去30年の平均値である(10年に1度更新されます。更新された年は結構変わることがあって、驚くことがあります)

授業資料(専門5回)22-23ページ(23年前期)

テキスト(専門)363ページ

問16)北極域の地上気圧が平年より高く正偏差であれば、中緯度帯では平年より気圧が低く負偏差となるといった関係がある。こうした北極域と中緯度帯での相反する関係が成立する現象を北極振動という

授業資料(専門5回)33ページ(23年前期)

テキスト(専門)375ページ

問17)北極振動指数が正の場合、日本では厳冬傾向になる

× 日本では暖冬傾向になる

授業資料(専門5回)33ページ(23年前期)

テキスト(専門)375-376ページ

問18)適中率は予報した合4計回数に対して、雨が降った、降らなかったの予報が当たった回数で計算する

授業資料(専門5回)37ページ(23年前期)

テキスト(専門)402ページ

問19)空振り率とは、雨が降らないと言ったのに雨が降った回数である

× 雨が降ると言ったのに雨が降らなかった回数である  雨が降らないと言ったのに雨が降った回数は見逃し率である

授業資料(専門5回)38ページ(23年前期)

テキスト(専門)403ページ

問20)スレッドスコアとは、東京で雪が降るなど発生頻度が少ない現象に関して、予報・実況共に実況なしの場合を除いて的中率を計算する

授業資料(専門5回)40ページ(23年前期)

テキスト(専門)403ページ

問21)平均誤差による評価は値が小さいほど精度がよい

× 誤差が相殺されるのでそうは言い切れない。値が小さいほど精度が良いのは2乗平均平方根誤差による評価

授業資料(専門5回)45ページ(23年前期)

テキスト(専門)405-406ページ

問22)降水確率予報のブライアスコアによる評価は値が小さいほど精度がよい

〇 ブライアスコアの計算方法はおぼえよう!

授業資料(専門5回)47ページ(23年前期)

テキスト(専門)407-408ページ

第7章 アンサンブル予報

7-1 アンサンブル予報

数値予報の誤差について述べた次の文章の下線部(a)〜(d)の正誤を述べよ。(46S04 再掲)
数値予報には,数値予報モデルやその初期値が完全でないことなどに起因する誤差がある。
一日ごとの天気の予報ができるのは、現在のところ10日から2週間程度先までであるが、数値予報モデルの改善により (a)その予報が可能な期間は2か月程度先までは延びると考えられる。
初期値の不完全さに起因する予報誤差は(b)予報時間が長くなるとともに大きくなる傾向がある。気象庁では(c)多数の異なる数値予報モデルを用いたアンサンブル予報を行い、その平均やばらつきの程度を求め、予報の基礎資料としている。(d)アンサンブル予報のばらつきが大きい時は気象要素の日々の変動が大きい可能性が高い

(a)

(a)誤り
現状数値予報の限界は10日〜14日程度
大気運動が持つカオス性から、今後数値予報モデルやコンピュータの性能が上がったとしても、限界が更に伸びることはない
※テキスト(専門)267ページの⑥ 269ページ

(b)

(b)正しい
誤差」は、予報時間が長くなるほど次第に拡大
※テキスト(専門)267〜268ページの⑨

(c)

(c)誤り
アンサンブル予報

少しずつ異なる初期値を多数用意し、モデルを使って多数の予報を行うもの
多数の異なる数値予報」が誤り
(別の機会に学ぶ テキスト(専門)338、341ページ )

(d)

(d)誤り
アンサンブル予報のばらつき(スプレッド)が大きいということは、信頼度が低いということ。
気象要素(例:降水量、温度など)の変動とは関係ない
(別の機会に学ぶ テキスト(専門)338、341ページ )

7-2 週間アンサンブル予報

図Aはある年の8月中旬の平均500hPa高度(実線)と平年差(塗りつぶし)の解析図である。また図B〜Dは旬の平均地上気圧(実線)と平年差(塗りつぶし)の解析図、旬の平均地上気温平年差の分布図、旬の日照時間平年比の分布図であり、それぞれア、イのいずれかが、図Aと同じ旬のものである。
図B〜Dにおいて図Aに対応するものを、アかイから選べ。
(50S15)

クリックすると別ウインドウが立ち上がります
図Aの分析

シベリア・沿海州〜オホーツク海〜カムチャツカ半島付近にかけ、強い正偏差

平年より等圧面高度が非常に高い
 高気圧が発生している

図Bで対応するのは

図B イ
図Aより地上にも高気圧があると考えられる

アとイで、
シベリア・沿海州〜オホーツク海〜カムチャツカ半島付近にかけて
地上に明瞭な正偏差があるのは「
⇒この高気圧は、時期的に「オホーツク海高気圧

図Cで対応するのは

図C ア
オホーツク海高気圧が発生
している時
高気圧の時計回りの風にのって
冷湿な北東気流北日本や東日本の太平洋側に吹き込みやすくなる

北日本や東日本の太平洋側を中心に気温が平年よりも低くなる
 平年に比べ気温が負偏差になっているのは「

図Dで対応するのは

図D イ
北東気流が流れ込む北日本や東日本の太平洋側などで起こる現象
低温 長雨 日照不足 霧など
平年に比べ日照時間が負偏差になっているのは「

以上、参考になるのは…

※授業資料(専門5回)13、17ページ(2022前期)
テキスト(専門)355〜356ページ、358〜359ページ
501、586〜587ページ

図A〜Cは4月のある日に作成された、120時間後、144時間後、 168時間後の週間アンサンブル予想図である。また、図ア〜ウはそれらに対応す る週間予報支援図(アンサンブル)のうち500hPa特定高度線、降水量予想頻度 分布(%)の予想であり、順不同で並んでいる。
図A〜Cに対応する図ア〜ウを組み合わせよ。
(47S11)

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図Aに対応するのは

図Aに対応するのは 図イ

図Aのポイント

①移動性高気圧が日本を覆っている
②日本の南海上に帯状の降水域
③中国東北区に低気圧 降水域はない

図イのポイント
①日本を覆う高気圧に対応する気圧の尾根がある
5400mの等高度線(クラスター平均)が北に凸になっている
②日本の南海上の帯状降水域と降水量予想頻度の場所がほぼ一致
③中国東北区にある低気圧に対応する弱い気圧の谷がある
5400mの等高度線(クラスター平均)が南に凸になっている
 降水域も見られない

図Bに対応するのは

図Bに対応するのは 図ア

図Bのポイント
①移動性高気圧が日本の東海上に抜ける
②日本の南海上に帯状の降水域 九州のほとんどが降水域
③中国東北区の低気圧が沿海州あたりまで 降水域も見られる

図アのポイント

①日本の東海上に抜けた高気圧に対応する気圧の尾根
5400mの等高度線(クラスター平均)が北に凸になっている部分が
 中国東北部あたりから、オホーツク海あたりに東進
②日本の南海上の帯状降水域と降水量予想頻度の場所がほぼ一致

降水予報頻度の北縁が西日本まで広がる
③中国沿海州付近に進んできた低気圧に対応する気圧の谷がある 降水域も

南に凸になる5400mの等高度線(クラスター平均)が東進し、より明確に
降水量予想頻度も出てきた

図Cに対応するのは

図Cに対応するのは 図ウ

図Cのポイント
①移動性高気圧が日本からさらに遠ざかる
②日本列島にかかる降水域 西日本から東日本をすっぽり覆う形に 朝鮮半島にも
③低気圧が沿海州あたりに 降水域が北海道にも見られる

図ウのポイント
①移動性高気圧が日本からさらに遠ざかる

5400mの等高度線が北に凸になっている部分が
さらに東進して千島列島あたりに

②日本列島にかかる降水域 西日本から東日本をすっぽり覆う形に 朝鮮半島にも

降水予報頻度が西日本から東日本まで覆うように 朝鮮半島も連なる
③低気圧が沿海州あたりに 降水域が北海道にも見られる
降水予報頻度が朝鮮半島から沿海州に連なっている
一部北海道のすぐ西にも

※授業資料(専門5回)7〜10ページ(2022前期)
 テキスト(専門)342〜360ページ

図は11月のある日の週間予報支援図(アンサンブル)の500hPa特定高度線、降水量予想頻度分布およびスプレッドの予想である。
500 hPa 特定高度線は5400 m、5700 m、5880 m それぞれの5 つのクラスター平均、降水量予想頻度分布は前24 時間降水量が5mm 以上予想されるメンバーの割合を示している。
また、スプレッドは、北緯30°〜60東経110°〜150°の領域の500 hPa 高度予想についてメンバー間の標準偏差の大きさを規格化したものである。
この図について述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ
(46S12)

(a) 降水量予想頻度分布が90%以上の領域(図のA)が144 時間後以降は見られなくなった。
その主な要因としては、予想時間が長くなるにつれ、5mm以上の予想降水域のメンバー間の空間的ばらつきが大きくなった可能性と、予想時間が長くなるにつれ、5mm以上の予想降水域が小さくなったメンバーが多い可能性とが考えられる。

(a) 正しい
問題文では
①5mm以上の予想降水域のメンバー間の空間的がばらつきが大きくなった可能性がある。
②5mm以上の予想降水域が小さくなったメンバーが多い可能性がある。
以上、2つの可能性があるとしている

①少しずつ異なる多数の初期値(メンバー)を与えて計算し、メンバーの予想する降水域がバラバラ
 →各メンバーの予測結果の平均を取るため、予想降水域は表現されにくくなる
②メンバー予想降水域が比較的まとまっている
 →時間が長くなるにつれて予想降水域が小さくなる、あるいは予想されなくなるメンバーも出てくる

(b) 168 時間後の予想では、オホーツク海付近の5400mの高度線予想のばらつきが大きい(図のB)。これにより、この付近の気圧の谷の深さはアンサンブル平均で予想される谷よりも深い可能性があることと、谷の通過する時間帯の予想に誤差が大きい可能性があることが判断できる。

(b) 正しい
右の中の図、T=168(168時間後)の図のBにある5400mの等高度線に着目
メンバーそれぞれが予測している等高度線の谷についてよく見ると、
問題文通り、谷の位置も深さもばらつきが見られる

(c) 192 時間後のスプレッドが168 時間後より小さい(図のC)。このスプレッドと降水の有無の適中率には強い負の相関関係があることから、九州地方の192 時間後の降水の有無の予報は168 時間後の予報より精度が高いことが期待される。

(c)誤り
スプレッドーメンバー間の予測結果のばらつき
T=168(168時間後)とT=192(192時間後)のスプレッドの数値
・168時間後の数値ー0.49
・192時間後の数値ー0.47
192時間後の方がスプレッドが小さく、予報精度の信頼度が高い

九州地方に着目し降水量予想頻度分布を比較
・168時間後ー雨を予想するメンバー10%以下
・192時間後ー雨を予想するメンバー10%~30% と不確実の割合が大きい
さらに、24時間の時間差・誤差も考慮すると、
スプレッドに0.49と0.47の差があっても、192時間の予報精度が高いわけではない

7-3 季節予報

表Aは、3か月予報における3か月平均気温の予報であり、表Bは、この期間の平年並の範囲を表している。これらについて述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ。ただし、平年並の範囲は、過去30年間(1981〜2010年当時)の出現率が、気温の低いほうから 33%〜67%をさしこれをその期間の平均値からの差で表している。(51S15)
(a) 気温が「高い」になる可能性は、西日本のほうが東日本よりも大きい。
(b) 気温が平年差+0.2°Cを上回る可能性は、沖縄・奄美のほうが西日本よりも大きい。
(c) 平年並の範囲を算出するデータの中に極端な高温の年があり、極端な低温の年はない場合、平年並の範囲は、東日本のように、平年差が正の範囲(東日本では 0.4°C)のほうが負の範囲(東日本では0.1°C)よりも大きくなる。

(a)

(a)誤り
平年より「高い」の確率が“同じ”「40%」が理由
正しくは
「気温が『高い』になる可能性は、西日本も東日本も同じ」

平年値の「平年より高い」、「平年並」、「平年より低い」の3つの区分

平年値を作成する
30個のデータのうち
①値の低い方から10番目までを「低い」のグループ
②11番目から20番目までを「平年並」のグループ
③21番目から30番目を「高い」グループ
3グループの出現率が等しくなるように決める
⇒この基準で分けた場合、
季節予報の計算結果がどこの「グループ」に入る確率が高いかを予想する
⇒この問題
「平年並みの範囲」の気温差は違うが、地域が違うので当然

(b)

(b)誤り
「気温が平年差+0.2℃を上回る可能性」について
西日本沖縄・奄美の場合を考察してみる

西日本 表Bより
平年並の範囲が−0.1〜+0.5℃
⇒「+0.2℃を上回るのは
平年並みの一部と、「平年より高い」の範囲
沖縄・奄美 表Bより
平年並の範囲が−0.1〜+0.2℃
⇒「+0.2℃を上回るのは
平年より高いの範囲のみ

「+0.2℃」を上回る確率について詳しく
西日本
+0.2℃を上回るのは

・「平年より高い」範囲 40%
・「平年並」の範囲の一部
沖縄・奄美
+0.2℃を上回るのは

・「平年より高い」範囲のみで50%
西日本の「平年並み」の範囲の一部について
+0.2℃を上回る範囲がどのぐらい占めるのかが
問題文などの情報からは判断できない

青点線の部分 どちらの地方が可能性が大きいのかわからない どっちにも可能性あり)
ジャッジできないので誤り
 大変いやらしい問題

(c)

(c)誤り
これもなぞなぞみたいないやらしい問題

平年値の「平年より高い」、「平年並」、「平年より低い」の3つの区分
平年値を作成する30個のデータのうち

①値の低い方から10番目までを「低い」のグループ
②11番目から20番目までを「平年並」のグループ
③21番目から30番目を「高い」グループ
3グループの出現率が等しくなるように決める

さて、「平年並み」の10個のデータで考えてみる

①この場合の平年値などを考えてみたい
平年値は
[(18×2)+(19×2)+(20×2)+(21×2)+(22×2)]÷10
=(36+38+40+42+44)÷10=200÷10
=20℃
平年値は「20℃」

②一つだけ「極端な高温」のデータを入れた場合を考えてみたい
(わかりやすく、ありえないぐらいのデータにしましたw)
平年値は
[(18×2)+(19×2)+(20×2)+(21×2)+(22+32)]÷10
=(36+38+40+42+54)÷10=210÷10
≒21℃
平年値は「21℃」


「平年値20℃」のとき
平年値との「差が正」のデータ4つ 平年値との「差が負」のデータ4つ 

「平年値21℃」のとき
平年値との「差が正」のデータ2つ 平年値との「差が負」のデータ6つ 

「極端な高温」のデータが入ることで平年並の範囲を考えた時
平年値が高温側に動くこと
平年差が正の範囲は小さくなり
平年差が負の範囲は大きくなる
(問題文は逆のことを言っている)
※授業資料(専門5回)21〜22ページ
テキスト(専門)362〜363ページ

1か月予報の気温の予報で発表される「高い」の確率について述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ。(47S15)
(a) 「高い」の確率が50%のときは、「低い」の確率も50%であることを表している。
(b) 「高い」の確率が40%のときは、「高い」階級が出現する確率が、気候的出現率より大きいことを表している。
(c) 「高い」の確率が50%の予報は、これと同じ予報を100回発表したとき、そのうち約50回は実際の気温が「高い」階級になると予測していることを意味している。

(a)

(a)誤り

平年より「高い」の確率が50%の時
⇒「平年並み」と「平年より低いの確率があわせて50%」になる
なお確率予報は10%単位」で出すため、
低いの確率は少なくとも40%以下
※授業資料(専門5回)21〜22ページ、24ページ
テキスト(専門)362〜363ページ、364〜365ページ

(b)

(b)正しい
平年値の「平年より高い」、「平年並」、「平年より低い」の3つの区分

平年値を作成する30個のデータのうち

①値の低い方から10番目までを「低い」の階級
②11番目から20番目までを「平年並」の階級
③21番目から30番目を「高い」の階級
3つの階級の出現率が等しくなるように決める
気候的出現率
この33%ずつの3つの階級

さて、
問題文より「『高いの確率が40%
33%ずつに別れた3つの階級と比べる
高いの確率が33%よりも確率が高いので
気候適出現率より大きいと言える
※授業資料(専門5回)21〜22ページ、24ページ
テキスト(専門)362〜363ページ、364〜365ページ

(c)

(c)正しい
降水確率予報と同じ考え方
です
※授業資料(専門5回)24ページ

7-4 1ヶ月予報

図A〜Cは3つの異なる年の8月に観測された日本の天候(月平均気温平年差(上)、月降水量平年比(中)、月日照時間平年比(下))を示しており、図ア〜ウはそれぞれ図A〜Cのいずれかに対応する月平均海面気圧(実線)と平年偏差(陰影)を示している。 図A〜Cと図ア〜ウを組み合わせよ。(57S15)

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図Aに対応するのは…

図A: 図ウ

北日本低温で降水量多く日照時間少ない
西日本高温で降水量少なく日照時間が多い
(東海から西の地方)
北日本で負偏差 西日本で正偏差を選ぶ

図Bに対応するのは…

図B:図ア

全国的に高温で日照時間も平年より多い
日本全体で正偏差のものを選ぶ
日本列島に張り出す太平洋高気圧の勢力が強い

図Cに対応するのは…

図C:図イ
全国的に低温
降水量も広い範囲で多く日照時間も少ない
オホーツク海高気圧の勢力が強い
太平洋高気圧の張り出しが弱い
北日本で正偏差(オホーツク海高気圧に対応)
東日本・西日本で負偏差(太平洋高気圧に対応)

ひょっとしたらオホーツク海高気圧に引っ張られて
図ウを選んじゃうかも…

図ア〜ウのポイント!

ポイント
盛夏(8月)の月平均海面気圧と平年差の見方

注目は、
太平洋高気圧の勢力」や「オホーツク海高気圧」の勢力
図ア

太平洋から日本付近にかけて平年偏差がプラスの暖色系が広がる
太平洋高気圧の勢力が平年より強い
日本列島は、全国的に高温と判断。
図イ

オホーツク海平年偏差がプラスの暖色が強い
オホーツク海高気圧が平年より強い
北日本の太平洋側から関東にかけて、冷たく湿った北東気流が流れ込む
低温・日照不足になりやすい
また、
東日本から西日本では、平年偏差がマイナスの寒色系
太平洋高気圧の勢力が平年より弱く、低温・冷夏傾向
図ウ

北日本で平年偏差がマイナスの寒色系
西日本から南西諸島でプラスの暖色系

北日本では太平洋高気圧の張り出しが弱く
低温や多雨・日照不足となりやすい
東海から西日本 普通の夏

② 図A〜Cは、ある年の12月の大気の循環場を表した図である。これらの図について述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤を述べよ。(55S15)
図Aでは、太平洋赤道域中部は外向き長波放射量OLRが正偏差で対流が不活発、インドネシア周辺はOLRが負偏差で対流が活発となっており、(a)エルニーニョ現象時の特徴がみられている。図AのOLRの分布に対応して、図Bでは、200hPa の大気の流れはインドシナ半島から中国付近で高気圧性循環の偏差となっており,日本付近から日本の東海上で低気圧性循環の偏差となっている。これは、(b)亜熱帯ジェット気流が日本付近で平年に比べ北に大きく蛇行していることに対応している。図Cでは、500hPa高度がシベリア北部で正偏差,日本付近で負偏差となっている。これは、(c)寒帯前線ジェット気流の蛇行により日本付近に寒気が南下しやすいことに対応している。

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(a)

(a)誤り
エルニーニョではなく
ラニーニャ現象の特徴
図A:外向き長波放射量(OLR)
わかりやすく言えば、宇宙から見た長波放射量の多少
OLRが正偏差:対流不活発
OLRが負偏差:対流活発
外向き長波放射量(OLR)を知らなくても、問題は解ける

大切なのは
OLRが正偏差:対流不活発
OLRが負偏差:対流活発

エルニーニョ現象ラニーニャ現象特徴が理解できていれば
図から
対流が活発な場所不活発な場所さえ読み取れれば問題は解ける

さて
エルニーニョ現象ラニーニャ現象を整理しておこう

エルニーニョ
南米沖の冷水湧昇が弱い
赤道太平洋中部で対流活発
ラニーニャ
南米沖の冷水湧昇が強い
赤道太平洋西部で対流活発(インドネシアとか)

そこで
図Aで対流が活発な場所を見てみると

OLRが負偏差対流活発である場所(青い表示)は、西部太平洋
ラニーニャ現象の特徴を示している
※エルニーニョ現象 ラニーニャ現象
テキスト(一般)304〜306ページ
気象庁ホームページ エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html

(b)

(b)誤り
図B:流線関数について

「流線関数」という言葉をを知っておく必要はありません
図の注釈を見ると、読み方が書いてある
しかも問題文を読むと…

200hPaの大気の流れは
インドシナ半島から中国付近高気圧性循環の偏差
日本付近から日本の東海上低気圧性循環の偏差
と書いてある
これさえわかれば解ける!

それを図に落とし込むと…

ジェット気流は日本付近で
北ではなく南に蛇行していることがわかる

流線関数
「粒子1粒の流れの動きを関数」で表したもの
正の値(右回りの流れ)
北半球(南半球)では高気圧性(低気圧性)循環
負の値(左回りの流れ)
北半球(南半球)では低気圧性(高気圧性)循環
等値線が混んでいるところほど風が強いという性質がある
流線関数
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/diag/note.html
しかしこんなことを知っておく必要はありません

(c)

(c)正しい
等高度線が日本付近で南に凸になっていて
寒気が入りやすい流れ
→図Bとも対応している
※授業資料(専門5回)13、17ページ
 テキスト(専門)368〜375ページ

見慣れない難しい言葉に惑わされない!

見慣れない図」や「聞き慣れない難しい言葉に惑わされてはいけません!
気象予報士試験では、テキストや授業、
そして気象庁のホームページでもめったに出てこないような図や言葉が出てくる時がある。
しか〜し!
そのような問題のときは
言葉の意味を補うような「ヒント」が問題文に書かれている
図の「注釈」に図の読み方が書かれている
このような場合がほとんどです。

今回も図のA,Bや「流線関数」など
見慣れない、聞いたことない言葉が出てきましたが
問題文や図の注釈を冷静に読めば、
この解説に記したように、「エルニーニョ、ラニーニャの特徴」がわかっていれば、簡単に解ける問題になります!

気象予報士試験の問題で
「こりゃどうしようもないわ…(-_-メ)」という難問・奇問は、あっても1問ぐらいです
(計算問題除く)
本来難しい分野である物理や数学の知識が完全ではなくても解ける問題がほとんどです
まずは、
授業やテキストで学んだことをきちんと理解することが大切
そして
冷静に問題や図の注釈まできちんと読み込んで解くようにしましょう!

③ 図は、「月平均500hPa 高度と平年偏差」、「月平均海面気圧と平年偏差」、「月平均200hPa風速」であり、それぞれのa、b は、北日本~西日本において夏に低温となった年の7月、または高温となった年の7月のいずれかである。北日本~西日本において夏に低温となった年の7月の図として正しいものをそれぞれ選べ。(45S15)

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月平均500hPa 高度と平年偏差 (a)or(b)

それぞれ、「平年偏差」に着目し、平年に比べてどんな偏りがあるかを見出そう
特に「色分けに注目」を!

正解(a)
500hPa対流圏の中間 大規模な大気の流れを代表する高度

回答 (a)

図(a)
北欧とカムチャツカ半島付近では北に凸状
平年偏差ではいずれも赤色がかり強い正偏差
平年より高度がかなり高い
ブロッキング高気圧が出現したときの特徴

日本付近では平年偏差で、水色など青色
平年よりも高度が低く、7月の平均気温が低い

図(b)
日本付近の高度が高く、太平洋高気圧(5880m)が張り出している
⇒いわゆる「真夏の状態」

月平均海面気圧と平年偏差 (a)or(b)

正解(b)
海面気圧ー地上天気図とほぼ相似

図(a)
沖縄付近〜東日本にかけて正偏差域
勢力が強い感じではないが太平洋高気圧に対応
7月の平均高度が高いことから、気温も高い

図(b)
オホーツク海付近で強い正偏差
⇒オホーツク海付近で平年より海面気圧が高い
 オホーツク海高気圧が出現していることを示す
 →オホーツク海からの冷たく湿った東よりの気流が卓越し東日本での冷害の要因に

200hPa風速 (a)or(b)

正解 (b)
黒の矢印が強風軸の位置で青色が濃いほど風速が強い

図(a)
強風軸 北海道付近
風速ー特に強いわけではない
   ⇒太平洋高気圧に覆われやすくなる

図(b)
強風軸 風速強い
強風軸は東北南部から北陸まで南下
⇒東日本から北日本にかけては寒気が入り込みやすく
 冷夏になりやすい

④ 北極振動について述べた次の文章の下線部(a)〜(d)の正誤を述べよ。(44S15)
ジェット気流の変動と関連した北半球規模で卓越する大気の変動として、北極振動が知られている。
北極振動は、(a)北極域と中緯度域の気圧の平年差が逆符号となる偏差パターンであり、冬期に卓越し、成層圏にまでおよぶ背の高い構造をもつ。北極振動の変動と日本の天候は密接に関連しており、極付近の気圧が平年より低く、中緯度帯の気圧が平年より高いパターンのとき、日本では(b)暖冬となりやすい。北極振動は、(c)亜熱帯ジェット気流の強弱に関連している。

(a)

(a)正しい
北極振動
北極域と中緯度帯での相反する関係が成立する現象

例えば
北極域の地上気圧 :平年より高く正偏差
中緯度帯の地上気圧
平年より低く負偏差
冬季の北極域と中緯度域の気圧の平年偏差の符号が相反する偏差パターン
※授業資料(専門5回)32〜33ページ
テキスト(専門)375〜377ページ

(b)

(b)正しい
北極振動指数
正の値

北極域の地上気圧平年より低く中緯度帯の地上気圧平年より高い
日本では暖冬傾向
負の値
北極域の地上気圧平年より高く中緯度帯の地上気圧平年より低い
日本では寒冬傾向

左図
北極振動指数 正の値
北極域の気圧が平年より低い 中緯度帯の気圧が平年より高い
中緯度域は暖冬傾向 
偏西風が蛇行せず、結果北極域の寒気を閉じ込め
中緯度域へ寒気が流れ込みにくい
このときは、北極域を取り巻く偏西風の流れが強い温度風の関係より
右図
北極振動指数 負の値
北極域の気圧が平年より高い 中緯度帯の気圧が平年より低い
中緯度域は寒冬傾向 
偏西風が蛇行し、中緯度域に寒気が流れ込みやすい
北極域を取り巻く偏西風の流れも弱い

問題文より「正しい
※授業資料(専門5回)32〜33ページ
テキスト(専門)375〜377ページ

(c)

(c)誤り
亜熱帯ジェット気流
北緯30度付近の対流圏界面を流れ、流れの変動が小さいのが特徴
寒帯前線ジェット気流
亜熱帯ジェット気流より高緯度側
北極域の気圧の傾向によって、
強いときの安定した流れと弱いときの蛇行した流れの変動が大きいのが特徴
北極振動に関係するのは当然寒帯前線ジェット気流
※テキスト(一般)227〜228ページ
 テキスト(専門)583〜584ページ
 授業資料(専門5回)32〜33ページ

⑤ 図A、Bは7月のある日を初期日とした、10〜16日先の予想を平均した2週目の予想図であり、Aは500hPa 高度(実線) とその平年差(破線、塗りつぶしは負偏差)、Bは降水量平年差(塗りつぶしは負偏差)を示している。これらの図について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤を述べよ。(49S15)

(a) 図Aで東シナ海付近は広く負偏差となっており、このようなときは沖縄・奄美には湿った空気が流れ込みやすい。

(a) 正しい

図は7月のある日で、太平洋高気圧が日本付近まで張り出しかけている梅雨明けあたりの状況のよう

沖縄や奄美付近が負偏差この地域は気圧の谷
東の太平洋高気圧の縁に位置するので、南から湿った空気が流入しやすい

(b) 図Aでベーリング海から東シベリア付近は負偏差となっており、 このようなときは地上でオホーツク海高気圧が発生することが多い。

(b) 誤り

オホーツク海高気圧が発生・発達するためには、その付近の高度場が高くリッジになっているのが普通

等高度線を見ると、全体としてリッジ場ではなく負偏差
→オホーツク海高気圧が発生しやすいとは言えない

(c) 図Bでフィリピンの北では降水量が多く、対流活動が活発となっており、このようなときは太平洋高気圧の本州付近への張り出しが強いことが多い。

(c) 正しい
フィリピン付近で対流活動が活発
その北側にあたる日本列島は太平洋高気圧に覆われ晴れて気温が高い日が多い

フィリピン付近が負偏差 その北側(日本列島)と南側は正偏差
これは「PJパターン」というテレコネクションの一種
・フィリピン付近の対流活動が活発な夏 → 日本は晴天で気温が高い
・フィリピン付近の対流活動が不活発な夏→ 日本は冷夏になりやすい
PJ は Pacific-Japan の略

⑥ 図は上から順に「850hPa気温」、「850hPa高度」、および「外向き長波放射量」の月平均値の分布図であり、それぞれの図の(a)、(b)は、6月または9月のいずれかである。
6月の分布図をそれぞれ選べ。
(43S15)

850hPa気温

6月は図(a)

図(a)と図(b)を比較
・大陸の気温 図(a)が高い
 6月の方が夏至に近く、受ける太陽放射エネルギーが大きい
・水平温度傾度 図(a)が小さい
(水平温度傾度 水平方向の温度差が小さい)
 梅雨前線ーアジアモンスーンの湿った気団とその北側での乾いた気団との間で梅雨前線が形成
 水平温度傾度が小さい 水蒸気量の傾度が大きいのが特徴

850hPa高度

6月は図(b)

500hPa同様、
850hPaの高度も太平洋高気圧や気圧の谷などに対応

太平洋あたりの高度
図(a) 日本の東海上から東日本に接近
図(b) 日本の南海上で日本付近は高度が低い

外向き長波放射量

6月は図(a)

外向き長波放射量ー地球から宇宙空間に放出される地球放射、すなわち赤外線放射量
(学科 テキスト第4章 大気における放射参照)

対流活動が活発
 積乱雲の雲頂高度が高い すなわち雲頂温度が低い
 長波・赤外線の放射量が小さい
対流活動不活発
 宇宙空間に放出される長波・赤外線量が大きい

もっと簡単に言えば、
低圧部ー長波・赤外線放射量小さい
高圧部−長波・赤外放射量大きい

図(a) 6月に対応
外向き長波放射量の小さい領域
・ベンガル湾~大陸の南岸~日本付近
・梅雨前線に対応
大きい領域
・太平洋高気圧に対応
・張り出しが日本の南海上で離れている

図(b) 9月に対応
外向き長波放射量の大きい領域≒太平洋高気圧
日本列島にまだ張り出している

⑦ 図は、ある年の1月の北半球月平均500hPa高度とその平年偏差を示している。この図に見られる循環場の特徴と、それから推定される1月の日本の天候について述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤を述べよ。
北半球中緯度帯は、月平均500hPa高度の正偏差域と負偏差域が交互に並び(a)偏西風の蛇行が大きくなっている。また、ユーラシア大陸上の北緯30°帯にも正偏差域と負偏差域が交互に並んでいる。このように北半球規模で正偏差域と負偏差域が交互に並ぶ波列状のパターンが卓越する現象は、(b)北極振動と呼ばれている。この現象がこの図のようなパターンで現れるときには、日本付近では (c)大陸の寒気の影響を受けやすく、全国的に低温となりやすい

(a)

(a)正しい

日本の上空を通る5400mの等高度線を探ると
蛇行しているのがわかる

(b)

(b)誤り ※ひっかけ
北極振動
北極域と中緯度域の気圧(高度)の平年差が逆符号となる偏差パターン

※授業資料(専門5回7章)33〜34ページ(22後期)
テキスト(専門)375〜377ページ

さて、問題の図で考えてみる

赤囲い:正偏差 青囲い:負偏差
これを見ると
北極と日本だけの関係を見ると等高度線の偏差が逆になっている
(北極:正偏差 日本:負偏差)
しかし、他の地域の中緯度帯は必ずしも北極と偏差が逆になっていない
また、 等高度線が南北に蛇行(よって、偏西風も蛇行)
中緯度帯を見ると高度について正偏差負偏差交互に並んでいる

等高度線・偏西風が大きく蛇行する流れ
南北流型

等高度線・偏西風が蛇行しない流れ
東西流型

※授業資料(専門5回)13〜15、27、29〜31ページ(22後期)
 テキスト(専門)355〜356、368〜375ページ

(c)

(c)正しい
北半球月平均500hPa
高度の平年偏差がマイナス
平年に比べて高度が低い
平年に比べて気層の層厚の平均気温が低い

寒気が入りやすくなっている証拠
※授業資料(専門5回)13〜15、27、29〜31ページ(22後期)
 テキスト(専門)355〜356、368〜375ページ

7-5 3か月予報 暖候期・寒候期予報

① エルニーニョ現象について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る語句をそれぞれ選べ。(48S15)
エルニーニョ現象が発生すると、太平洋熱帯域の対流活動活発域が通常より(a) に偏り、フィリピン付近の対流活動が(b)となる傾向がある。この影響で、夏期は、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが(c)傾向がある。

(a) 東 or 西 (b) 不活発 or 活発 (c) 弱まる or 強まる ※一挙に答えられるでしょ?

(a)東 (b)不活発 (c)弱まる

エルニーニョ現象とラニーニャ現象を整理しておこう

エルニーニョ
南米沖の冷水湧昇が通常より弱い
赤道太平洋中部で対流活発
ラニーニャ
南米沖の冷水湧昇が通常より強い
赤道太平洋西部で対流活発(インドネシアとか)

エルニーニョ現象が発生した場合
南米沖の冷水湧昇が通常より弱まる
対流活発な場所が通常より東に移動する
・よってフィリピン付近の対流活動が弱まる
⇒その場合、
夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱まる

ちなみに
エルニーニョが発生した場合
赤道太平洋中部で対流活発
になる(負偏差・低圧部に)
その場合、西隣の
いつもなら対流活動が活発なフィリピン付近が
正偏差 高圧部
なる
一方で
北隣の日本付近負偏差低圧部になり
冷夏雨が降りやすくなる
※リバーシ(オセロ)みたいで面白いですね…

※テキスト(一般)304〜306ページ
気象庁ホームページ エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html
気象庁ホームページ 日本の天候に影響を及ぼすメカニズム
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino3.html

② 図A〜Cは、3か月予報の基礎資料となる、ある冬(12月、1月、2月)の数値予報による予想図である。これらの図に基づく予想について述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤を述べよ。(41S15 2013(H25)②)
図Aでは、東部太平洋赤道域の海面水温が平年より低く、インドネシア周辺では高く、(a)エルニーニョ現象時に見られる特徴が予想されている。図Aの海面水温分布に対応した降水分布(図略)を反映して、図Bでは、インドからインドシナ半島付近で高気圧性循環偏差、日本付近からその東海上で低気圧性循環偏差となっている。これは、(b)亜熱帯ジェット気流が日本の東海上で平年に比べ南に蛇行していることに対応している。図Cでは、日本付近は北海道を除き負偏差となっている。これらの大気の流れから、(c)日本付近では南ほど寒気が南下しにくいことが予想される
※古い問題でカラーではありません(ただし、良問)
 陰影がついているのが負偏差(授業でお知らせした青系の色)と思ってください。

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(a)

(a)誤り
図は「エルニーニョ現象」ではなく「ラニーニャ現象」発生時
南太平洋東部の海水温
エルニーニョ現象発生時
平年より高め
⇒海面湧昇が平年より弱いため
ラニーニャ現象発生時
平年より低め
⇒海面湧昇が平年より強いため


※テキスト(一般)304〜306ページ
 授業資料(一般8回11章)18〜25ページ(22後期)

(b)

(b)正しい

「見たことがない(´Д`)」「聞いたことがない(´Д`)」とサジを投げてはいけません!
脚注に、図の読み方が書いてあります!!
風は、流線関数の等値線に概ね平行に、数値が小さい側を左に見る向きに吹く
これを頼りに、図を読み解くと
陰影がついているところで、太平洋中部の等値線が閉じているところ
低気圧性循環
陰影がついていないところで、インド周辺の等値線が閉じているところに
高気圧性循環」が解析できる
(脚注にあるように、北半球の陰影が低気圧性循環偏差のところに「低気圧性循環」も解析できるため、整合性が合う)
以上を頼りに、値がとなるところが亜熱帯ジェット気流」と考えられる
それを見ると、日本の南で大きく蛇行しているのがわかる
⇒そのため図からも、北からの寒気が入りやすいことがわかる
(渦度、渦度0線と考え方がにてますね)

繰り返しますが、見たことない図だからといってあきらめないこと
必ずヒントがどこかにあります!

流線関数
水平方向の風:回転成分と発散・収束成分に分けることができる。
そのうち、回転成分の風を定義したもの
気象庁ホームページ「解説(大気の循環・雪氷・海況図表類)
(これの真ん中あたり)

(c)

(c)誤り
平年より高度が低い負偏差」のところは
平年より気温が低い
高度が低いところ
「層厚」の考え方から「気層の平均気温が低い
また(b)より
偏西風の蛇行によって寒気が入りやすい
※授業資料(専門5回7章)13、15、30〜31ページ(22後期)
 テキスト(専門)304〜306ページ 

第8章 予報精度の評価法

8-1 カテゴリー予報

表はある年の6 月上旬の、異なる予報区A、Bにおける1mm以上の降水の有無の予報と実況を示したものであり、AとBでは2日と5日の実況に違いが見られる。これらの予報の評価について述べた次の文(a)~(d)の正誤を述べよ。(45S13)

(a) 降水の有無の適中率は、予報区Aのほうが高い。

解く前に「あり、なし」の表をササッと作るようにしよう

(a)誤り
この問題での的中率
降水「あり」「なし」で予報し、実況で予報どおりになった回数を
 10日で割ったもの

  予報区A 降水あり 実況あり 3回
       降水なし 実況なし 3回 ⇒的中6回
       ⇒6÷10=0.6 60%
  予報区B 降水あり 実況あり 2回
       降水なし 実況なし 4回 ⇒的中6回
       ⇒6÷10=0.6 60%
  的中率は同じ

(b) 降水なしの予報の適中率は、予報区Aのほうが高い。

(b)誤り
降水「なし」の適中率
降水が「なし」と予報し、実況で予報の通り「なし」となった回数を
「なし」と予報した全体の回数で割ったもの


予報区A
・降水「なし」と予報した回数 5回
・その中で実況で「なし」だった回数 3回
3/5=0.6
予報区B
・降水「なし」と予報した回数 5回
・その中で実況で「なし」だった回数 4回
4/5=0.8

予報区Bの方が高い

(c) 見逃し率は、予報区Aのほうが高い。

(c)正しい
見逃し率
降水「なし」予報したが、実況で降水「あり」となった回数を
 全体の10日間で割ったもの


予報区A 見逃し2回 2/10=0.2
予報区B 見逃し1回 1/10=0.1

(d) 空振り率は、予報区Aのほうが高い。

(d)誤り
空振り率
降水「あり」予報したが、実況で降水「なし」となった回数を
 全体の10日間で割ったもの。


予報区A 空振り2回 2/10=0.2
予報区B 空振り3回 3/10=0.3

8-2 スレットスコア

① 下表は予報区Aと予報区Bにおける降水の有無の予報と実況の分割表である。これらの表を用いた予報精度の評価について述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ。(57S13)

(a) 「降水あり」予報の適中率は、予報区Aより予報区Bの方が高い。
(b) 降水の有無の適中率は、予報区Aより予報区Bの方が高い。
(c) 降水ありのスレットスコアは、予報区Aより予報区Bの方が高い。

(a)

(a)正しい
「降水あり」予報の適中率

「降水あり」予報をした回数のうち、「降水があった」回数の割合

予報区A
「降水あり」予報:5回+5回=10回
「降水があった」:5回
的中率5回÷10回×100=50%
予報区B
「降水あり」予報:4回+2回=6回
「降水があった」:4回
的中率:4回÷6回×100≒67%
「降水あり」予報の適中率は、予報区Aより予報区Bの方が高い。
※授業資料(専門5回)35〜36、40ページ
テキスト(専門)402〜403、404ページ

(b)

(b)正しい
降水有無の的中率


「降水あり」の予報をして「降水あり」
「降水なし」の予報をして「降水なし」
以上を総予報回数から割合を計算

予報区A
「降水あり」の予報をして「降水あり」5回

「降水なし」の予報をして「降水なし」75回
的中率
(5回+75回)÷100×100=80%

予報区B
「降水あり」の予報をして「降水あり」4回
「降水なし」の予報をして「降水なし」80回
的中率
(4回+80回)÷100×100=84%

降水の有無の適中率は、予報区Aより予報区Bの方が高い
※授業資料(専門5回)35〜36ページ
テキスト(専門)402〜403ページ

(c)

(c)誤り
スレットスコア

発生頻度の少ない現象(たとえば東京で雪が降る)について
「予報・実況ともに現象なし」の場合を除いて、適中率を計算する

スレットスコア=A÷(A+B+C)

スレットスコア

予報区A
「降水あり」の予報をして「降水あり」5回
「降水あり」の予報をして「降水なし」5回
「降水なし」の予報をして「降水あり」15回

スレットスコア
5回÷(5回+5回+15回)×100
5回÷25回×100=20%

予報区B
「降水あり」の予報をして「降水あり」4回
「降水あり」の予報をして「降水なし」2回
「降水なし」の予報をして「降水あり」14回
スレットスコア
4回÷(4回+2回+14回)×100
4回÷20回×100=20%

値が大きいほうが精度が良い
スレットスコアは、AとBは同じ
※授業資料(専門5回)39ページ
テキスト(専門)403〜404ページ

② 表は、ある期間における異なる予報区AおよびBの降水の予報と実況の分割表である。この表に基づく予報精度の評価について述べた次の文①〜⑤の正誤を述べよ。ただし、計算結果の有効数字は2桁とする。(34S14)

①予報区Aの適中率は、95%である。

① 正しい
的中率=(予報が当たった回数÷予報を発表した回数)×100
予報があたった回数
・予報・実況「降水あり」の回数
・予報・実況とも「降水なし」の回数の合計
(5+90)÷100=0.95

②適中率は、予報区Bに比べて予報区Aのほうが高い。

② 正しい
予報区Bの適中率
(20+70)/100=0.9
予報区AとBを比べると、Aの方が高い

③予報区Bにおける降水ありのスレットスコアは、0.67である。

③ 正しい
スレットスコア
予報・実況とも「降水なし」の回数を除外して計算した適中率
 発生頻度の少ない予報を評価する方法

実況「現象あり」÷(予報を発表した回数−予報・実況とも「現象なし」)

予報区Bのスレットスコア
20÷(100−70)≒0.67

④降水ありのスレットスコアは、予報区Bに比べて予報区Aのほうが高い。

④ 誤り
予報区Aのスレットスコア
5÷(100−90)=0.5

予報区Bの方が高い

⑤予報区Aにおける捕捉率は、63%である。

⑤ 正しい
捕捉率
⇒ある現象に対して事前にどれだけの確率でとらえることができたか
 予報・実況とも「降水あり」の回数÷実況で「降水あり」の回数

予報区Aの捕捉率
5÷(5+3)≒0.63

補足
見逃し率
「降水なし」予報したのに実況「降水あり」の回数÷予報を発表した回数
空振り率
「降水あり」予報したのに実況「降水なし」の回数÷予報を発表した回数

③ 表は予報区A と予報区B の降水の有無の予報と実況の分割表である。
これらの表を用いた予報精度の評価について述べた次の文(a) 〜(d) の正誤について述べよ
(47S13)

(a) 降水の有無の適中率は、予報区Aのほうが高い。
(b) 降水ありのスレットスコアは、予報区Bのほうが高い。
(c) 降水ありの見逃し率は、予報区A のほうが高い。
(d) 降水ありの空振り率は、予報区B のほうが高い

(a)

(a) 正しい
降水有無の的中率

 「降水あり」と予報し、実況で「降水あり」の回数と
 「降水なし」と予報し、実況で「降水なし」だった回数が的中数
 それを全予報回数で割ったもの
予報区A
(2+85)÷100=0.87
予報区B
(6+80)÷100=0.86

(b)

(b)正しい
スレットスコア

 的中数から「予報なし・実況なし」を除いたもの
  
予報区A
「予報あり・実況あり」の2回を
 100回から「予報なし・実況なし」の85回を除いて割ったもの
2÷(2+1+12)≒0.13
予報区B
「予報あり・実況あり」の6回を
100回から「予報なし・実況なし」の80回を除いて割ったもの
6÷(6+6+8)=0.3

(c)

(c)正しい
見逃し率
予報では現象がないと予想も、実況で現象があった数を全回数で割ったもの

予報区Aの見逃し率
12÷100=0.12
予報区Bの見逃し率
8÷100=0.08

(d)

(d)正しい
空振り率ー予報で現象があると予想も、実況で現象がなかった場合を全回数で割ったもの

予報区Aの空振り率
1÷100=0.01
予報区Bの空振り率は、
6÷100=0.06

④ 気象庁では,降水の有無に関する予報の評価を、予報期間内1mm以上の降水があった場合を「降水あり」として、予報と実況における「降水あり」と「降水なし」のそれぞれの場合に分類・蓄積して計算している。
表はある地域の1か月間の、毎日の降水の有無に関する予報と実況をとりまとめた分割表である。この表に基づく、「降水の有無」の適中率、「降水あり」の見逃し率,および「降水あり」予報のスレットスコアとして、適切な数値を選べ。
(43S13)
(a)降水有無の的中率  0.77 or 0.82
(b)降水ありの見逃し率 0.10 or 0.23
(c)降水ありのスレットスコア 0.56 or 0.69

(a)

(a)0.77
適中率


全予報回数(A+B+C+D)に対する、 予報が適中した回数(A+D)の割合
(A+D)÷(A+B+C+D)

降水有無の的中率

(9+14)÷30

=23÷30
=0.766≒0.77
※授業資料(専門5回)35〜36ページ
テキスト(専門)402〜403ページ

(b)

(b)0.10
見逃し率


全予報回数(A+B+C+D)に対する、 予報なし・実況あり(B)の回数の割合
実況で現象が起こったことを予報しなかった(見逃した)場合
見逃し率=B÷(A+B+C+D)

降水ありの見逃し率

3÷30

0.10
※授業資料(専門5回)35、38ページ
テキスト(専門)403ページ

(c)

(c)0.56
スレットスコア
予報・実況とも「降水なし」の回数を除外して計算した適中率
発生頻度の少ない予報を評価する方法


実況「現象あり」(A)÷(予報を発表した回数−予報・実況とも「現象なし」)
実況「現象あり」(A)÷(A+B+C)

スレットスコア

9÷(9+3+4)

=9÷16
0.56250.56
※授業資料(専門5回)35、39ページ
テキスト(専門)403〜404ページ

⑤ 表は、ある地域を対象として1か月(30日)間に出された雷の有無に関する予報と実況の分割表である。この表に基づいた予報精度の評価について述べた次の 文章の空欄(a)〜(e)に入る最も適切な語句または数値の組み合わせをそれぞれ一つ選べ。ただし、計算結果の有効数字は2桁とする。(39S14 2012(H24)②)
雷の有無に関する予報の適中率をこの分割表に基づいて評価すると、その値は(a)であり、この値は、同じ30日間に毎回雷なしという予報を出し続けた(これを持続予報という) 場合の値よりも(b)。
一方、この分割表に基づく雷ありの予報を(c)で評価すると、その値は0.33である。この値は、同じ 30日間に毎回雷なしとする持続予報を行った場合の値よりも(d)。
予報精度の評価には、対象とする現象の特性に適合した指標を使うことが重要であり、雷のような(e)現象の評価方法には(c)が適している。

(a) 0.80 or 0.60 (b) 大きいor 小さい (c) スキルスコア or ブライアスコア or スレットスコア
(d) 大きい or 小さい (e) 発生頻度が低い or 継続時間が短い

(a)

(a)0.80
敵中率
全予報回数
(A+B+C+D)に対する予報が適中した回数(A+D)の割合
適中率(A+D)÷(A+B+C+D)


問題の表より、
全予報回数:3+2+4+21=30
適中回数 :3+21=24
適中率:24÷30=0.80
※授業資料(専門5回8章)37ページ(22後期)
 テキスト(8章)402〜403ページ

(b)

(b)小さい
持続予報現在の状態がそのまま将来も継続すると仮定する予報
(例:予報する前日の実況値を翌日の予報値とする)
この問題の場合、
→同じ「30日間に毎回雷なしという予報を出し続けること」を言う
以上から、改めて表にまとめ直すと…

この場合の適中率
(0+25)÷300.83
⇒よって、純粋な適中率(選択肢(a))と比べると
 (a)の値は小さい

持続予報
 授業資料(専門5回8章)49ページ(22後期)

(c)

(c)スレットスコア
スレットスコア
予報・実況とも「降水なし」の回数を除外して計算した適中率
発生頻度の少ない予報を評価する方法

最初のカッコではわからないかもしれないが、最後のカッコでわかる
→実際に計算してみる
問題の分割表によるスレットスコア
3÷(3+2+4)
=3÷9=0.33
問題文とのつじつまが合う!


スレットスコア
実況「現象あり」(A)÷(予報を発表した回数−予報・実況とも「現象なし」)
実況「現象あり」(A)÷(A+B+C)
※授業資料(専門5回)35、39ページ
テキスト(専門)403〜404ページ

ブライアスコア 降水確率の精度評価の一つ
確率予報値を0〜1の値にする(例:60%→0.6)
実況値 降水なし:0 降水あり:1 とする
予報値から実況値の差を取り、2乗し、足し上げる
予報回数で割る
(③、④で平均値を取ってやる)
値が小さいほど精度が良い(完全予報は」)
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

スキルスコア
覚えなくていいです

(d)

(d)大きい
なぞなぞみたいな問題…
(c)より、スレットスコア:0.33
(b)より、30日間に毎回雷なしという予報を出し続けた場合の適中率:
  ⇒0.83
この場合は、(b)とは逆
30日間に毎回雷ありという予報を出し続けた場合の適中率を考える
 ⇒(b)とは逆なので
  1−0.83=0.17
よって、スレットスコアのほうが値が大きい

(参考)
(b)と同じく分割表を作ってみる


この的中率は…
5÷30≒0.17

(e)

(e)発生頻度が低い
スレットスコア
予報・実況とも「降水なし」の回数を除外して計算した適中率
「竜巻」のような発生頻度の少ない予報を評価する方法


実況「現象あり」(A)÷(予報を発表した回数−予報・実況とも「現象なし」)
実況「現象あり」(A)÷(A+B+C)
※授業資料(専門5回)35、39ページ
 テキスト(専門)403〜404ページ

8-3 2乗平均平方根誤差(RMSE) ブライアスコア

① 予報精度の検証・評価方法について述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ(46S14)

(a) 気温の予報の精度を表す指標としては、平均誤差(バイアス) や2 乗平均平方根誤差(RMSE) が用いられる。
一般に平均誤差は二乗平均平方根誤差以下の値となる。

定義や意味を問うこのパターンの問題は頻出!
予報精度の検証・評価方法についてしっかり理解をしておこう

(a)正しい
平均誤差ー誤差が正の値と負の値とあり、足し合わせることによって値が打ち消し合い小さくなる
二乗平均平方根誤差(RMSE)
    ーRMSEの場合は誤差が負の値でも二乗すると正の値になる
     足し合わせても打ち消し合わず値が大きくなる

(b) 降水確率などのように確率で表す予報の精度の検証には、
予報した確率を小数で表し(例えば50%なら0.5)、
実況の「現象あり」を1、「現象なし」を0とし、
両者の差の2乗を平均したブライアスコアを用いることが多い。ブライアスコアは、値が小さいほど予報の精度が良い。

(b)正しい
ブライアスコア
(PーA)²の合計/予報回数
 P:降水確率の0%~100%
 A:実況では「あり」を1、「なし」を0に変換
 両者の差を二乗したものを足しあわせて平均

0に近い値ほど確率予報の精度がよい
1に近づくほど精度が悪い

(c) 冬の関東地方平野部における降水は出現頻度が低いため、降水の有無の予報の適中率だけでは適正な評価が困難なことがある。
このため、必要に応じて降水ありの予報のスレットスコアを用いて精度を検証する。
降水ありの予報のスレットスコアは、値が大きいほど予報の精度が良いが、常に降水の有無の予報の適中率以下の値となる。

(c)正しい
スレットスコア的中数から「予報なし・実況なし」を除いたもの

スレットスコアは冬の太平洋側の降水のような発生確率が小さい現象の予報精度の評価に使用
スレットスコアは値が大きいほど精度は良いが、適中率以下の値をとる(回数が絶対的に少ないため)

② ブライアスコアの求め方と評価について述べた次の文章の空欄(a)〜(d)に入る適切な語句または数値をそれぞれ一つ選べ。(41S13 2013(H25)②)
気象庁は、降水確率を0%から100%まで10% 刻みで発表している。このような確率予報の評価方法の一つにブライアスコアがある。ブライアスコアは、ある期間内の個々の確率予報値を0〜1の値(例えば60%のときには0.6)とし、そのときの実況が降水なしのときには(a)、降水ありのときには(b)を実況値として、これらの差の(c)として求められる。ブライアスコアは、その値が(d)ほど予報の精度が
高い。
(a) 0 or 1 (b) 0 or 1 (c) 2乗の平均値 or 2乗の平均値の平方根 (d)小さい or 1に近い

(a) 0 or 1

(a)0
そのときの実況が
降水なしのときには「0」、降水ありのときには「1」を実況値にする

※下の解説に詳報
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

(b) 0 or 1

(b)1
そのときの実況が
降水なしのときには「0」、降水ありのときには「1」を実況値にする

※下の解説に詳報
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

(c) 2乗の平均値 or 2乗の平均値の平方根

(c)2乗の平均値
予報した確率を小数にする(例えば50%なら0.5)
実況が、降水なしのときには「0」、降水ありのときには「1」を実況値にする
予報値から実況値の差を取り、2乗し、足し上げる
予報回数で割る
(③、④で平均値を取ってやる)
※下の解説に詳報
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

(d)小さい or 1に近い

(d)小さい
値が小さいほど精度が良い(完全予報は」)
※下の解説に詳報
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

「ブライアスコア」とは

ブライアスコア 降水確率の精度評価の一つ
確率予報値を0〜1の値にする(例:60%→0.6)
実況値 降水なし:0 降水あり:1 とする
予報値から実況値の差を取り、2乗し、足し上げる
予報回数で割る
(③、④で平均値を取ってやる)
値が小さいほど精度が良い(完全予報は」)
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

表は、ある期間の異なる予報区A、Bにおける1mm以上の降水の有無の予報、降水確率予報および実況を示したものである。これらの予報の評価について述べた次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ。ただし、実況の「降水あり」では予報区内のすべての地点で降水があったものとみなす(50S12)
(a) この期間の降水の有無の適中率は、予報区Aの方が高い。
(b) この期間の空振り率は、予報区Aの方が高い。
(c) この期間の降水確率予報をブライアスコアを使って評価すると、予報区Aの方が予報精度が高い。

(a)

(a)正しい
まず、予報区A・Bそれぞれ表をさささっと作成する

的中率

全予報回数(A+B+C+D)に対する予報が適中した回数(A+D)の割合
(A+D)÷(A+B+C+D)


予報区Aの的中率
(2+2)÷5=0.8
予報区Bの的中率
(1+2)÷5=0.6

的中率は「予報区Aのほうが高い
※授業資料(専門5回)35〜36ページ
テキスト(専門)402〜403ページ

(b)

(b)誤り
空振り率


全予報回数(A+B+C+D)に対する、 予報あり・実況なし(C)の回数の割合
空振り率=C÷(A+B+C+D)


予報区Aの空振り率
0÷5=0
予報区Bの空振り率
1÷5=0.2
⇒空振り率は「予報区Bのほうが高い」
⇒問題は誤り

※授業資料(専門5回)37ページ
テキスト(専門)403ページ

(c)

(c)誤り
ブライアスコア
降水確率予報の精度評価
につかう

ブライアスコア
=(P-A)2の合計/予報回数

={(0.2)2+(-0.4)2+(-0.1)2+(0.3)2}÷4回

={0.04+0.16+0.01+0.09}÷4
=0.075
値が小さいほど精度が良い(完全予報のとき、値は0)


予報区Aのブライアスコア
={(0.0)2+(-1.0)2+(-0.5)2+(0.0)2 +(0.0)2}÷5回

=(0+1+0.25+0+0)÷5
=1.25÷5
=0.25

予報区Bのブライアスコア
={(0.0)2+(-0.6)2+(0.5)2+(-0.5)2 +(0.0)2}÷5回

=(0+0.36+0.25+0.25+0)÷5
=0.86÷5
0.172
ブライアスコアは予報区Bのほうが精度が高い
⇒問題は誤り

※授業資料(専門5回)46ページ
テキスト(専門)407〜408ページ

表は、地点Aの40日間の気温の予報と実況の比較結果をとりまとめたものである。
また、地点Bにおいて、同じ期間の気温予報の2乗平均平方根誤差(RMSE)は1.4°Cであった。
このときの気温予報の評価に関する次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ
(49S12)

(a) 一般に、平均誤差(ME)が0に近いほど、予報が大きく外れる回数は少ないと判断できる。

(a)誤り
平均誤差(ME)
・実況値から見た、予報値の系統的な偏りを示す指数
・具体的には、予報値と実況値との差を求め、そのそれぞれの差を積算したものを予報回数で割ることによって求める
・評価ー0が最良
・求めた値は正の誤差にも負の誤差にもなるので、その絶対値が大きくなるほど誤差が大きい
長所ー予報の偏りの有無を評価できる
短所ー正の誤差と負の誤差が相殺される
平均誤差が0に近いほど予報が大きく外れる回数は少ないという判断はできない

(b) 地点Aの平均誤差(ME)によると、期間の平均としては、地点Aでは予報値が実況 値よりも高かったと判断できる。

(b)誤り
表を用いて、平均誤差を算出
・2℃高い日 2日 2×2=+4℃
・1℃高い日 10日 1×10=+10℃
・予報と実況が同じ日 18日 0×18=0℃
・1℃低い日 6日 -1×6=-6℃
・2℃低い日 4日 -2×4=-8℃

これらの誤差をすべて足す
4+10+0+(-6)+(-8)=0℃
これを予報回数の40日で割っても0℃
地点Aの平均誤差は0
期間の平均として、地点Aでは予報の偏りはなかったと判断

(c) 地点Aと地点Bの2乗平均平方根誤差(RMSE)によると、期間の平均としては、地点 A の気温予報のほうが精度が高かったと判断できる。

(c)正しい
2乗平均平方根誤差(RMSE)ー予報誤差の標準的な大きさを示すもの
算出の手順
①予報値と実況値の差を2乗
② ①を積算
③予報回数で割る
④さらにその平方根をとって求める
・0が最良 値が大きくなるほど精度が悪い
・平均誤差と違い、正の誤差と負の誤差が相殺されることはない
・また、平均誤差が0であっても、2乗平均平方根誤差も0になることは少ない

問題の下にある表を用いて2乗平均平方根誤差を算出

2℃高い日 22=4 2日 4×2=8℃
1℃高い日 12=1 10日 1×10=10℃
予報と実況が同じ日 0 18日 0×18=0℃
1℃低い日 (-1)2=1 6日 1×6=6℃
2℃低い日 (-2)2=4 4日 4×4=16℃


以上を足し合わせる 8+10+0+6+16=40℃

予報回数で割ると40℃÷40日=1℃

平方根をとりますと、√1=1
地点Aの2乗平均平方根誤差は1℃ということになります。

問題文より地点Bの2乗平均平方根誤差は1.4℃
地点Aの気温予報の方が精度が高かったと判断することができる

気温の予報のように、予報値が実況値の近傍にほぼ連続的に分布する予報の検証に用いられるものに、ME(平均誤差)とRMSE(2乗平均平方根誤差)がある。
下表はある10日間の最高気温の予報値と実況値およびその差を示したものである。この期間の誤差がME=0.0 RMSE=1.0になるには下表の(a)、(b)にどのような数値が入ればよいか、下記の①〜⑤の中から正しい組み合わせを一つ選べ。
(16S12 2001(H13)①)

① (a)=30 (b)=31
② (a)=29 (b)=34
③ (a)=32 (b)=31
④ (a)=29 (b)=30
⑤ (a)=30 (b)=33

正解は…

解答 ④
平均誤差(ME)       =(予想値−実況値)の合計/予報回数
2乗平均平方根誤差(RMES)√[(予想値−実況値)の合計/予報回数]

さて、
平均誤差(ME)が「0.0」と与えられている
表に明示されている「差」を計算すると、「0」である
(0+1+0+(−1)+0+0+0+0=0)
なので…
1.
5日:(31−a) 7日:(b−32)

これらを足したら「0」になるものを考える
①か④しかない
 ①31−30=1 31−32=−1 1+(−1)=0
 ④31−29=2 30−32=−2 2+(−2)=0
2.
①の場合

1=√([1+(−1)+1+(−1)]÷10回)
この式が成り立てば正解だが…
右辺⇒√(4÷10)
   √0.4⇒誤り
④の場合
1=√([1+2+1+(−2)]÷10回)

この式が成り立てば正解だが…
右辺⇒√(10÷10)=√1=1⇒正しい
以上から、④が正解

別の解き方
1.は同じ
2.
1=√{[1+(31−a)+1+(b−32)]÷10回}
⇒両辺を2乗する
=[1+(31−a)+1+(b−32)]÷10回
1×10=1+1+(31−a)+(b−32)
(31−a)+(b−32)=8
①の場合
(31−30)+(31−32)
=1+(−1)
=1+1
=2≠8 ⇒誤り
④の場合
(31−29)+(30−32)
=2+(−2)
=4+4
=8 ⇒正しい
※授業資料(専門5回8章)44〜46ページ(23年前期)
※テキスト(専門)405〜406ページ

表は気象会社XとYの予報精度の検証結果である。ユーザーA、B、C、Dが次の文に示す要望を持っているとき、それぞれのユーザーが契約する気象会社として最も適切なものを選べ。(51S12)
A: 雷が発生すると工事を中断する必要があるので、「雷あり」の実況を見逃さない気象会社と契約したい。
B: 冬の関東平野部で屋外公演を予定している。雨が降ると延期しないといけないので、雨の予報精度がよい気象会社と契約したい。
C: 降水確率で翌日の商品の入荷数を決めるので、降水確率予報の精度がよい気象会社と契約したい。
D: 30℃を超えるとかき氷の需要が増えるので、翌日の最高気温の予報精度がよい気象会社と契約したい。

ユーザーA X社 or Y社

ユーザーA X社
雷の見逃し率が小さいのはX社
見逃し率

「現象なし予想&実況で現象ありだった回数」÷「予報を発表した全体の回数」
=B÷(A+B+C+D)
※授業資料(専門5回)38、40ページ
テキスト(専門)403、405ページ

ユーザーB X社 or Y社

ユーザーB X社
冬の関東平野部
雨は少ない それでも雨の予報精度がよい気象会社と契約したい。
スレットスコアを使う
スレットスコア
発生頻度の少ない現象(たとえば東京で雪が降る)について
「予報・実況ともに現象なし」の場合を除いて、適中率を計算する

スレットスコア=A÷(A+B+C)

値が大きいほうが精度が良い
値が大きいのはX社
※授業資料(専門5回)39ページ
テキスト(専門)403〜404ページ

ユーザーC X社 or Y社

ユーザーC X社
確率予報の予想精度評価
ブライアスコアを使う
誤差を計算していく
値が0近いほど精度がよい
 値が1に近いほど精度が悪い(最悪は1)
値が小さいのはX社
※授業資料(専門5回)46ページ
テキスト(専門)407〜408ページ

ユーザーD X社 or Y社

ユーザーD Y社
気温予想誤差の予報精度評価

2乗平均平方根誤差を使う
2乗平均平方根誤差
気温予想誤差の予報精度評価に使う

平均誤差のように誤差が相殺されない
(平均誤差:プラス誤差とマイナス誤差が打ち消し合う)
値が小さいほど精度が良い(完全予報のとき、値は0)
値が小さいのはY社
※授業資料(専門5回)45ページ
テキスト(専門)406ページ

下の表は、ある年の冬季における1か月間のA地点(関東地方平野部)と
B地点(北陸地方)の降水の有無と最高気温に関する予報についての評価結果である。
この資料に関して述べた次の文①~⑤の正誤を述べよ。
なお、実況降水面積率とは予報区内において予報対象期間内に降水があった面積率(%)で、表の値はこれを1か月間平均したものである。
(22S14)

①降水の有無の予報は、実況降水面積率が異なるので、
適中率、見逃しの率、空振り率から、A地点の予報の方がB地点より予報技術が優れているとは単純に判断できない。

① 正しい
問題は授業でも出た、冬型の気圧配置のときの降水について
晴れの日が多い関東平野の降水の予報精度についてどう評価するかを問われているものです

単純にA地点(関東地方平野部)とB地点(北陸地方)における降水の有無について、
 適中率、見逃し率、空振り率
 →A地点の方が、適中率が高く、見逃し率と空振り率が低いのでA地点の方が予報技術が優れているように見える。
また
実況降水面積率
 ある予報対象区域で、
「予報対象期間内に1mm以上の降水を観測したアメダスの観測所数」における、「予報対象区域全体のアメダスの観測所数に対する比率」
これを1ヶ月間という評価の対象期間で平均した値
これをA(関東)とB(北陸)の両地点で比較
⇒A地点で実況降水面積率が非常に少なく、B地点で多い
 これではA地点の方が予報技術が優れていると判断できません。
現象の発生頻度が少ない予報の評価の指数は「スレットスコア」を使う

スレットスコア
予報・実況とも現象ありだった回数÷(予報を発表した回数ー予報・実況とも現象なしの回数)
つまり、予報・実況とも現象なしの数を除外して算出した適中率で評価

したがって、本文の内容は正しい

「実況降水面積率」という聞き慣れない言葉が出ましたが、
「冬の太平洋側と日本海側の降水の予報精度」ということをわかっていれば
じっくり問題文を読むことで答えがわかると思います
予報士試験ではこういうことがよくありますので慌てないようにしましょう!

②A地点の降水の有無の予報は、今日の予報の方が明日の予報より精度が良い。

② 正しい
今日・明日の降水の有無の評価
→今度は単純に比較し、今日の予報方が適中率が高く、また見逃し率が低いことから、今日の予報が精度が良いと判断できます。

③最高気温の予報は、A地点の方がB地点より精度が良い。

③正しい
最高気温の予報のような量的予報の精度評価
⇒バイアス(平均誤差)とRMSE(二乗平均平方根誤差)

バイアス(平均誤差)
・実況値からみた予報値の系統的な偏りを表す指標のことで、予報値と実況値の差を積算して予報回数で割った値
RMSE(二乗平均平方根誤差)
・予報誤差のばらつきの程度を表す指標
・予報値と実況値の差を求めます。次に求めた差を2乗し、2乗した値を積算して、予報回数で割り、その値の平方根を求めた値
・0が最も良く、値が大きくなるほど悪い

地点Aと地点Bを比較⇒地点Aの方が、RMSE・バイアスとも精度が良い

④A地点の最高気温の RMSE(2 乗平均平方根誤差)0.8は、すべての予報値が実況値±0.8℃の範囲内に入っていたことを示している。

④ 誤り
RMSE(二乗平均平方根誤差)
・予報誤差のばらつきの程度を表す指標

本文の内容にあるような、予報誤差の範囲の最大値を表す指標ではない

⑤B地点の最高気温のバイアス(平均誤差) 0.2は、予報値が実況値に比べて平均して0.2℃高かったことを意味する。

⑤ 正しい
バイアス(平均誤差)
・実況値からみた予報値の系統的な偏りを表す指標
このバイアスが正の値ですと予報値が平均的に実況値より高く、負の値ですと低いことを表す。

0.2という数値は予報値が実況値に比べて平均して0.2℃高かったことを表す

8-4 捕捉率など 精度評価まとめ

① 表は、ある期間に二つの予報区A、Bに出された降水の有無の予報と実況の分割表である。この表を用いた予報の精度評価について述べた次の文章の空欄(a)〜(d)に入る適切な語句の組み合わせを、それぞれ一つ選べ。(40S13 2013(H25)①)
二つの予報区における予報の精度を、評価指標として降水ありの予報の適中率と降水の捕捉率を使って比較すると、それぞれ(a)、(b)の方が予報精度が良い。
ただし、降水ありのような発生率が小さい現象の評価では、評価指標として(c)を用いるのが普通である。この事例を(c)を使って比較すると、(d)の方が予報精度が良い。

(a)予報区A or 予報区B (b)予報区A or 予報区B
(c)ブライアスコア or スレットスコア (d)予報区A or 予報区B

(a)予報区A or 予報区B

(a)予報区A

問題文より
降水ありの予報の適中率」を考える
予報区A「降水あり」の予報:3回 的中(降水あり):2回
2回÷3回×100=67%
予報区B「降水あり」の予報:25回 的中(降水あり):15回
15回÷25回×100=60%
※注意報・警報の的中率評価と同じですね
※授業資料(専門5回7章)41〜43ページ
 テキスト(専門)404〜405ページ

(b)予報区A or 予報区B

(b)予報区B
捕捉率
実況で現象があったとき、その現象をどれだけ予報できていたかの比率
捕捉率発生した現象が予報されていた回数(A)÷実際に起きた現象の総数(A+B)

予報区A「降水あり」の現象:4回 的中(降水あり):2回
2回÷4回×100=50%
予報区B「降水あり」の現象:25回 的中(降水あり):15回
15回÷25回×100=60%
※授業資料(専門5回7章)48ページ
 テキスト(専門)409〜410ページ

(c)ブライアスコア or スレットスコア

(c)スレットスコア
スレットスコア
発生頻度の少ない現象(たとえば東京で雪が降る)について
予報・実況ともに現象なし(D)の場合を除いた適中率

スレットスコア=A÷(A+B+C)


※授業資料(専門5回8章)40ページ
 テキスト(専門)403〜404ページ

ブライアスコア
降水確率の精度評価の一つ
確率予報値を0〜1の値にする(例:60%→0.6)
実況値 降水なし:0 降水あり:1 とする
予報値から実況値の差を取り、2乗し、足し上げる
予報回数で割る
(③、④で平均値を取ってやる)
値が小さいほど精度が良い(完全予報は」)
※授業資料(専門5回8章)47ページ
 テキスト(専門)407〜408ページ

(d)予報区A or 予報区B

(d)予報区B

スレットスコアで計算する
予報区A予報・実況ともに「現象なし」を除いた数:5 的中(降水あり):2回
2回÷5回×100=40%
予報区B予報・実況ともに「現象なし」を除いた数:35 的中(降水あり):15回
15回÷35回×100≒43%

スレットスコア
発生頻度の少ない現象(たとえば東京で雪が降る)について
予報・実況ともに現象なし(D)の場合を除いた適中率

スレットスコア=A÷(A+B+C)

※授業資料(専門5回8章)40ページ
 テキスト(専門)403〜404ページ

気象庁が発表する各種の予報の精度の統計的な検証方法及び有効性の評価方法に関する次の(a)〜(e)の正誤を述べよ。(07S13 1996(H8)②)
(a) 降水確率予報は、実際には「あり(1)」または「なし(0)」のいずれかの状態しかない降水の有無を確率で表す予報である。この予報の検証方法の一つとして、確率値と実況との差の2乗の平均を計算するブライアスコアがある。
(b) 天気予報における降水の有無の予報は、予報と実況のそれぞれの「降水あり」と「降水なし」の回数から分割表を作成し、適中率、見逃し率、空振り率、スレットスコアなどを計算し、それらの大小から予報の精度を検証する。
(c) 気温の予報のように、予報値が実況値の近傍にほぼ連続的に分布する予報の検証に用いられる平均誤差(バイアス)と2乗平均平方根誤差(RMSE)は、共にその数値が小さいほど予報の精度が高く、平均誤差が0の場合は同時に2乗平均平方根誤差も0になる。
(d) 予報の有効性は、通常、特段の予測技術を必要としない持続予報や気候値予報と比較してどの程度改善したかによって評価する場合が多い。
(e) 注意報や警報の検証は、通常実況値がそれぞれの発表基準値に達したか否かで区分した2元値で分割表を作成し、適中率、見逃し率、捕捉率などを計算して行う。注意報、警報の「適中率」と、降水の有無の予報の検証に用いる「適中率」は定義に違いがあり、分割表からの計算方法が異なる。

(a)

(a)正しい
降水確率予報の精度評価

ブライアスコアによる評価 文章の通り
※授業資料(専門5回8章)47ページ(23年前期)
※テキスト(専門)407〜408ページ

(b)

(b)正しい
「降水の有無」など「現象の有無」の予報は、カテゴリー予報と言う。
カテゴリー予報の評価法
適中率」、「空振り率」、「見逃し率」、「スレットスコア」などを使う
※授業資料(専門5回8章)37〜40ページ(23年前期)
※テキスト(専門)402〜403ページ

(c)

(c)誤り
平均誤差
(ME:バイアス)の場合、平均誤差の値が小さくても、プラスの誤差とマイナスの誤差が相殺されている場合がある
値が小さくても精度がいいとは限らない
試験で頻出!!
※授業資料(専門5回8章)44〜46ページ(23年前期)
※テキスト(専門)405〜406ページ

(d)

(d)正しい
持続予報 
:予報する「前日の実況値」を「翌日の予報値」とするもの
例→「2日の最高気温25度」を「3日の最高気温の予報値」とする
気候値予報:8月10日の最高気温が平年で32度であれば、それを予報値とするもの
前述の文や問題文の通り、持続予報や気候値予報は、予報技術を必要としない
実際の予報の精度を考える時、問題文の通り、
 持続予報や気候値予報と比較して精度を評価することも多い

(「平年と比べて」とか「前の日に比べて」とか、よく聞きますよね)
※テキスト(専門)409ページ

(e)

(e)正しい

カテゴリー予報(現象の有無)の適中率

全予報回数(A+B+C+D)に対する、予報が適中した回数(A+D)の割合
警報・注意報の適中率
発表ありの回数(A+C)に対する、適中(発表あり&基準超)した回数(A)の割合
※授業資料(専門5回8章)37、41ページ(23年前期)
※テキスト(専門)402〜403、404ページ

③図は、A地点とB地点における冬季の30日間の最高気温と最低気温について、実況と予報の分布を示したものである。この図について述べた次の文(a)〜(d)の正誤を述べよ。ただし、見逃し率および空振り率は全予報数に対する割合とする。(56S14 2021(R3)①)
(a) 最低気温の予報について、系統的な偏りを平均誤差(ME)により求めると、正の偏りがあるのはA地点である。
(b) 最高気温の予報について、二乗平均平方根誤差(RMSE)により予報誤差を求めると、B地点の方が予報精度がよい。
(c) 冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB地点よりも低い。
(d) 真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも低い。

図の見方に慣れよう!

図の見方をもう一度確認しよう
A地点の最高気温の予測&実況の表です

赤丸:予報が5.5度 実況が0度
橙丸:予報が2.5度 実況が3.5度
緑丸:予報が−0.5度 実況が5度
青丸:予報が5度 実況が6.5度
(目分量のざっくりです)
で、
破線は「予報と実況がピッタリの場合
この破線の近くにある「点」は、予測と実況がぴったりに近いということ
破線から離れれば離れるほど、「誤差が大」きく「ハズレ」というわけです
例として挙げた「丸」で言えば、
青丸や橙丸は精度が高く、赤丸や緑丸は精度が低いことになります

(a)

(a)正しい
平均誤差(ME)(予想値−実況値)の合計/予報回数
誤差が相殺されるので、値が小さくても精度が良いとは限らない

A地点(図の左)とB地点(図の右)の最低気温をみてみる
正の隔たり」とは「予想値−実況値」の値が「正の値」となるドットの分布がおおいこと

図を見ると
A地点破線よりも上にドットが分布している
    ⇒「予想値−実況値」の値が「
B地点:破線よりも下にドットが分布している
    ⇒「予想値−実況値」の値が「
よって、解答は「正しい
※授業資料(専門5回8章)44〜45ページ
 テキスト(専門)405〜406ページ

(b)

(b)正しい
2乗平均平方根誤差(RMES)√[(予想値-実況値)2の合計/予報回数]
平均誤差のように誤差が相殺されない
値が小さいほど精度が良い(完全予報のとき、値は0)

A地点とB地点の最高気温をみてみる

A地点破線を基準とすると、ドットがバラけている
    ⇒誤差が大きい 予報精度が悪い
B地点:破線を基準とすると、ドットのばらつきが小さい
    ⇒誤差が小さい 予報精度がいい
よって、解答は「正しい」
※授業資料(専門5回8章)44、46ページ
 テキスト(専門)406ページ

(c)

(c)誤り
見逃し率


全予報回数に対する予報なし・実況ありの回数の割合
※この図で言えば、B÷(A+B+C+D)
冬日最低気温が氷点下

A地点とB地点の最低気温をみてみる
冬日の見逃し
最低気温0度以上を予測したが、実際は最低気温が氷点下だった日を探す

0度以上の予測水色で色付け
氷点下の実況 :ピンク色で色付け
見逃し    :上記2つの条件を満たす場所が、混ざった紫色に…
A地点6回程度存在(紫枠で囲まれたところ)
B地点なし(紫枠で囲まれたところ)
見逃しが多かったのはA地点
よって、解答は「誤り」
※授業資料(専門5回8章)39ページ
 テキスト(専門)403、549ページ

(d)

(d)誤り
空振り率

全予報回数に対する、 予報あり・実況なしの回数の割合

この図で言えば、C÷(A+B+C+D)
真冬日最高気温が氷点下

A地点とB地点の最高気温をみてみる
真冬日の見逃し
→最高気温0度未満を予測したが、実際は最高気温が0度以上だった日を探す


0度未満の予測:水色で色付け
0度以上に実況:ピンク色で色付け
空振り    :上記2つの条件を満たす場所が、混ざった紫色に…

A地点:3回程度存在(紫枠で囲まれたところ)
B地点:なし(紫枠で囲まれたところ)
空振りが多かったのはA地点
よって、解答は「誤り」
※授業資料(専門5回8章)38ページ
 テキスト(専門)403、549ページ

8-5 コストロスモデル

① コストロスモデルの考えに基づいた降水確率予報の利用に関する次の文章の空欄(a)〜(c)に入る
適切な数、および数式を答えよ。ただし、確率予報の信頼度は100%であるものとする。
(50S06)
数値予報の確率情報の有効な利用方法として、ある大気現象による損失を防ぐために対策を施した場合にかかる費用(コスト)と、何も対策を施さなかった場合に被る損失(ロス)の合計を基に、経済効果の観点からどのような対策を施すべきかを判断する方法がある。
今、降水対策を施す場合の1回あたりのコストを100、対策を行わなかった場合のロスを500とし、降水確率がA%である予報が10回出たものとする。
この10回の事例で降水対策を施した場合のコストの合計は(a)であり、
降水対策を全く施さなかった場合のロスの合計は(b)である。
したがって、(c)の場合に降水対策を施すと、何も対策を施さなかった場合よりもコストとロスの合計が少なく、経済効果が大きいと期待される。
(a)5000 or 1000 (b)10×A or 50×A
(c)A<50 or A>50 or A>10 or A<20 or A>20

(a)

・降水対策を施す場合の1回あたりのコストを100
・予報が10回出た

以上から、
コスト100×予報10回=1000
※授業資料(専門5回)49〜51ページ(22前期)
テキスト(専門)421、422、426ページ

(b)

・ロス500
・降水確率A%
・予報10回

500×A%×10回
=500×10回×A/100=50×A

パーセント(%)を計算用の「小数」に直すために
「100」で割ることを忘れずに!!

※授業資料(専門5回)49〜51ページ(22前期)
テキスト(専門)421、422、426ページ

(c)

コスト=1000ロス=50×A
少ないコストでロスを抑制できれば、経済効果が大きい
なので、コスト< ロスになればいい
⇒1000<50×A
20<A
※授業資料(専門5回)49〜51ページ(22前期)
テキスト(専門)421、422、426ページ

② コストロスモデルの考えに基づいた降水確率予報の利用に関する次の文章の空欄(a)、(b)に入る適切な数式を選べ。(43S07)
コストロスモデルは、損失を防ぐための対策を施した場合にかかる費用(コスト)と、何も対策を施さなかった場合に出る損失(ロス)をあらかじめ把握しておき、確率の値に応じて最適な対応をとることで長期間の総費用を最小限に抑える、一つの考え方である。
雨対策を施す場合の1回あたりの費用をC、何も対策を施さずに雨が降ったときの損失をLとする。降水確率A%の予報が10回出たとき、すべて雨対策を施した場合の費用はC×10、何も対策を施さなかった場合に受けるこの期間の損失の期待値は(a)である。Aが40のとき、雨対策を施した方が何も対策を施さなかった場合よりも損失が少ないと期待されるのは、(b)の場合である。
(a) L×A×10 or L×A/100×10
(b) C/L>0.40 or L/C<0.40 or C/L<0.40

(a)

(a) L×A/100×10
・ロスL
・降水確率A%
・回数10回

L×A/100×10
パーセント(%)を計算用の「小数」に直すために
「100」で割ることを忘れずに!!

※授業資料(専門5回)49〜51ページ(22前期)
テキスト(専門)421、422、426ページ

(b)

(b) C/L<0.40
雨対策をする(コスト)
対策せず損失・損害(ロス)

問題文より
「雨対策」でお金かけたほうが、「何も対策せず損害」よりも金額が少ないと期待
コスト<ロス 
 損失・損害(ロス)よりもコスト(対策)のほうが小さい方がいい

これが基本 ここを忘れないこと!

コスト(対策)問題文より
C×10
損失(ロス) 問題(a)より
L×A/100×10
よって
C×10<L×A/100×10
が成り立てばいい
問題文より
Aに40を代入
C×10<L×40/100×10
C<L×40/100
C<0.4L
C/L<0.40
※授業資料(専門5回)49〜51ページ(22前期)
テキスト(専門)421、422、426ページ

③ コスト/ロスモデルに基づいた予報の利用に関する次の文(a)〜(c)の正誤を述べよ。ここでは予報対象の現象が起きた時の損失をL、損失が起きないように事前に対策をとる費用をC(ただしLを超えない)、一定期間にわたる損失と費用の和を「損失と費用の総額」と表記し、現象が起きるか起きないかを断定する予報を「決定論的な予報」と表記する。なお、確率予報の精度は十分に高く、現象はその確率で発生するものとする。(40S14 2013(H25)①)
(a) 現象が起こる確率が C/L より大きいと予報された場合に常に対策をとれば、対策を全くとらない場合に比べて損失と費用の総額を軽減できる。
(b) 確率予報は C/L の値に応じて利用できるので、決定論的な予報を用いた場合よりも損失と費用の総額を小さくすることが可能となる。
(c) 決定論的な予報の精度は捕捉率と空振り率によって評価できる。C/Lが0に近い場合に損失と費用の総額を軽減するには、捕捉率が高いことよりも空振り率が低いことが重要である

こういう、イメージがわかないコストロスモデルは…

こういうイメージがわかないコストロスモデルは、実際に数値を設定してみよう

例えば、雨が降ったら損失が発生すると仮定
コストC:損失が起きないよう事前の対策にかける費用
⇒10万円
ロスL :現象が起きたときの損失
⇒40万円
損失Lと費用Cの総額
⇒50万円

(a)

(a)正しい
問題文より、「現象が起こる確率」が「 C/L より大きいと予報された場合
コストC10万 事前対策の費用 ロスが0になる
ロストL40万 事前対策をしなかった場合の損失
C/L:コストC:10万/ロスL:40万0.2525%
現象が起こる確率40%と仮定
予報5回のうち、現象発生2回と仮定

毎回対策を取った場合の費用損失
予報5回を受けて、5回対策
5回×10万50万
その5回のうち、現象が2回発生
対策費コストCをかけたため、
 損失ロスLは
⇒よって、かかった費用は
 50万+050万
対策を全くしなかった場合の費用・損失
予報5回を受けて、対策なし
5回×0万0万
その5回のうち、現象が2回発生
⇒対策をしなかったため、損失Lが都度発生
 40万×2万80万
①と②より
現象が起こる確率が C/L より大きいと予報された場合
(現象発生確率40% C/L25%)
に常に対策をとれば、対策を全くとらない場合に比べて損失と費用の総額を軽減できる

※授業資料(専門5回8章)50〜52ページ

(b)

(b)正しい
決定論的な予報
降水や晴天などを「あり」「なし」として的中率や見逃し率、空振り率などで表現する予報
(暗記する必要はないです)
例えば、予報が5回あったとして
予報がすべてあたれば、ロスは発生しないが、
予報が全部外れたら、巨額なロスが発生することになる。
選択肢(a)のように、確率予報とコストロスモデルを組み合わせることで
ロスが対策費より、小さければ対策しないなど
費用:コストと損失:ロスの最小化を実現できる
※授業資料(専門5回8章)50〜52ページ

(c)

(c)誤り
C/L(費用/ロス)が0に近い
費用:コストをほぼ掛けず損失:ロスがでかい現象
大災害が当てはまる
⇒見逃しうんぬん以上に捕捉率が大切(かならず押さえる必要がある)

かんたん合格テキスト(専門) 練習問題

7章 アンサンブル予報

後日追加するが、問題が古い(図が白黒)のため、確認問題を優先すること
問3 →7-4 1ヶ月予報 を参照すること

8章 予報精度の評価法

問1 →Coming Soon
問2 →Coming Soon
問3 →Coming Soon
問4 →Coming Soon
問5 →Coming Soon
問6 →8-2 スレットスコア ⑤を参照すること
問7 →Coming Soon
問8 →Coming Soon
問9 →8-4 捕捉率などまとめ ①を参照すること
問10 →8-5 コストロスモデル③を参照すること

専門5回目講座、お疲れさまでした!

専門も5回目を終えて、だいぶんマニアック、というか本格的な専門の勉強になってきました。どんどん新しく覚えることが増えて脳みそがもう一杯!となっているかもしれませんが、初めて聞くことはなんでも難しく思えてしまいます。徐々に復習をしていって、しっかりと自分の知識に変えていきましょう。前にもお伝えしましたが、一般より専門が先に受かる方も多く、専門は考えるというより覚えてしまえばよいことも多いので、文系の方には勉強しやすい分野です。まだまだ時間はあります。ゆっくりでいいので覚えていきましょう!