温位の定義
温位とは、ある高さにある空気塊を1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させて、
そのときの温度を絶対温度で表したものです。
(絶対温度:氷点下273.15度(℃)を0度(K)とした温度体系。気象庁より抜粋)
例えば、地上(1000hpaくらい)で293K(20℃)の空気と、上空1500m(850hpaくらい)で286K(13℃)の空気、
どちらが温かいと思いますか?
ぱっと見の「温度」では数字の大きい 地上の20℃が温かく見えます。
ただ、高さの違う場所の空気を比べるのは不公平です。
7歳のAくんと15歳のBくん、
どちらの方が身長が高いかか比べるのは公平ではありません。
比べるならば、7歳のAくんと、7歳だった頃のBくんです。
このときの「7歳のときの身長の高さ」が温位(1000hpa)になります。
温度と温位の違い
温位って聞き慣れないですよね・・。私は、どうしても温度とごちゃついてしまいます。
今一度、温度と温位の違いについて整理してみました。
■温度
物体に触れたときに感じる、熱さや冷たさの度合いを数値で表したものです。
■温位
ある高さにある空気塊を1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させて、
そのときの温度を絶対温度で表したものです。
つまり、温度はその時点での度合い、温位は比べるために無理やり基準をあわせた数値となります。
エマグラムという、各hpaごとの気温を記録したグラフで見てみると、※赤の太線が気温です。
例えば600hpa地点での
温度は:赤線の600hpa地点の数字を読む⇒-16℃(257K)くらい
温位は:赤線600hpa地点を乾燥断熱曲線に合わせて1000hpaまでおろした地点の数字を読む⇒25℃(298K)くらい
(乾燥断熱曲線は赤の細線です。赤紫の点線が600hpa地点を乾燥断熱曲線に沿って1000hpaまでおろしたものになります。)
となります。
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ちなみに、
赤の細線:乾燥断熱曲線
青の細線:湿潤断熱曲線
緑の細線:等和混合比 です。
具体的に何なのかは、また追ってお伝えします。
温位は保存される※条件あり
・・・どういうことでしょうか。
先程のエマグラムをもう一度見てみてください。
先程のエマグラムの温位の部分です。
温位は、乾燥断熱変化して値をもとめるため、
空気が飽和しない限り(=空気中の水蒸気が凝結しないかぎり)(=雲ができない限り)
この600hpaの温位は700hpaでも950hpaでも一緒です。このことを保存されるといいます。
温位を実際に比べてみましょう
乾燥断熱減率では、100mごとに1℃気温が低くなります。
上空1500m(850hpa)13℃の空気を地上0m(1000hpa)までおろしたときの気温は
13℃+(1500m÷100m×1℃)=28℃
28+273=301K
つまり、「温度」では地上293K(20℃)の方が温かいですが、
「温位」では1500m286K(13℃)の方が高いことがわかります。
ほかにも、相当温位という凝結した空気を調べる物理量もあります。
温位と相当温位の違いについては、
過去記事「温位と相当温位の違いがよくわかりません。」に記載しています。