
ーここでわかることー
空気を膨張させると温度が下がる理由は、空気の分子がエネルギーを使ってしまうから!
「空気を膨張させると温度が下がると聞いたけれど、なぜ膨らむと温度が下がるのか、ちっともイメージできません!」
というご質問をいただきました。
確かに体積と温度が、直接どう関係しているのかイメージし難いですよね。
そこでこの記事では、簡単にイメージできるように具体例を使って、空気が膨張すると温度が下がる理由を解説しています。
理科の授業で聞いたけど意味がわからない!と悩む中学生から
気象予報士を目指して勉強を始めたばかりの方にも、読むだけで理解できるよう工夫していますので、一緒に楽しく学びましょう!
※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。
空気を膨張させると温度が下がる理由
空気を膨張させると温度が下がる理由は、空気の分子がエネルギーを使ってしまうから!
空気は、非常に小さな分子がたくさん集まってできています。
空気の分子は常に動き回っており、その運動エネルギーが温度として現れます。
温度が高いほど、分子の運動は活発になり、温度が低いほど運動は鈍くなります。
あれ?
空気は暖めたら膨らみますよね?
じゃあ、膨らんだ空気は暖かいのでは???
膨らんだ空気は暖かい?
「膨らんだ空気は暖かいのか」を考えるために、空気を膨らませてみましょう。
空気を膨らませるには、主に2つの方法があります。
空気の膨らませる(体積を大きくする)には、主に以下の2つの方法がある。
1.温める
2.気圧を下げる
まず空気を温めると、どのような仕組みで空気が膨らむのかを説明します。
空気を温めて空気を膨らませる
空気を温めるということは、空気にエネルギーを与えることになります。
エネルギーを受け取った空気分子は、もらったエネルギーの分だけ活発に動くようになります。
活発に動く空気分子は、動くためのスペースが必要になり、空気分子の間隔が広くなります。
空気分子の間隔が大きくなることで、空気の体積は大きくなり、「空気が膨らむ」ことになるのです。
この方法で膨らんだ空気は
(加えたエネルギー)ー(空気分子が使ったエネルギー)
の分だけ温度は上がるはずです。
ただし、(加えたエネルギー)=(空気分子が使ったエネルギー)だった場合は、温度は上がりませんね。
では次は、気圧を下げる方法についてです。
気圧を下げて空気を膨らませる
気圧は、その上にある空気の重さのことですが、水圧をイメージしてもらってもOKです。
「気圧を下げる」ということは、その上の空気の重さのことですが、言い方を変えると「押さえつけている力」でもあります。
その「押さえつけている力」が弱くなれば、空気は膨らみます。
この空気が膨らむ時、空気の中では何が起きているのでしょうか?
この時、空気の中では分子自体が膨らんでいるのではありません。
分子と分子の間隔が広くなることで、空気が膨らんでいるのです。
この方法で膨らんだ空気は
(加えたエネルギー)がないので、(空気分子が使ったエネルギー)の分だけ温度は下がります。
分子の間隔が広くなると温度が下がる
気圧が下がると温度が下がる理由は、空気分子が内部のエネルギーを使うから。
気圧を下げることで膨らんだ空気の中で、空気の分子は「熱を加えられた時のように」元気に動きます。
だってスペースがあるから。
ただ・・・分子が元気に動くためには、エネルギーが必要です。
でも外から温められてはいないので、自分でなんとかするしかありません。
その結果、「空気が自分自身のエネルギーを使ってしまうので、温度が下がる」というわけです。
空気が膨張し温度が下がる具体例
空気が膨張すると温度が下がる例として、スプレー缶や、空の雲がある。
気圧が下がると温度が下がることを、簡単に体感できるのが「スプレー缶」です!
殺虫剤のスプレーでも、ヘアスプレーでも、エアダスターのスプレーでも同じです。
数秒間スプレーを使っただけで、缶の表面がひんやりしますよね。
あれはスプレー缶内の気圧が急激に下がったことにより空気が膨張し、中のガスの温度が低くなるためです。
スプレー缶が冷たくなる現象と同じ仕組みで、空の雲はできています。
空気の温度が下がると、飽和水蒸気量(空気に含むことができる水蒸気の最大量)が少なくなります。
そこで余った水蒸気(気体)は「水(液体)」の粒になります。←これが雲粒です。
まとめ
空気を膨張させると温度が下がる理由は、空気の分子がエネルギーを使ってしまうから。
エネルギー(熱)を加えず空気を膨張させると、空気分子が使ったエネルギーの分だけ温度は下がる。
つまり、気圧を下げて空気を膨張させると、温度が下がる。
空気が膨張すると温度が下がる例として、スプレー缶や、空の雲がある。
気体の気圧と体積や温度の関係は、中学校で習う基本的な理科の知識ですが、気象予報士試験を受ける人にとって必須の知識です。
丸暗記せず、しっかり理解して勉強を進めてくださいね。
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