JPCZは、冬の日本海で寒気の吹き出しに伴って形成される水平スケールが1,000km程度の収束帯のことで、この収束帯に伴う帯状の雲域を「帯状雲」と呼びます。強い冬型の気圧配置や上空の寒気が流れ込む時に、この収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、日本海側の地域では局地的に大雪となることがあります。
JPCZが発生する要因としては、朝鮮半島北部に位置する長白山脈(最高峰:白頭山2,744m)の存在が大きく影響しています。冬型の気圧配置が強まると、大陸から冷たい風が日本海に流れ込みますが、この冷たい風は、長白山脈によって、いったん二分されます。そして、その風下である日本海で再び合流し、収束帯(雪雲が発達しやすいライン)が形成され、雪雲が発達しやすくなります。この領域が南下し陸地にかかると、その場所では大雪となります。
JPCZの上陸地点は、気圧配置に対応して東西に移動するため、決まった位置というのはなく、東北南部から山陰までの広い範囲に影響を及ぼします。また、寒気が非常に強い場合は、風上の山地を超えてJPCZが流入することがあり、太平洋側でも大雪になることがあります。
このように言うと、等圧線が混み合う山雪型のほうがJPCZが多く発生しそうですが、山雪型の場合は、等圧線が南北にのびるため、風向きは北西~北になることが多いです。そうなると、長白山脈で分流した風が収束する場所が朝鮮半島であったり、朝鮮半島のすぐ東の海上になるため、十分な潜熱や顕熱の供給を受けることができず、JPCZが形成されにくいです。
そもそも、JPCZは下層にできる気圧の谷なので、日本海に気圧の谷ができやすい里雪型のほうが発生頻度は多くなります。
なので、端的にまとめると、山雪型でもJPCZが発生しますが、頻度は圧倒的に里雪型のときのほうが多くなります。