【温位とは】身近な例えでわかりやすく解説!

ーここでわかることー
▶︎温位とは(その定義)
▶︎温度と温位の違いを具体的に
▶︎温位は「保存される」という意味
▶︎温位は何のためにあるのか

「おんい・・・え、おんい? 温度じゃなくて???」

わかります、そうなりますよね。

私も初めて「温位」と聞いた時は同じように思いました。

そこで今回は「温位(おんい)」について、身近な例を使って解説していきます。
どうぞ楽しんで学んでいってください。

※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。

温位の定義

温位とは、ある高さにある空気塊を「1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させたときの温度」を絶対温度で表したもの。

絶対温度:氷点下273.15度(℃)を0度(K)とした温度体系。気象庁より抜粋)

例えば、地上(1000hpaくらい)で293K(20℃)の空気と、上空1500m(850hpaくらい)で286K(13℃)の空気は、どちらが温かいと思いますか?

ぱっと見の「温度」では数字の大きい 地上の20℃が温かく見えます。

ただ・・・高さの違う場所の空気を比べるのは不公平です。

例えば、7歳のAくんと15歳のBくん。
どちらの方が身長が高いかか比べるのは公平ではありません。
比べるならば、7歳のAくんと、7歳だった頃のBくんです。

このときの「7歳のときの身長の高さ」が温位(1000hpa)になります。

では次で「温度の温位の違い」について説明します!

温度と温位の違い

温度:物体に触れたときに感じる、熱さや冷たさの度合いを数値で表したもの。

温位:ある高さにある空気塊を「1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させたときの温度」を絶対温度で表したもの。

温位って聞き慣れないですよね・・。私は、どうしても温度とごちゃついてしまいます。

今一度、温度と温位の違いについて整理してみました。

■温

物体に触れたときに感じる、熱さや冷たさの度合いを数値で表したものです。

■温

ある高さにある空気塊を1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させて、そのときの温度を絶対温度で表したものです。

つまり、温度はその時点での度合い、温位は比べるために無理やり基準をあわせた数値となります。

2023年3月9日9時 舘野エマグラム SUNNYSPOTより引用

エマグラムという、各hpaごとの気温を記録したグラフで見てみると、※赤の太線が気温です。

例えば600hpa地点での

温度は:赤線の600hpa地点の数字を読む⇒-16℃(257K)くらい

温位は:赤線600hpa地点を乾燥断熱曲線に合わせて1000hpaまでおろした地点の数字を読む⇒25℃(298K)くらい

(乾燥断熱曲線は赤の細線です。赤紫の点線が600hpa地点を乾燥断熱曲線に沿って1000hpaまでおろしたものになります。)

となります。

===

ちなみに、赤・青・緑の線の意味を以下に示します。

具体的に何なのかは、また追ってお伝えします。

温位は「保存される」の意味(※条件あり)

温位は空気中の水蒸気が凝結しないかぎり保存される。

・・・どういうことでしょうか。

先程のエマグラムをもう一度見てみてください。

SUNNYSPOTより

先程のエマグラムの温位の部分です。

温位は、乾燥断熱変化をさせて値をもとめるため、空気が飽和しない限り(=空気中の水蒸気が凝結しないかぎり)(=雲ができない限り)、この600hpaの温位は700hpaでも950hpaでも一緒です。

このように、ある条件下で値が変わらないことを「保存される」といいます。

温位は何のためにあるのか

温位は高度の違う空気同士の温度を比べるためにある。

ある空気と空気の温度を比べるとき、それぞれのある高度が違うと比べるのが難しいです。

でも温位を使えば、それらの空気が含んでいる水蒸気が凝結しない限り、高度を気にせず空気同士の温度を比べることができます。

そう!比べることができるんです!

温位は、高度の違う空気の温度を比べることができるので、天気予報をするための基礎知識としてとても重要なのです。

温位を実際に比べてみましょう

乾燥断熱減率では、100mごとに1℃気温が低くなります。

上空1500m(850hpa)13℃の空気を地上0m(1000hpa)までおろしたときの気温は
13℃+(1500m÷100m×1℃)=28℃

28℃をK(ケルビン)であらわすと
28+273=301K

つまり・・・
「温度」では、地上293K(20℃)の方が温かいですが
「温位」では、1500m286K(13℃)の方が高いことがわかります。

※乾燥断熱変化をする限り、どの高さにいても対象の空気の温位はかわりません

ほかにも、相当温位という凝結した空気を調べる物理量もあります。

温位と相当温位の違いについては、

過去記事「温位と相当温位は何が違う?」に記載しています。

まとめ

温位とは、ある高さにある空気塊を「1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させたときの温度」を絶対温度で表したもの。

温度は「物体に触れたときに感じる、熱さや冷たさの度合いを数値」であり、温位は「ある高さにある空気塊を1000hpaの高さまで乾燥断熱変化させたときの温度」を絶対温度で表したもの。

温位は空気中の水蒸気が凝結しないかぎり保存される。

温位は高度の違う空気同士の温度を比べるためにある。

「温位」は「温度」と似ているのに、学校で習う「理科」には登場しないので馴染みがないですよね。

しかし気象予報士試験を受験する人にとって、絶対に欠かせない知識です。
しっかり覚えて使いこなせるようになってください。

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