ブルーモーメントとは、夜明け前や夕焼け後のわずかな時間に、辺り一面が青い光に照らされる現象や、その時間帯のことを指します。

え?待って。
夜明け前や、夕方は空がオレンジ色じゃない?ブルーではないのでは?と思われるかもしれませんが、オレンジ色に移行するまでの、ほんの数分~十数分だけ深い濃い青色に包まれる時間帯があります。

これが一日の中で限りある時間しか見られないブルーモーメントと言われる空です。

ブルーモーメントが見られる時間はごくわずか

ブルーモーメントは日の出前、もしくは日の入り後に見ることができます。 朝は東側、夕方は西側に空が広がっていれば、どこでも見ることが可能ですし、季節も問いません。日本だと5分から長くて15分程度見られます。

ブルーモーメントは北欧で生まれた言葉だと言われており、北極や北欧など高い緯度の地域では日本よりもう少し長く、30分ほど表れます。

太陽が地平線のぎりぎりにある時間帯ですので、深い青色に加えて、うっすらと太陽のオレンジ色が差し込んでいることもあり、とても幻想的な時間です。

時間の流れと空の色変化

ブルーモーメントは夜空、青空、オレンジ色の「はざま」に現れる一瞬の濃いブルーの空です。一日で数分しか見られないので貴重な時間帯です。

日の出夜空ブルーモーメントオレンジ(朝焼け)青空
日の入り青空オレンジ(夕焼け)ブルーモーメント夜空

数分現れて、それ以上たつと日の入り後だと空が暗くなり、日の出後だと空が明るくなってきます。

ブルーモーメントが現れる時間帯は「薄明」とも言われる時間帯です。
※薄明は「少し薄暗いけれど周りは見える時間帯」を指します。

ブルーモーメントの仕組み 光の散乱


それではなぜブルーモーメントの空は深く、濃い青色になるのか。これは光の散乱が関係してきます。

太陽の光は地球に届くまでに「空気の層」を通過し、空気中の酸素や窒素の分子に当たって光が散らばります。

その散らばった光の色が多いほど私たちの目に映りやすくなります。

しかし、その色はいつも同じではありません。なぜならば、太陽は一日中動いているため、地球との距離が変わります。

距離が変わると、届く波長も変わるため、散乱する光の色も変わります。

波長とは「波の長さ」で、波長が短い・長いという表現をします。

距離が近いと波長が短くなり、距離が多いと波長が長くなります。

ですので、私たちが見ている空の色は太陽と地球との距離によって変わります。

日中は青い色の光が散乱しやすい距離になっていて、空が水色や青に見えます。

朝焼けや夕焼けは太陽が地平線に近いところにあるので、日中よりも地球との距離が離れます。

そうなると、波長が長くなってきて、それに反応する赤い色が散乱して朝焼けや夕焼けはオレンジや赤く見えます。

では、ブルーモーメントの時間帯はというと、太陽が地平線のぎりぎりのとこにあって、太陽から直進する光は見えないものの、太陽の光が空の高いところにあたり、この場所にある散乱しやすい濃い青色が見えやすくなります。

日中の空が薄い青や水色になるのは、日中は青以外にも緑や黄色、オレンジ、赤などの色の光があり、これらも一緒に散乱されることにより光が混ざるため、白っぽく明るい水色に見えます。

一方で、ブルーモーメントはまじりっけがない青色だけが目に映るのです。

※気象予報士を勉強している人は「大気の放射」のレイリー散乱、ミー散乱を復習しましょう!空が青く見えるのはレイリー散乱ですよね!

タイミングが合うと、空だけでなく、山や高い建物も全てが濃い青色に包まれます。いつもよりも空が広く見えたりしますので、幻想的な空に出会うことができます。

ブルーモーメントが見られやすい気象条件

①晴れていること

薄曇りや雲が多少出ていても見ることはできますが、雲が厚かったり雨や雪が降ったりしている時は、太陽の光が届かないためブルーモーメントを見ることはできません。

②水蒸気が少ない事

空気中にチリや水蒸気が多くなると、それらが光を散乱させるため、青色がぼやけて白っぽく見えます。ですので春や秋よりも、比較的乾燥していて、気温が低い秋や冬が綺麗な濃い青色のブルーモーメントを見ることができます。

また、ブルーモーメントは雲の有無や湿度でその青色の濃さが変わります。日の入りよりも日の出の時間帯のほうが濃いブルーになりやすいです。

ブルーモーメントが見られる気象条件はさほど厳しくはありません。季節としても、見られやすい季節はありますが、NGな季節はありませんので、日の入り・日の出時間は空を見上げてみて、ブルーモーメントを見つけてください!

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