気象予報士とは、気象業務法の改正によって平成6年度(1994年)に導入された制度で、国家資格を保有して気象を予測する専門家です。

防災情報と密接な関係を持つ気象情報が、不適切に流されることにより、社会に混乱を引き起こすことのないよう、気象庁から提供される数値予報資料等高度な予測データを、適切に利用できる技術者を確保することを目的として、創設されました。


予報業務を行う事業者は、現象の予想を気象予報士に行わせることを義務づけられています(地震動、火山現象及び津波を除く)。

つまり、私たちが普段見ている天気予報は気象予報士しか作ることができません。

いわば天気のスペシャリスト。

今回はその気象予報士にまつわる関連情報をまとめてみました。

普通のことを書いても面白くない?ので、体験談やコメントも入れています。


気象予報士とは

気象予報士試験概要

気象予報士になるには、一般社団法人気象業務支援センターが実施する気象予報士試験に合格する必要があります。

その合格率は4%~5%前後と、難関の国家資格試験と言われています。

気象予報士試験は年に2回、毎年8月と1月に実施されます。

気象予報士試験の特徴は、1回で合格する必要がなく、「学科をクリアし、次回の試験で実技をクリア」というように、数回に分けて、分割で合格することができることではないでしょうか。

具体的には、予報士試験には「学科(一般・専門)」と「実技」があります。

たとえば学科の一般に合格したら、1年以内に学科の専門と実技を合格すればOKです。

ただし、先に「実技」を合格することはできません。あくまで「学科」を先に合格することが必要です。

では詳しく見ていきましょう。

気象予報士試験会場

試験会場は全国で6会場です。

一番早くスタートする試験は9:40~になりますので、近くにお住まいでない方は前泊する必要があります。

  • 北海道
  • 宮城県
  • 東京都
  • 大阪府
  • 福岡県
  • 沖縄県

試験の申請をする時に何県で受けるかを選ぶことができます。

通常、各都市で会場は1つ(東京は2会場)なのですが、複数会場がある場合は、会場の指定はできません。

また、毎回全国で3,000人~5,000人が受ける試験ですので、ある程度の人数が入る会場である必要があり、多くは大学などで開催されます。

広いキャンパスで、かつ、いくつもある部屋から自分が受ける部屋を探さなければならず、気象予報士試験を受験される方は時間に余裕をもって会場に着く必要があります。

過去の試験会場

参考にこれまでの試験会場を記載しておきます。毎年会場は変わる可能性があるので、手元に届いた試験案内で必ず会場を確認するようにしてください。

地域試験会場
北海道大原法律公務員専門学校など
宮城県東北電子専門学校など
東京都駒澤大学、早稲田大学、成城大学など
大阪府大阪市立大学、大阪産業大学など
福岡県九州大学など
沖縄県大原簿記公務員専門学校など
気象予報士試験会場(東京早稲田大学)
気象予報士試験会場 早稲田大学

気象予報士受験スケジュール

8月試験

受験資料配布開始5月頃~
受験申請期間6月頃~7月
受験票到着8月前半頃
試験日8月後半
合格発表10月初め頃

1月試験

受験資料配布開始前年10月頃~
受験申請期間前年11月頃~12月
受験票到着1月前半頃
試験日1月後半
合格発表3月初め頃

気象予報士試験は年に2回(8月、1月)実施されます。試験日は毎回月末に近い日曜日(4週目あたり)に設定されることが多いです。

ちょうど真夏と真冬ですね…。受験を考えている人は体調管理も大切なポイントになります!!

毎回、試験の3か月前くらいに試験の概要となる受験資料が配布されるようになります。

私は8月に合格することができました。会社員をしていましたので、あまり時間が取れずだったのですが、直前に夏休みを取り、集中的にやはり1月の試験はクリスマスや年末年始があったりと誘惑が多くなってしまうので…。

ただ、統計的には1月試験のほうが受験者が少なく、合格率が高いケースが多くなっています。
ですので、誘惑に負けない自信がある方は、1月試験がねらい目です!

気象予報士試験スケジュール1月

気象予報士受験者数・合格率推移

気象予報士試験の受験者数は毎回3,000人前後で推移しています。

2021年にNHKの朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」が放送されたのをきっかけか、2022年から受験者が4000人ほどとなり、それまでよりも受験者が多くなっています。

また、1月試験と8月試験を比較してみると、1月のほうが100名~200名程度、受験者数が少ない傾向にあります。

過去6年間のうち、1月試験の人数が低く(赤字)、合格率が高い(青字)回数が多くなっています。

1月のほうがライバルが減る。しかも合格率も1月試験の合格率が高いことが多い。1月試験のほうが合格率が高い年が多いのです。

ですので、1月に標準を合わせて勉強を進めると、少しでも合格する可能性が高いと言えます!

年度1月試験受験者数(合格率)8月試験受験者数(合格率)
2015年(43回・44回)2,902人(4.5%)3,153人(4.0%)
2016年(45回・46回)2,795人(4.9%)3,089人(4.1%)
2017年(47回・48回)2,788人(5.8%)2,962人(4.9%)
2018年(49回・50回)2,857人(4.7%)2,915人(5.4%)
2019年(51回・52回)2,969人(5.8%)2,957人(4.5%)
2020年(53回・54回)2,616人(5.6%)2,848人(5.8%)
2021年(55回・56回)3,656人(5.6%)4,177人(4.2%)
2022年(57回・58回)4,829人(4.9%)4,891人(6.0%)
2023年(59回・60回)4,777人(4.8%)

気象予報士試験 試験時間

気象予報士試験は一日で4つの試験が行われます。

午前は学科、午後は実技になります。その試験はそれぞれ一時間以上!!!

いかに集中力が続かせるかが勝負になります。

血糖値を上げるチョコレートは必須です。

なお、試験が早く終われば退出することができます。

ですので、学科は何度も受けていると時間が余ってくることもあるので、早く抜けて次の勉強をしたり、早めにお昼を食べたりします。

実技は75分フルに頭を回転させて手も動かしてと、かなり疲れるので、休憩時間はとにかく頭を休めるようにしていました。

学科一般9:40~10:40(60分)
学科専門11:10~12:10(60分)
実技113:10~14:25(75分)
実技214:55~16:10(75分)

学科一般について

問題数は全15問、マークシート回答式の試験です。制限時間は60分 合格基準は11問以上の正解です

(難易度により合格点の調整がある場合があります)

出題範囲は

1 予報業務に関する一般知識

  ・大気の構造 
   ・大気の熱力学 
   ・降水過程 
   ・大気における放射 
   ・大気の力学 
   ・気象現象 
   ・気候の変動 
   ・気象業務法その他の気象業務に関する法規

となります。(上記、気象庁より引用)

雲はなぜ浮かぶのか?や大気の流れ、風の吹き方などについて出題されるイメージです。

物理的な計算問題もあるので、計算が苦手な方や文系の方には少しタフな試験になるかもしれません。

法律についての出題(暗記)もあるため、

細かいひっかけ問題を取りこぼさないような勉強が必要になります。

学科専門について

問題数は全15問、マークシート回答式の試験です。制限時間は60分 合格基準は11問以上の正解です

(難易度により合格点の調整がある場合があります)

出題範囲は

2 予報業務に関する専門知識

  ・観測の成果の利用 
   ・数値予報 


   ・短期予報・中期予報 
   ・長期予報 
   ・局地予報 
   ・短時間予報 
   ・気象災害 
   ・予想の精度の評価 
   ・気象の予想の応用

となります。(上記、気象庁より引用)

学科一般は気象に関する全般的な問題(学術寄り)だったのに対して、

学科専門はより気象予報に向けた専門的な知識を問う試験となっています。

風の強さの基準や、雲画像の読み取り、短期予報・週間予報の発表時間、気象予測モデルについてなど、

学科一般よりも暗記が多い内容になっています。※計算も多少あります

こちらも引っ掛け問題が多いので、

語句や数字を間違えず覚える勉強法が良いでしょう。

気象予報士試験 学科マークシート

実技について

問題数は大問が3〜5題、記述式の試験です。制限時間は75分 合格基準は100点満点中70点以上です

(難易度により合格点の調整がある場合があります)

出題範囲は

1 気象概況及びその変動の把握

2 局地的な気象の予報

3 台風等緊急時における対応

となります。(上記、気象庁より引用)

実技は学科一般と学科専門の両方を合格しないと採点してもらえません。

試験ごとに大きなテーマ(台風の天気・梅雨の天気 など)があり、

その中で細かく深堀りされていくイメージです。

仮に台風の回の出題想定としては、

===

1気象概況及びその変動の把握

⇒現時点で台風がどこにあるのか、これからどうなるのか(発達する?衰退する?日本への上陸はあるのかないのか など)

2局地的な気象の予報

⇒その中でも東海地方への台風の影響ってどうなの?

3台風等緊急時における対応

⇒警報が出るか、出ないか?その場合の警報の基準は?

===

というような感じです。詳しくは気象業務支援センターの過去問を参照ください)

75分と聞くと少し長めに感じますが、その中で20〜50文字程度の記述が多数あったり、

前線を書いてみたり、上空の気圧の谷を解析してみたりと、結構タイトな時間配分となっています。

また、75分で実技1をやった後、30分休憩のち、再度75分の実技2があるため、

体力的に疲れます。笑

実技の勉強としては、過去問を問いて問題に慣れていくしかないのですが、そこも基礎知識がない状態で進めてしまうと、過去問の解答だけを覚えていってしまいます。

過去問で「どういった点が問われるのか」を身に着ける必要はありますが、過去問は過去問でしかなく、新しいことを問われても臨機応変に考える基礎力が必要です。

ですので、実技は特にしっかりとした気象予報士試験の対策講座を受けることをお勧めします。

気象予報士合格基準

目安とされている合格基準です。

学科のマークシートは11問、記述は実技は70点という「目安」はあります。

学科のマークシートは調整で10点になることもありますが、大体は11問です。

実技は70点取れば必ず合格という試験ではなく、人数によってその近辺の点数で合格者数で決めているのではないでしょうか。

つまり、点数順で上から合格者が決まっていく=人との争いになりますので、1点でも多くとる!という根性は必要です。

学科一般マークシート:15問中11問以上の正解
学科専門マークシート:15問中11問以上の正解
実技試験筆記試験  :総得点が満点の70%以上
試験を初めて受けられる方はまず学科2種の合格を目指すと良いでしょう

気象予報士試験の免除とは

気象予報士試験は学科(一般・専門)と実技試験の2つに分かれます。

そのうち、学科試験については一部合格し、その権利を1年間ストックしておくことができます。

たとえば8月の試験に学科の一般に合格する。すると次の1月の試験は学科の専門と実技の試験だけを受けて、それが合格点であれば合格になります。

その1月の試験が学科の専門だけ合格できた場合は、その次の8月に実技だけ受けて合格点を取れば、晴れて合格となります!

このように気象予報士試験は分けて合格することができるのです!

ちなみに、免除の有効期間は1年となります。

ですので、8月に学科一般を合格した場合、翌年の8月までは免除期間になりますが、それを過ぎると免除はなくなってしまいます。

ですので、一部でも合格した人はその1年間は残りの科目を必死に合格しましょう!!!!

気象予報士試験料

試験料は免除のある、なしで変わってきますが、大体1万円前後です。これを試験実施団体である、一般財団法人気象業務支援センターの口座に振り込む必要があります。

免除なし(初めて受験する方はこちら)11,400円
一科目免除(学科の一般か専門がすでに合格している方)10,400円
二科目免除(学科の一般と専門の両方を合格している方) 9,400円

気象予報士当日の持ち物(おすすめ含む)

  • 受験票  
  • 筆記用具
  • 午前から受ける人は昼ご飯
  • 腕時計
  • 飲み物
  • 血糖値が上がるチョコレートなど
  • マッサージ器
  • 心が落ち着く参考書やノート

受験票

いうまでもなくこれがないと受験できません!

筆記用具

マークシートだけのTOEICなどと違って、予報士試験はマークシートと筆記試験があります。また、実技試験では実際の天気図を見ながら回答しますが、目安となる低気圧の場所や、気圧に色を付けたり、定規で線を引いたりと、いろいろと筆記用具が必要になります。普段使っているものを一つでも忘れると、精神的に焦ってしまいますので、しっかりと事前に確認するようにしてください。また、過去の試験ではルーペが持ち物に指定をされていたりと、何か指定がある場合がありますので、試験概要をしっかりと読むようにしてください。

  • マークシート用の太い鉛筆かシャープペンシル
  • 実技の筆記試験用の書きやすい鉛筆かシャープペンシル
  • 消しゴム
  • 色鉛筆かフリクションペン (書き直せるフリクションが個人的におすすめです)
  • 20センチ程度の定規
  • コンパス
  • 分度器

お昼ご飯

午前と午後を受験される方は休憩時間の1時間にお昼ご飯を食べる必要があります。午後の部はPM6時までかかる試験ですのでお昼を抜くと少しきついと思います。1時間しかないので、当日知らない場所でコンビニを探すなどは少し非効率です。事前に用意をして、お昼の1時間は食べることと、午後の予習に充てるのが賢明です。

ただ、お昼ご飯はお腹いっぱいまで食べすぎると集中力が散漫になると言われています。気象予報士試験の実技はそれでなくても時間に余裕がなくなることもあり、かなりの集中力が必要です。

気象予報士試験のお昼ご飯としては、食べ過ぎないようにすること、そして、できれば血糖値が上がる、チョコレートなどがあると良いでしょう。

腕時計

どの試験も同じだと思いますが、気象予報士試験も時間との戦いで、ペース配分をしながら進める必要があります。また、会場によっては部屋に時計がない場合もあります。スマホや携帯電話は時計代わりには使えませんので、腕時計を持っていくようにしてください。

なお、気象予報士試験の中で、実技は何枚もの天気図を同時に見たりと、かなり机の広い範囲を使います。たまに小さな置時計を持ってくる方もいますが、それだと立体的なため、紙が当たって落ちてしまったりすることがあります。

平らにおいても場所を取らない腕時計がおすすめです。

飲み物

お昼ご飯と同じく、これも試験会場に入る前に準備しておきましょう。どこに自動販売機があるのか、探す労力は試験に置いておきましょう。

飲み物は基本的にご自身が好きなもので良いと思いますが、試験にお勧めな飲み物としては「水か炭酸水」だという、面白い記事がありましたので紹介しておきます。

イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究より

知的作業に集中する前に約0.5lの水を飲んだ人は、飲まなかった人と比べて、14%反応時間が速くなることを発見しました。のどの渇いた人に対して実験を繰り返したところ、効果はもっとはっきりと見られる。

Subjective thirst moderates changes in speed of responding associated with water consumption https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnhum.2013.00363/full

慶応義塾大学とアサヒ飲料の共同研究

実験では、都内の健康な20~50代会社員男女52人を対象に、オフィスで3種類の飲料(強炭酸水、弱炭酸水、水)を飲用した時の脳波を測定。飲用前後で比較したところ、強炭酸水では「集中度」の値で有意に差があったという。アサヒ飲料らはこの脳波解析の結果から、強炭酸水の飲用後は水を飲用した時よりも「集中度」が高まることが認められたとしている。

食品産業新聞社 強炭酸水を飲むと「集中力が高まる」、脳波測定で数値化、アサヒ飲料と慶應大が共同検証

https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2019/11/2019-1128-1618-14.html





血糖値が上がるチョコレートなど

気象予報士試験は長時間、頭を酷使します。一つ一つの試験が終わるたびに、どんどん頭が疲れていきます。チョコレートなど血糖値が上がるものを意識して取り入れると良いでしょう。

試験用血糖値

マッサージ器

これは完全に個人的なお勧めのレベルにはなります。

何度もお伝えしますが、気象予報士試験は一日ですべて受講するとなると、4時間半もかかります。特に実技はスピードも求められるため、最大限、自分のパフォーマンスを発揮させることが必要です。

私は直径2センチくらいで、たくさんイボが付いた手の中で握ると刺激が気持ちの良いマッサージ器を持って行って、休憩時間にいつも握っていました。

手は第2の脳ともいわれており、手を動かしていると脳の血流が10%上昇すると言われています。

また、それで首筋を転がしたりと、小さなマッサージ器一つで、自分の中で少しリラックスができました。

マッサージ器でなくても良いのですが、自分が何かリラックスできるものを一つあると良いと思います。

心が落ち着くノート

気象予報士試験は範囲が広いので、当日何を持っていこうか迷うことがあります。念のため、あれも、これも、いや、やっぱりあれも…、と安心のためにいろいろ持っていきたくなります。

しかし、重たい参考書をいくつも持って行っても結局見るのは決まっている本だけです。

重たい荷物を持っていく=その分体力を使って疲れてしまいます。試験当日にあれも、これも、の状態ですとまだまだ勉強が足りていないのかもしれません。

「この1冊さえあればよいのだ!!!!!」という参考書やノートに絞って、軽やかに会場に向かいましょう。それができていれば、あなたの勉強は自分の弱みをわかっていて、かなり的を絞って勉強ができている証明にもなります。

なんやかんや言っても最後は試験を受かる気持ちの強い人が合格します。自分の頑張りを記録したノートは、努力の軌跡を客観的に見ることができるのでおすすめです。

気象予報士になるには登録が必要!

気象予報士になるには、まずは気象予報士試験に合格する必要があります。(合格するには気象予報士試験を知る必要があるので、この記事のTOPから読んでくださいね)

合格を手にしたら、それだけでは「気象予報士」とはまだ言えません。気象予報士になるためには手続きが必要です。

気象予報士試験を受けた後、合否は合格発表日に郵送で送られてきます。合格者には気象予報士試験合格証明書が、不合格者にも気象予報士試験結果通知書が届きます。合格証明書はそのあとで気象庁への登録するのに必要な書類ですので大切に保管しましょう。

試験合格後に気象予報⼠となることを希望する⽅は、気象庁への登録申請が必要です。登録の資料は,気象庁のサイトから⼊⼿してください。大体申請から15〜20日程度で完了するようです。

登録ができるとこのような登録通知書が届きます!!!

これを手にした時の感動は本当にひとしおです!

気象予報士合格証

気象予報士の就職と年収

気象予報士試験に合格した後、その資格を生かして就職を希望する場合、どのような職業があるのでしょうか。よく知られているのは気象庁などの公務員、もししくはテレビでの気象キャスターだと思います。

しかし、気象予報士が活躍するフィールドはほかにも幅広くあります。

なお、気象予報士の平均年収はおおよそ500万円だと言われています。日本の平均年収が約440万円ですので、平均よりは多いと言えます。ただこれは、どの業界に就職するかによって大きく変わります。中にはキャスターになって人気が出て、1000万円をかるく超える人もいますが、一般的には、30代であれば公務員で450万円~、気象関連会社であれば500万円~という人が多いようです。

  • 気象庁や地方自治体などへの就職
  • 気象関連会社への就職
  • マスコミ関連会社への就職
  • キャスターとしての活躍
  • その他

気象庁や地方自治体などへの就職

気象庁の行う気象業務は、気象の観測や予測をはじめ、地震や火山などの地象、水害・津波などの自然現象について幅広く行われます。

東京にある気象庁だけでなく、地方気象台と測候所があり、勤務先は全国各地になります。また、関連機関として気象研究所、気象衛星センター、高層気象台、地磁気観測所、気象大学校などもありますので、天気図を見る仕事だけでなく、本当に幅広い仕事があります。

気象庁や自治体で働くためには、国や地方の公務員試験に合格する必要があります。反対に言うと、気象予報士の試験は必須ではありません。しかし、気象庁をはじめ、気象に係る分野などの部署で働くにはやはり気象予報士資格があるほうが有利です。

気象予報士の資格は簡単に取れるものではないため、資格を保有していること自体がとても人物評価が高まりますし、天気図の読み方を一から教える必要がある人と比べると、教育の労力もかかりません。

もちろん、採用されるかどうかは総合的に判断されて決まりますが、気象予報士資格があるとアドバンテージは高まると言えるでしょう。

公務員としての気象予報士としての年収は公務員給与に準ずるため、予報士資格を取っていたほうが高収入になるということはありません。

年収は一般職と総合職の差が大きく、30代の一般職の平均年収は450~500万程度、総合職は700万程度となります。公務員として働くメリットは安定していること、退職手当制度がしっかりしていることが挙げられます。

また、この公務員の在職者数のうち、女性は10%しかいないようです。まだまだ男性社会の世界ではありますが、今後、民間以上に公務員の政界でもダイバーシティが促進されると思いますので、女性の就職はとても歓迎されるでしょう。

気象関連会社への就職

日本における気象関連会社への就職と言えば、「一般財団法人日本気象協会」「株式会社ウェザーニューズ」が大手どころだと言えます。

気象関連会社への就職はやはり資格の有無で圧倒的に有利になります。もちろん、資格がなくても就職することはできますし、仕事もできます。ただ、予報士資格を持ってるからこそできる仕事も多々あるので、「あの人、予報士を持ってる、持っていない」ということは必ずと言っていいほど話題になりまし、資格がないと希望の部署に行けないこともあります。

一般財団気象協会は日本初の民間気象法人で、「一般財団法人」という立ち位置で、社会への公益性とビジネスの醍醐味の両方を追求できるポジションを謳っています。従業員数は800人、北海道や東北、名古屋、関西、広島、高松、福井、福岡など全国に支店・支社があります。

鉄道や道路会社、自治体などへの気象コンサルティング、気象データと様々なビッグデータと掛け合わせて行う商品需要予測事業、風力発電施設の設置のための環境アセスメントなど、とても規模の大きい観点で分析して、ビジネスにつなげています。

どちらかというと終身雇用に近かったり、年功序列的なところがあるので、民間よりも公務員的なイメージに近いようです。

株式会社ウェザーニューズは、日本における民間総合気象情報サービスの草分け的企業であるとともに、1993年(平成5年)には親会社のオーシャンルーツを吸収合併し、世界最大の民間気象情報会社となっています。

気象キャスターによる独自の情報発信も積極的に行っていたり、携帯のお天気アプリを開発したりと、いろいろなことに先駆的に取り組んでおり「攻め」の経営をされています。従業員は900人程度で、ほとんどの社員は本社の千葉県の幕張にいますが、仙台や大阪にも支社があります。ウェザーニューズの所属のまま、キャスターとしてテレビ局に派遣されたり、マスコミへの原稿配信など、予報士資格が生かされる仕事が多々あります。

口コミサイトによると、年収的には一般財団法人日本気象協会は30代は450万円~、株式会社ウェザーニューズは500万円代が可能です。株式会社ウェザーニューズは平均年収と比較すると高いほうではないでしょうか。ただ、平日9時から18時までというような働き方ではなく、24時間何らかの業務が発生するので、所属の部署によっては早朝勤務、深夜対応、休日対応などがあり、その点を踏まえておいたほうが良いでしょう。

気象キャスターとして活躍する!

気象キャスターになるにも気象予報士資格は必須ではありません。

テレビやラジオに出演して気象情報を伝えている人の中には予報士資格を持っている人と、持っていない人がいます。

こちらのページの「気象キャスターになりたい方にとっての気象予報士資格」にも記載していますが、画面にテロップと呼ばれる「文字」で名前のどこかに「気象予報士」とついていたら資格を持っている、ついていないと資格は持っていないと判断してほぼ間違いないです。

ただ、圧倒的に持っていると有利ですので、詳細は「気象キャスターになりたい方にとっての気象予報士資格」を読んでください。

その他

ほかにも気象予報士を必要とする民間会社はたくさんあります。たとえば飛行機の運行管理としての航空会社や、テレビ番組で気象予測を放送する放送局、天気図コーナーを作成する新聞社はわかりやすいですね。また、コンビニエンスストア各社では、気温や天候の変化に基づいておでんやアイスクリームなどの仕入れ量を調整しています。例年よりも暑くなる夏を予想して、アイスの仕入れ量を増やせる人材は会社にとっても強い武器になること間違いなしですよね。このようにビジネスに気象が密接に関係する業種では、就職の際に気象予報士を持っているのが武器になる例も少なくありません。メーカー、流通、運輸、農業、水産業、林業など多様な分野でニーズがあります。最近ですと、三井住友海上が社内の気象予報士を増やしたいという記事もありました。気候変動対策で精度の高いサービス開発を想定しているようです。

気象の情報はテレビやアプリで見るだけではほんの一部しかわかりません。もちろん、気象会社から情報を購入することもできますので、必要な会社はそうしているでしょう。しかし、気象予報士を採用すれば、その社員がある程度は予測することができます。そういった気象会社に委託をして、有料の情報を購入するまでもないが、予報士がいれば便利だな、と思われる会社には、予報士の資格は有効に使える武器になります。

また、私の知り合いは金融会社の総務部で災害対策なども行う部署に配属になりました。このような職種は「気象予報士募集」とされているものではないと思いますので、御自身で興味がある企業や部署移動の際に、気象予報士だということをアプローチする必要はあります。しかし、予報士の勉強をしていれば、晴れは晴れでも、どんな晴れなのか、どんな雨なのか、風はどう吹くのか。また、予報が外れやすいか、当たりやすいか、などもわかることができますので、防災担当として役に立つと会社から判断されますよね。

このように、気象関連会社ではなくても予報士の資格を生かした仕事を見つけることもできると思います。

いかがでしたか?この記事を読まれているあなたも、気象予報士試験と突破して、気象予報士としての一歩を踏み出してみたいなあと思っていただけると嬉しいです。

興味が湧かれたらぜひ、気象予報士アカデミーへ相談してくださいね!

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