ここでは、気象庁退職者など、気象台での防災業務に係る部局の管理職経験などがある方ではなく!
どのような試験や研修を経て、気象防災アドバイザーの資格を得られるのかを、お伝えしています。
気象防災アドバイザー試験の概要
気象防災アドバイザーの資格は、資格試験ではなく「育成研修」を終了することで得られる。
この研修を受けるには、まず気象予報士の資格を有していることが必要になります。
これは言い換えると「受験資格は気象予報士資格を持っていること」ということですね。
その気象防災アドバイザー育成研修の概要は次の通り。
研修内容の例
- 演習
防災気象情報演習: 実際の災害事例を用いて、災害発生直前の防災気象情報から被害が想定される地域を読み解き、避難情報の発令を判断する方法をテスト演習形式で学ぶ。 - 講義を受ける
土砂・洪水・高潮・地震・津波・火山災害の発生メカニズム、線状降水帯、地形から災害リスクを読み取る方法、防災関連の法制度と計画、地方公共団体の防災対応などに関することを学ぶ。 - 実地研修
地元の気象台で模擬の防災出前講座や防災解説ワークショップを実施し、地方公共団体で即戦力となる実力を養成する。
研修生自身が講師となって気象台職員を相手に、地元の例で地形と災害の関係性、過去の災害、防災気象情報を用いた避難情報の発令判断について解説する。
試験(評価)
研修の中にはテスト演習や実地研修での評価が含まれると考えられますが、具体的な「試験」形式の詳細は公開されていません。
研修を修了することで、国土交通大臣から気象防災アドバイザーとして委嘱されます。
研修の実施場所・日程と受講料
研修の日程は、年によって違いますが、2025年の場合をご紹介しましょう。
研修の場所
研修はオンラインで自宅にいながら受けられるものと、気象台に出向くものがあります。
具体的には、以下のように4段階に分かれており、最後の❹のみ気象台に行く必要があります。
- 防災基礎講義:学習支援システム(LMS※1)
自宅で好きな時間に受講可能 - 避難判断訓練:学習支援システム(LMS)
自宅で好きな時間に受講可能 - 災害対応演習:Web会議システム(Zoom)
決められた日時にリアルタイムでZoomにより演習に参加 - 防災解説実習:気象台に出向いて実施
地元気象台を訪問し、気象台の業務見学のほか、①~③で学んだ内容に沿って、研修生自身がプレゼン(質疑や意見交換を含む)を実施
※1:LMSは「Learning Management System(学習管理システム)」の略で、eラーニングをはじめとする様々な学習や研修を、効率的に管理・運用するためのITツールのこと。
研修の日程
研修の募集期間から、実施期間は以下のとおりです。
募集期間(2025年度):令和7年(2025年)4月21日(月)14時 ~ 5月12日(月)17時まで
募集対象:気象予報士
申し込み方法:webサイトからオンラインで申し込み(気象庁や
- 防災基礎講義:5月末頃〜
- 避難判断訓練:6月頃〜
- 災害対応演習:6月頃〜
- 防災解説実習:12月頃〜1月頃
気象防災アドバイザーの研修に応募すると、運営側から具体的な日程のお知らせが来ます。
あらかじめ、実習を受けることになる気象台をチェックしておきたいですね。
受講料
気象防災アドバイザーは「国家資格」や「民間資格」ではありませんが、研修の受講には受講料が必要になります。
受講料:10,000円(税込)
(振込手数料及び交通費・宿泊費等は、自己負担)
半年ほどかけて防災について学べるのに、税込10,000円は安いですね。
ただし田舎住みには、やや負担ありです。
難易度
気象防災アドバイザーには、試験ではなく研修を受ければなれる・・・とはいえ、実力のないアドバイザーでは困ります。
またアドバイザーの人数が多いところに、際限なく委嘱されることもないでしょう。
このような理由から、「試験の難易度」というより「需要と供給の関係」で、難易度は変化するはずです。
以下は気象庁が公開している「気象防災アドバイザーの選考基準」です。
令和 7 年度気象防災アドバイザー育成研修 選考基準
受講申し込み時にご記入いただいた内容をもとに、応募資格に合致するか確認の上、以下の応募者を優先し、気象庁において受講生を選考するものとします。
① 現在、気象防災アドバイザーが少なく、自治体からの気象防災アドバイザーの任用要請に十分応えられていない地域において居住している又は現地で活動可能である応募者
※ 本研修は、気象防災アドバイザーの地域偏在の解消を目的としていることから、既に気象防災アドバイザーが多い地域(下図参照)でのみ活動可能な応募者は、受講いただけない可能性があります。② 就業状況(研修修了後の見込みを含む)から、気象防災アドバイザーとして自治体でフルタイム勤務が可能である応募者
③ これまでの防災に関する活動の実績から、研修修了後に気象防災アドバイザーとしての活躍が期待される応募者
(参考)各都道府県に在住している気象防災アドバイザーの人数
引用元:令和 7 年度「気象防災アドバイザー育成研修」募集要項
やはり、既に気象防災アドバイザーが多い地域でのみ活動可能な応募者は、応募しても受講できない可能性も・・・
他には、気象防災アドバイザーとして「自治体でフルタイム勤務が可能である」という条件もあります。
とはいえ各自治体によって、最大何人までかわかりませんので、「よし、やってみよう!」と思う方は、まずは応募しましょう!
気象防災アドバイザー研修の流れ
それでは…気象防災アドバイザーに応募して、無事研修を受けられる場合、その後の流れはどうなるのかを確認しておきましょう!
約30時間の録画配信型の講義
気象防災アドバイザーに求められる災害や避難に関する基礎的な知識・技能・姿勢を習得するための講義。
土砂・洪水・高潮・地震・津波・火山災害の発生メカニズムのほか
- 予測に反して降り続く線状降水帯の恐ろしさ
- 地 形か ら災害リスクを読み取る
- 大河川からの背水による支川氾濫
- 防災関連の法制度と計画
- 地方公共団体の防災対応
約20時間の録画配信型の訓練
市町村の防災の現場で、限られた時間の中で予報の解説から避難の判断までを一貫して担う気象防災アドバイザーとして必須となる避難情報発令に関する知識・技能・姿勢を習得するための訓練。
防災気象情報から、内閣府の「避難情報に関するガイドライン」に沿って対象区域を絞り込んで避難情報発令を判断する方法を、過去の災害事例を用いた体験型の訓練プログラムを通じて学習。
約30時間のリアルタイム型の演習
市町村における災害対応に習熟するための演習です。
現場経験の豊富な有識者の指導の下、市町村長に避難情報発令について進言したり、住民に求める避難行動について記者会見で説明したりするロールプレイを行う。
また、以下について、参加型のリアルタイム演習を通じて学習。
- 災害対策本部・記者会見における災害コミュニケーション
- 防災気象情報やハザードマップを活用した災害対応
約2時間×3回 気象台における実習
地方公共団体の現場で即戦力となる実力を養成するための実習です。
地元気象台において職員を住民や地方公共団体職員に見立てた模擬の防災出前講座や防災解説ワークショップを実施。
これまでの研修を通じて講師から学んだ以下の内容を、研修生自身が講師役となって解説。
- 予測に反して降り続く線状降水帯の恐ろしさ
- 地形から災害リスクを読み取る
- 大河川からの背水による支川氾濫
STEP 1 ~ 3 で習得した知識・技能・姿勢の定着を図る。
一般的な就職活動と同様。
まとめ
気象防災アドバイザーには、試験ではなく研修を受けて、国土交通大臣から委嘱されるとなれる。
研修内容は、以下のとおり。
- 防災基礎講義:学習支援システム(LMS※1)
- 避難判断訓練:学習支援システム(LMS)
- 災害対応演習:Web会議システム(Zoom)
- 防災解説実習:気象台に出向いて実施
令和7年の募集は終わっており、例年通りなら、4〜5月くらいに募集あり。
研修は5月末〜翌年1月くらいまでの期間。
基礎的なことはオンライン学習し、オンライン演習に参加したのち、地方気象台にて実習して研修を終了する。
難易度は地域による。
研修の流れはこちら▶︎「気象防災アドバイザー研修の流れ」
ちなみに・・・
現在気象庁では「気象防災アドバイザー」の知識をもつ予報士を増やして、防災に対して力を入れる方針ということで、防災に興味のある予報士は今がチャンス!と言われています。
今後も気象予報士や気象予報士を目指す方に役立つ情報を発信していきます。
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