雨や風、雷、猛暑。大勢の人が参加する野外イベントにおいて、天気は最大のリスク要因の一つです。
2025年春、関西圏のスタジアムで開催された超人気アーティストの大規模ライブでは、観客5万名規模の安全を守るために、気象の専門家が現場に常駐しました。
このライブの天候リスク対策を担当したのが、気象予報士アカデミーを運営する、株式会社フォーグッド所属の気象予報士です。今回は、その実際の現場対応を通して、あまり知られていない「気象予報士のリアルな仕事」をご紹介します。
野外イベントと気象リスク
野外ライブでは、以下のような気象リスクがあります。
- 局地的な雷雨
- 突発的な強風による設営物の倒壊リスク
- 熱中症を引き起こす危険な高温
- 積乱雲の接近による中断判断のタイミング
これらを事前に想定するだけでなく、リアルタイムで判断し現場に指示を出す役割が、現場気象コンサルの重要な仕事です。
現場での気象コンサルティングの流れ
野外コンサートの気象コンサルタントの仕事は、そのコンサートの開催会社からオファーがあります。オファーは、突発的なものもあり、台風の接近が予想される時などは開催の3日前に依頼があることもあります。株式会社フォーグッドでは、「気象災害で命を落とす人を0にしたい」という思いで、なるべく突発的なオファーも受けられるように体制を整えています。
今回は荒れた天気が予想される期間ではなかったものの、万全を期したいということで依頼がありました。
現地に入る気象予報士は、以下のような体制で支援しました。
事前準備の対応
- 開催地となるスタジアム周辺の気象特性(風の流れ、地形性降水、ヒートアイランド影響など)をリサーチ
- 地元気象台の過去データ、数値モデルを比較し、季節的に想定される気象リスクを主催者側にレポート
- オファー受領からイベント当日までの間、定期的に最新の気象情報を提供

今回のコンサートが開催されるスタジアムの出入り口の場所から強まると危険な風向の確認や、開催地で観測できる気象要素などを確認しておきます。
このように、現地入りする前から「気象現地コンサルタントの仕事」は始まっています。現場対応だけではなく、事前の準備・判断材料の提供という段階から、リスクマネジメントに貢献するように意識しています。
イベント当日の対応
- 会場の気象条件を現地観測+各モデルでの随時分析
- ライブ設営中の雨雲接近をレーダーで随時モニタリング
- 本番中も空の変化を観察しながら、ステージ中断判断のサポートを即座に実施
- 主催者・警備責任者との情報共有・中断判断会議への同席
- 熱中症リスク対策として、水分補給時間・日陰ゾーン設置の確認・アドバイス

「ただの天気予報」ではなく、現場の判断材料として使える形で予測を提供し、状況に応じて即時のアドバイスを行うのがプロフェッショナルの役割です。
現場では、主催者だけでなく、いろいろなスタッフの方がいらっしゃるので、誰でも気軽に声をかけられる雰囲気づくりも大切だと思っています。
スタッフや関係者が「今ちょっと天気について聞きたい」と思ったときにすぐ相談できるよう、「気象監視中」と書かれた手作りの張り紙を掲げ、話しかけやすい空気を作る工夫も行いました。
スマホの天気アプリと現地での気象コンサルタントの違い
近年は高性能な天気アプリが数多く登場し、誰でも手軽に天気を確認できるようになりました。
しかし、その予報が本当に当たるのかどうかを“見極める”ことはできるでしょうか?
私たち気象予報士は、複数の予測モデルや観測データをもとに、次のような判断をしています。
- 「この予測はどのくらい信頼できるか」
- 「雨の時間が前倒しになる可能性は?雨が予測より強まる可能性は?」
- 「予報は晴れでも、局地的な発達雲のリスクはあるか?」
天気アプリの数値はあくまで1つの可能性。
気象予報士はその裏側にある「外れるリスク」や「ズレるシナリオ」を読み解き、判断し、提案します。
そして何より、現地でその場の気象要素(風向き・雲の動き・湿度など)を体感した上で、
「このあと30分以内に雨が降る可能性が高いので設営を一旦中断しましょう」
といった即時のアクションにつなげることができるのが、現地に気象予報士がいる強みです。

主催者からいただいたお声
今回、雨は降ったものの無事にコンサートは運営ができ、主催者の方からもうれしいお声をいただきました。
「アプリも見てはいますが、やはり現場で判断してくれる気象予報士がいてくれることで、圧倒的な安心感がありました。 本番を無事に迎えられたのは、本当に心強い存在だったからだと思います。」 |
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気象予報士の仕事は、テレビで天気を伝えるだけではありません。
多くの人の命や楽しみを守るため、現場で判断を下す“プロフェッショナル”として活躍する道があります。
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