
水の粒と氷の粒では飽和水蒸気量の違いで、氷の粒の方が速く成長する???
どういうこと?????

ではイメージ図で理解できるよう、説明しますね!
雲の中で氷の粒が水滴よりも速く大きくなる現象は、「ベルジュロン・フィンデアイゼン過程」として知られています。
この現象の鍵となるのは、水が気体(水蒸気)として存在できる量(飽和水蒸気量)が、同じ温度でも水の上と氷の上では異なるという点です。
なんだかややこしそうな話ですが、大丈夫!
イメージ図を使えば「なんだ、そういうことか!」とすんなり理解できるものです。
ここでしっかり学んでいってくださいね。
※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。
雨や雪はなぜ降るの?
私たちが目にする雨や雪は、上空で起こる複雑なプロセスを経て生まれています。
その中でも特に重要なのが、このベルジュロン・フィンダアイゼン過程です。
これは、0℃以下の雲の中で、氷の粒(氷晶)が急速に成長し、やがて地上へと落ちてくる仕組みを解き明かすものです。
このプロセスを理解するために、まずは雲の中の主役たちを見ていきましょう。
雲の中のふしぎな世界
この過程には、主に2つの異なる粒が登場します。
- 過冷却水滴(かれいきゃくすいてき):気温が0℃以下でも凍らずに、液体のまま存在する水の粒です。
- 氷晶(ひょうしょう):空気中のちりなどを核にして凍り、成長した氷の結晶です。
この2種類の粒が共存する雲の中で、不思議な「水蒸気の取り合い」が始まります。
プロセスの核心:鍵は「水蒸気の取り合い」
ベルジュロン・フィンダアイゼン過程の核心は、水と氷が同じ温度でも、空気中に含むことのできる水蒸気の量が違うという物理法則にあります。
簡単に言うと、氷は水よりも少ない水蒸気で「満腹」になります。

少ない量で満腹になるイメージ図です。
下の図を見てみましょう!



上の図のように、飽和水蒸気量に差があると・・・
次のようなことが起こります。

このため、雲の中の空気が水滴にとっては「ちょうど良い」状態でも、氷にとっては水蒸気が「多すぎる(過飽和な)」状態になります。
この状態を解消するため、空気中の水蒸気はどんどん氷晶の表面に付着し、氷晶は急速に大きくなっていきます。
氷の粒が大きくなるまで
では、この「水蒸気の取り合い」がどのように進行し、最終的に雨や雪になるのか、そのプロセスを追ってみましょう。
- 共存: 0℃以下の雲の中に、過冷却水滴と氷晶が混在しています。
- 蒸発: 周りの水蒸気が氷晶に吸い取られるため、水滴は水蒸気を失って徐々に蒸発し、小さくなっていきます。
- 成長: 蒸発した水蒸気がさらに氷晶に付着し、氷晶はどんどん大きくなります。このとき、他の過冷却水滴と衝突して合体することもあります。
- 落下: 十分に成長して重くなった氷晶は、やがて重力に逆らえずに落下し始めます。
- 降水: 落下中に気温が0℃以上の層を通過すると、氷晶は溶けて雨になります。気温が低いまま地上に達すれば、雪として降り積もります。
まとめ
過冷却水・水蒸気・氷晶が共存する状態では――
- 水蒸気の飽和水蒸気圧は「氷」よりも「水」の方が高い
- つまり、水蒸気は「氷晶」に向かってどんどん移動(昇華)し、
- 結果として、氷晶がどんどん成長し、過冷却水滴は小さくなる
これは、冷たい雨の基本メカニズムの「氷晶過程」です。
成長した氷晶はやがて落下し、途中で融ければ雨、融けなければ雪や霰となります。
このベルジュロン・フィンダアイゼン過程は、地球の中・高緯度地域で降る雨や雪の大部分を説明する、非常に重要なメカニズムです。
私たちが普段見ている空の現象の裏には、このような緻密な物理法則が隠されているのですね。
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