
ーここでわかることー
▶︎ブリューワー・ドブソン循環とは
▶︎ブリューワー・ドブソン循環は何に役立つ循環なのか
▶︎どのようにして発見されたのか(歴史)
▶︎天気予報にどのように関係しているのか
教科書・テキストで見たことはあるけど、「ブリューワー・ドブソン循環」って結局なんだっけ?
理科の教科書あるあるですね。
言い慣れないカタカナ名+説明を読んでもイマイチ「???」となってしまうことも多い名称の一つです。
今回は、どうもイメージをし難い「ブリューワー・ドブソン循環」について、霧が晴れるような解説をするよう努めますので、どうぞ最後までご覧ください!
※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。
ブリューワー・ドブソン循環とは
ブリューワー・ドブソン循環(Brewer-Dobson circulation)とは、成層圏の下層における子午面循環のことであり、大気の大規模な循環のこと。
ものすごく簡単に説明すると、低緯度(赤道付近)で対流圏からわき上がってきた空気が両極(北極・南極)へ向かって移動し、中・高緯度で下降して対流圏に戻るという成層圏の循環です。
ブリューワー・ドブソン循環の役割
ブリューワー・ドブソン循環の役割は、低緯度で生成されたオゾンを高緯度へ運ぶこと。
ブリューワー・ドブソン循環は、熱帯域で生成されたオゾンを高緯度(北極・南極方向)へと輸送する重要な役割を担っています。
低緯度から高緯度へオゾンが運ばれることによって、極域のオゾン層が維持されます。
そしてオゾン層によって、地球を有害な紫外線から守っているのです。
さらに・・・ブリューワー・ドブソン循環の上には、夏極から冬極への流れがあり、オゾンを生成しにくい冬極の高緯度にもオゾンは運ばれます。
他にも…オゾン以外に水蒸気やエアロゾル、その他の微量な化学物質なども運んでいて、ブリューワー・ドブソン循環は成層圏の化学組成や気候にも影響を与えているのです。
この循環が「ブリューワー・ドブソン循環(BD循環)」と呼ばれているのは、ブリューワー氏とドブソン氏により発見されたためなのですが、一緒に仲良く研究していたということではありません。(※仲が悪かったわけでもありません!)
それぞれが研究していく中で発見された・・・というのが真相です。
では次で、このブリューワーさんとドブソンさんの物語(循環がどうやって発見されたのか)をお話ししましょう。
この循環が発見された歴史
ここでは、アラン・ブリューワー氏とゴードン・ドブソン氏の略歴と、ブリューワー・ドブソン循環の発見につながった経緯を簡単にご紹介します。
ブリューワー氏
1915年、カナダで生まれたアラン・ウェスト・ブリューワー氏は、奨学金でロンドンの大学に進学。
物理学者、気象学者であり、1937年から英国気象庁に勤務していました。
第二次世界大戦中、イギリス空軍のために飛行機雲を研究。
飛行機雲の研究中に、成層圏がそれまで考えられていたよりずっと乾燥していることを発見。
さらに、熱帯域で対流圏から成層圏へと空気が流入し、極域へと移動する循環があることを示唆しました。(1949年)
ドブソン氏
1889年にイギリスで生まれたゴードン・ミラー・ボーン・ドブソン氏は、ケンブリッジ大学を卒業。
物理学者、気象学者、オゾンに関する研究の第一人者です。
ドブソン氏は大気中のオゾンの研究をしていた中で、オゾンが熱帯域で生成され、極域へと輸送される必要があることを示唆し、その輸送機構として大気の循環を提唱しました。(1956年)
先にブリューワー氏が水蒸気の移動パターンを発見し、続いてドブソン氏がオゾンの移動パターンを発見・・・という経緯があり、現在提唱されている「ブリューワー・ドブソン循環(BS循環)」に繋がっています。
ちなみに・・・
ブリューワー氏もドブソン氏もオゾンを観測する分光光度計を開発し、日本の気象庁でも使っています。
天気予報に関係してる?
ブリューワー・ドブソン循環は、直接今日や明日の天気予報に関わっているわけではないが、長期的な気候変動などの観測に役立っている。
成層圏と対流圏は相互に影響を与え合っています。
ブリューワー・ドブソン循環は、成層圏の動態を理解する上で重要で、成層圏の変動が対流圏の気象パターンに影響を与える可能性も考えられます。
また、気候変動によってブリューワー・ドブソン循環が変化すると、オゾン層の分布や成層圏の温度構造が変わり、それが地上の気候にも影響を与える可能性があります。
まとめ
ブリューワー・ドブソン循環(Brewer-Dobson circulation)とは、成層圏の下層における子午面循環のことであり、大気の大規模な循環のこと。
ブリューワー・ドブソン循環によって、低緯度で生成されたオゾンを高緯度へ運ばれています。
アラン・ブリューワーさんとゴードン・ドブソンさんによって発見されました。
ブリューワー・ドブソン循環は、直接今日や明日の天気予報に関わっているわけではないですが、長期的な気候変動などの観測に役立っています。
水蒸気の研究とオゾンの研究の合わせ技で、対流圏から成層圏にかけての大きな循環の発見につながったのですね。
直接観測できる地上ではなく、高い空の上で何が起きているのかを研究してきた先人に感謝です。
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