頻度が高いわけではないけれど、過去に記事欄の読み取り問題が出題されたことがあります。
覚えておくべきは、以下の4つです。
- 記事欄の記号(大気現象の記号)
- 記事欄で使用している現象の強度
- 観測装置の記録を用いて観測する場合で、大気現象の判別が困難な場合の記号
- 記事欄の記入例を読み方
そもそも記事欄とは?
「記事欄」とは、地上気象観測原簿や天気図などで、通常の観測要素(気温・風・気圧など)に加えて、
特記すべき現象や気象状態を補足的に記録する欄のことを指します。
たとえば、
- 「雷鳴あり」
- 「霧発生」
- 「降雪始」
- 「虹出現」
など、定常観測項目では表しきれない現象や注記を記入します。
記事欄は、特記すべき現象(例:雷・霧・降雪など)があった場合にのみ記入する補足欄です。
そのため、快晴や特に現象がない安定した天気の日には「無記載」、つまり空欄となるのが通常です。
記事欄はあくまで「通常観測項目以外の特記事項」を記すためのものであり、現象がなければ何も書かない、という扱いになります。

天気の悪かった日の記録を見てみましょう!
具体的には・・・
気象庁ホームページの「ホーム>各種データ・資料>過去の気象データ検索」で、地域や年月日を指定すると見れます。
引用元:気象庁 過去のデータ検索 東京(東京都) 2025年10月15日 (1時間ごとの値)
下記に示す記号の意味などは、同じく気象庁の「天気欄と記事欄の記号の説明」で確認しましょう。
- 記事欄の記号(大気現象の記号)
- 記事欄で使用している現象の強度
- 観測装置の記録を用いて観測する場合で、大気現象の判別が困難な場合の記号
では次に、記事欄の読み方について説明します。
記事欄の読み方
気象庁の「天気欄と記事欄の記号の説明」には、「記事欄の記入例」の記載がありますが、ここでは、より噛み砕いて説明します。
まず、大まかな読み方は以下の通り。

では記入例の1つ目から読んでみましょう。
例1

数字は時刻を表していることがわかります。
は大気現象の「雨」で、
は「みぞれ」です。
「前」は文字通り、その前の時間を表しています。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

この記事欄でややこしく感じるのは「前」だけですね。
「前」と記載があることで、11時にはすでに「みぞれ」ではなく「雨」に変わっていたことを読み取れます。
例2

数字は時刻、
は大気現象の「雨」、小さな数字は現象の強さと時刻を表しています。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

降水の強さが変わった場合、強さと時刻を示すということがわかります。
例3

「ー」は前日より続いていること、「|」は前1時間からの変化があったこと
は大気現象の「雨」、小さな数字は現象の強さと時刻、大きな数字は時刻を表しています。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

前日より引き続き雨が降っており
2時から3時の間に降水の強さが変化し(強くなった)
3時の観測時点では強さ1の雨が降っていた。
5時から6時にかけて変化はなく
6時の観測時には強度が0。
7時30分には雨が止む。
- 「
-」: 前日からの継続を示します。 - 「
|」: 降水が強くなったり、弱くなったりした変化点を示唆する場合があります。
この場合、| は「強くなる」という現象そのものを表す記号ではなく、強さの変化があったことを示す区切りや区間を示す記号として機能していると解釈するのが一般的です。
※変化の度合い(強くなったのか、弱くなったのか)は、その前後の記号や、過去の観測記録との比較によって判断されます。
例4

大きな数字は時刻、
は「ふぶき」、小さな数字は現象の強さと時刻、「|」は変化点、「ー」は継続のことです。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

15時10分にふぶき発現。
17時から18時にかけて変化(弱くなった)
18時の観測時には強度が0。
その後も継続。
※現象記号の右に付されている「|」は、定められた観測時刻の前1時間内における現象の強度が、以前より弱くなったことを表す。
同じ記号でも、「強くなったのか、弱くなったのか」は、前後の文脈から読み取ります。
例5

「前」と大きな数字で、「その時刻にはすでに」という意味。
は「しゅう雨」。
「)(」は、観測場所にはないけれど、およそ5km以上の視界内に、現象(しゅう雨)があること。
(E)は東、小さな数字は時刻、「ー」は継続のことです。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

5時40分に
およそ5km以上の「東方」視界内にしゅう雨が降っているのを発見。
6時の観測時までに変化はなく
6時20分に終了。
※現象記号を囲む「)(」は、観測場所にはないが、視界内(およそ5km以上)に現象があることを表す。
例6

「前」と大きな数字で、「その時刻にはすでに」という意味。
は「霧」。
「()」は、観測場所にはないけれど、およそ5km未満の視界内に現象があること。
(E)は東、「ー」は継続のことです。
これらの情報をまとめると、以下のように読み取れます。

8時10分に
およそ5km未満の「東方」視界内に霧を発見。
8時40分には終了していたことを発見。
※現象記号を囲む「()」は、観測場所にはないが、視界内(およそ5km未満)に現象があることを表す。

- 現象記号を囲む「)(」は、観測場所にはないが、視界内(およそ5km以上)に現象があることを表し
- 現象記号を囲む「()」は、観測場所にはないが、視界内(およそ5km未満)に現象があることを表します。
最初は紛らわしいと感じますが、意外と単純でしょう?
さいごに
ここで紹介した記事欄の読み方は、受講生の方々からも度々質問される分野です。それほど出題頻度が高い訳ではありませんが、過去の試験に登場したこともあり、読み方の基本は押さえておきたいところです。
気象予報士アカデミーでは、受講生からの記事欄の読み方のような質問にもお答えしていますし、トラフや前線の記入のコツ、記述式問題についても指導させていただいています。
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