空気が等温位面を移動する理由(気象予報士試験受験者向け)

なぜ空気は等温位面を移動するか・・・?

え、ちょっと待ってください!

その前に、等温位面もイメージできません!

デミー先生
デミー先生

わかりました。

例え話を使って詳しく解説しましょう。

空気が上空を移動するとき、まるで透明な階段や坂道に沿って動いている—そんなイメージを持ってみてください。

気象学では、この「透明な坂道」のことを「等温位面(とうおんいめん)」と呼びます。
これは、「本来の温かさが同じ」空気の層を結んだものです。

なぜ空気はこの「等温位面」を外れずに移動するのでしょうか?
その秘密は、空気が持つ「温位(エネルギー)」が大規模な流れの中では変わらないという、大気のシンプルなルールにあります。

この記事では、難しい専門知識は一切不要です! 「等温位面とは何か」から「空気がその上を移動する納得の理由」まで、ロープウェイやミルフィーユなどの楽しい例え話で、一気に理解してしまいましょう!

※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。

等温位面ってナニ? — 魔法の温度「温位」を知ろう

私たちが住む地球の大気は、場所によって温度気圧が違います。

  • 地上は温かくて気圧が高い(空気が詰まっている)。
  • 上空は冷たくて気圧が低い(空気がスカスカ)。

空気が上に上がると、気圧が低くなるので膨張して冷たくなります。
逆に、空気が下に降りると、気圧が高くなるので圧縮されて温かくなります。

つまり、空気が場所を変えるたびに温度が変わってしまうため、ただの「温度」だけでは空気の性質を比べるのが難しいんです。

そこで登場! 魔法の温度「温位(おんい)」

気象学では、この問題を解決するために「温位」という特別な温度を使います。

温位とは

「その空気を、もし基準の高さ(気圧1000hPa)まで持ってきて膨らませたり縮ませたりしたとき、何度になるか?」を計算して求めた温度のことです。

たとえ空気の塊が上空に移動して冷たくなっても、温位は変わりません。

温位は、その空気塊が持っている「本来の温かさ」や「エネルギー」を示す、いわば空気のIDカードみたいなものなのです。

等温位面とは? — 空気の温かさが同じ階層

「等温位面(とうおんいめん)」とは、温位がぴったり同じ場所を、大気の中で結んだ面(層)のことです。

イメージしてみてください。

  • 等温位面 300℃:温位が300℃の空気が作る層
  • 等温位面 310℃:温位が310℃の空気が作る層

私たちが感じる普通の温度(気温)は、地上で熱せられると確かに高くなります。しかし、温位は少し違います。

地上で強く温められた空気の温位は高くなりますが、大気全体としては、温位という固有のエネルギーの小さい層が下に、固有のエネルギーの大きい層が上に、安定して重なろうとします。

そのため、等温位面は一般的に、下の方に「温位が低い面」があり、上の方に「温位が高い面」が重なった、巨大なミルフィーユのような層になっています。

地上で温められた空気ほど温位が高くなるので、等温位面は一般的に、下の方に「温位が低い面」があり、上の方に「温位が高い面」が重なった、巨大なミルフィーユのような層になっています。

空気が等温位面を移動する理由 — 「断熱的な動き」

さて、いよいよ本題です。なぜ空気はこの等温位面の上を動くのでしょうか?

その答えは、大気の「断熱的な動き」にあります。

外からの熱が加わらない「断熱的」な動き

大規模な空気の動きを考えるとき、気象学では特別な場合を除いて、空気は「断熱的」に動くと考えます。

断熱的とは

空気塊が移動する間、周囲から熱を受け取ったり、熱を外に逃がしたりしないこと

(水が蒸発したり、雲になったりする現象はここでは無視します)

私たちが住む空間の空気は、広大な宇宙から見れば、外側に断熱材が貼られた魔法瓶の中身のようなものです。

温位が「保存」されるから

熱の出入りがない(断熱的)ということは、その空気塊の「本来の温かさ(エネルギー)」が変わらないということです。

つまり、空気塊が移動しても温位は一定に保たれます(温位が保存される)。

思い出してください。
等温位面は「温位がぴったり同じ場所を結んだ面」でしたよね。

温位が変わらない空気は、温位が同じ層、すなわち等温位面から外れることができないのです。

例えるなら「温かいロープウェイ」

この現象は、まるで空気塊が「温かいロープウェイ」に乗って移動しているようなものです。

1. 等温位面 = ロープウェイの(透明な)レール

透明なレール(等温位面)は、温位を表しています。
冒頭でお話しした、「透明な坂道」のことです。

2. 空気塊 = ロープウェイの乗客

乗客(空気塊)は、移動している間、このロープウェイのレール(等温位面)から降りることはできません。

3. 流れ = ロープウェイの動き

等温位面がもし斜めに傾いていれば、空気塊はそれに沿って昇ったり(上昇流)、降りたり(下降流)しながら移動します。

低気圧が近づいてくるとき、この等温位面が大きく傾斜することがあります。
等温位面が上向きに傾けば、温位が変わらない空気は上へ上へと昇っていき、雲や雨を降らせる原因となるのです。

まとめ

用語意味わかりやすいイメージ
温位空気の「本来の温かさ」を示す魔法の温度。空気塊のIDカード
等温位面温位が同じ場所を結んだ層。大気の温かい階層(ミルフィーユの層)
等温位面を移動する理由空気塊は、大規模な移動では断熱的に動くため、温位が保存されるから。ロープウェイのレールから降りられない乗客

空気が等温位面を移動する主な理由は、温位が空気の熱力学的な性質を代表しており、その性質が保存されるためです。

これは、温位が「空気が持つ熱エネルギーの指標」であり、異なる温位を持つ空気は性質が異なるから、という理解で間違いありません。

デミー先生
デミー先生

これからも、気象予報士試験を受験される方向けの情報を発信していきます。

悩んだとき、わからないことがあったときに、また見にきてくださいね。

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