知っておきたい!ジェット気流と偏西風の違いとは?

受講生
受講生

ジェット気流と偏西風は同じものですか?

デミー先生
デミー先生

ジェット気流は偏西風に含まれるものです。

ジェット気流と偏西風、この2つの言葉を聞いたとき、「なんとなく同じものだ」と感じていませんか?

気象予報士試験の勉強を始めたばかりだと、専門用語の多さに戸惑うことも多いはずです。
特に、上空を流れる風に関する知識は、天気予報の基本でありながら、その違いが曖昧になりがちです。

この記事では、混同しやすいジェット気流偏西風の違いを、初心者の方でもスッキリ理解できるよう、シンプルかつ丁寧に解説します。

この2つの関係性を正しく把握することは、試験合格はもちろん、日々の天気予報を深く読み解くための第一歩となるでしょう。さあ、一緒に学んでいきましょう!

※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。

1. そもそも偏西風とは何か?

偏西風とは、中緯度帯の上空で一年中西から東へ向かって吹く大規模な風のこと。

偏西風は、地球の自転と赤道付近と極付近の気温差によって生じる、大気の大循環によって発生します。

偏西風の仕組み

南北の気温差

地球は赤道付近が最も温かく、極地へ向かうほど冷たくなります。

この南北の気温差を解消しようと、温かい空気が北極(北半球の場合)へ、冷たい空気が南へ移動しようとします。

コリオリの力

地球の自転によって生じる「見かけの力」です。北半球では、この力が進行方向に対して右向きに働きます。

そのため、南から北へ向かう空気の流れが右に曲げられ、西から東へ向かう強い風、すなわち偏西風となるのです。

特徴

  • 常に吹いている: 一年を通して吹く「恒常風」です。季節によって強さや位置は変わりますが、常に存在します。
  • 蛇行する: まっすぐに吹くのではなく、南北に大きく蛇行(蛇行)しながら流れます。
    この蛇行が地上の低気圧や高気圧の動きに影響を与え、天気の変化をもたらします。
  • 上空で強い: 対流圏の上層(高度約10km付近)で特に風速が強くなります。
    この最も風速が強い部分が「ジェット気流」と呼ばれます。

偏西風の存在は、日本のような中緯度地域に住む私たちにとって非常に重要です。

西から東へ移動する低気圧や高気圧は、この偏西風に乗って動いているため、天気予報で「天気は西から下り坂になるでしょう」と耳にすることが多いのです。

2. そもそもジェット気流とは何か?

ジェット気流は、地球の対流圏上層(高度約7〜12km)に存在する、非常に強い風の帯。

長さは数千kmにも及ぶ一方、幅は数百km、厚さは数kmと比較的狭い範囲に集中しています。

特徴

  • 高速な流れ: 中心部の風速は、冬季には秒速100mを超えることもあります。この速さが、飛行機のフライト時間に大きな影響を与えるため、「ジェット」気流と名付けられました。
  • 蛇行する: まっすぐではなく、波のように南北に大きく蛇行しながら流れます。この蛇行が地上の天気や気温に大きな変化をもたらす要因となります。
  • 発生場所: 南北の気温差が特に大きい地域、つまり、暖気と寒気がぶつかり合う寒帯前線亜熱帯前線付近で発生します。この急激な気温の変化が、強い風を生み出す原動力となります。

偏西風との関係

ジェット気流は、広範囲にわたって吹く偏西風の最も風速が強い部分です。

例えるなら、偏西風が大きな河川だとすると、ジェット気流はその河川の中にある、特に流れの速い「急流」にあたります。

3. ジェット気流と偏西風の違い

ジェット気流と偏西風は密接な関係にありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

両者の主な違いを以下の表にまとめました。

特徴偏西風(Westerlies)ジェット気流(Jet Stream)
定義中緯度帯で年間を通して西から東へ吹く大規模な風偏西風の帯の中で、特に風速が速い狭い帯状の流れ。
規模地球全体を帯状に覆う、広範囲な流れ。長さ数千km、幅数百kmと比較的狭い範囲に集中している。
風速比較的穏やか
対流圏上層へ行くほど強くなる。
中心部では秒速100mを超えることもある非常に強い風
発生原因南北の気温差を解消しようとする大規模な大気循環と、地球の自転によるコリオリの力南北の気温差が特に大きい場所(前線帯)で、風速が加速された部分
位置対流圏の上層から下層まで、広範囲にわたる。主に対流圏上層(高度7~12km)に限定される。

この表からわかるように、ジェット気流は偏西風の一部です。

デミー先生
デミー先生

偏西風という「広い流れ」の中に、ジェット気流という「急流」が存在するという包含関係にあります。

単なる風速の違いだけでなく、その規模や発生原因の違いも合わせて覚えておきましょう。

4. 気象への影響

偏西風とジェット気流は、日本列島の天気や気候に決定的な影響を与えています。

偏西風の影響

偏西風の気象への影響は、大きく分けて2つ。

  • 天気の周期的な変化
  • 季節の進行

偏西風は天気の周期的な変化に影響します。

偏西風は、地上の低気圧移動性高気圧を西から東へと運びます。

このため、日本の天気は一般的に西から東へと移り変わる傾向があり、晴れと雨が数日ごとに繰り返される周期的な天気をもたらします。

また、偏西風は季節の進行にも関係しています。

偏西風は季節によって位置や強さが変わります。

夏季には北上し、冬季には南下します。この季節的な動きが、日本の四季の進行と深く関わっています。

ジェット気流の影響

ジェット気流の最も重要な役割は、その蛇行がもたらす影響です。

ジェット気流の蛇行は、上空で気圧の谷(寒気の南下)と気圧の尾根(暖気の北上)を作り出します。

ジェット気流の蛇行が大きくなると、ある地域に特定の気圧配置が長く停滞し、猛暑豪雨大雪といった極端な気象現象を引き起こします。

つまり、異常気象の原因になることもある、ということです。

ではどのような仕組みで、ジェット気流の蛇行によって猛暑や寒波となるのか、それぞれまとめます。

  • 猛暑: ジェット気流が北に大きく蛇行し、日本上空が暖気の塊である高気圧に覆われ続けると、記録的な暑さになることがあります。
  • 大雪・寒波: ジェット気流が南に蛇行し、大陸からの強い寒気が流れ込みやすくなると、日本海側を中心に大雪や厳しい寒さをもたらします。
デミー先生
デミー先生

このように、偏西風が日本の天気全体の「流れ」を司るのに対し、その中を高速で流れるジェット気流は、特に天候の変動異常気象に直接的に関わっているのです。

5. 試験対策

試験対策として「偏西風」と「ジェット気流」で必ず押さえておくべきポイントを整理しました。

偏西風

  • 中緯度帯で一年を通じて卓越する西風。
  • 原因:熱帯と極の気圧差+地球の自転によるコリオリ力。
  • 冬は強く、夏は弱い季節変化がある。
  • 蛇行して「長波・短波(ロスビー波)」を形成し、天気の変動に影響。

ジェット気流

  • 偏西風帯の中でも特に風速が強い帯状の流れ(最大 30〜70 m/s)。
  • 高度 200〜300hPa 付近に出現。
  • 寒帯ジェット気流:極前線に対応、冬に強まり夏に弱まる。
  • 亜熱帯ジェット気流:対流圏界面高度が高い亜熱帯側に形成。季節変化は小さい。
  • ジェットの蛇行や分岐・合流が温帯低気圧や高気圧の発達に関わる。

試験で狙われやすいポイント

  • 偏西風の季節変化(冬強・夏弱)
  • ジェット気流の種類(寒帯ジェット/亜熱帯ジェット)とその特徴
  • ロスビー波(偏西風の蛇行)と天気変化の関係
  • ジェット気流が低気圧の発達や移動に与える影響

まとめると
「偏西風=中緯度に常に吹く西風」「ジェット気流=その中の高速帯」
この関係を明確に押さえ、種類・季節変化・天気への影響を説明できることが試験対策になります。

6. まとめ

偏西風とは、中緯度帯の上空で一年中西から東へ向かって吹く大規模な風のこと。

ジェット気流は、地球の対流圏上層(高度約7〜12km)に存在する、非常に強い風の帯のこと。

ジェット気流は偏西風の一部

偏西風という「広い流れ」の中に、ジェット気流という「急流」が存在するという包含関係にある。

気象への影響は

  • 偏西風:天気の周期的な変化や季節の進行にも影響します。
  • ジェット気流:猛暑や豪雨、大雪といった極端な気象現象を起こすことがあります。

試験対策には、高度・スケール、原因、影響する現象について覚えましょう。

また寒帯前線ジェット気流や亜熱帯ジェット気流についても、しっかり答えられるようにしましょう。

  • 寒帯ジェット気流:極前線に対応、冬に強まり夏に弱まる。
  • 亜熱帯ジェット気流:対流圏界面高度が高い亜熱帯側に形成。季節変化は小さい。

ジェット気流と偏西風の関係性、そして気象への影響について、理解が深まったでしょうか?

一見難しそうに見える気象の知識も、一つひとつ丁寧に紐解いていけば、必ず「なるほど!」と腑に落ちる瞬間がきます。

そして今日学んだことは、天気図を読み解き、天気の変化を予測するための強力な武器になります。

焦らず、自分のペースで着実に知識を積み重ねていけば、気象予報士への道はきっと開けます。
今日の学びを自信に変えて、これからも頑張ってください!応援しています。

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