※気象予報士試験受験生向けの記事です。

南岸低気圧について勉強しているんですが
冷たい空気の温度がさらに下がるのは、降水のせい???
ちょっと何言ってるのかわからないですー°(°´ᯅ`°)°。

大丈夫!
これは一般知識で学んだ潜熱と顕熱の知識を応用すれば
わかるようになりますよ。
気象予報士の勉強で、「南岸低気圧による降雪時、降水によって地上の冷気層が強化される」という現象は避けて通れません。
しかし、雪や雨が溶ける際に「潜熱を吸収する」という説明は、多くの方にとって直感に反し、大きな混乱の元となります。
「雲ができるときは潜熱を放出(温める作用)なのに、なぜここでは吸収(冷やす作用)なのか?」
この素朴で本質的な疑問は、熱の役割と現象が起きる場所を整理すれば解消します。この記事では、大気中で「温める作用」と「冷やす作用」という正反対の現象が、上下で分担されることで南岸低気圧の雪が降るメカニズムを、熱力学の基本原理から分かりやすく解説します。
潜熱の二つの顔:放出と吸収
「潜熱(せんねつ)」とは、水が状態変化(固体・液体・気体)するときに、周囲とやり取りする熱のことです。この潜熱が、気象現象においては正反対の二つの役割を担います。
潜熱の役割 | 状態変化 | 熱の動き | 効果 |
---|---|---|---|
温める役割 | 凝結・昇華(水蒸気→ 水・氷) | 潜熱を周囲に放出 | 雲の中の空気を暖め、上昇を強化する |
冷やす役割 | 融解・蒸発(氷→ 水 →水蒸気) | 潜熱を周囲から吸収 | 周囲の空気を冷やす |
南岸低気圧の降雪プロセス:熱の役割分担
南岸低気圧による降雪は、この潜熱の二つの顔が、大気の上下層で分担されることで成立しています。
【上空】雲の生成・発達 → 潜熱を放出(暖まる)
低気圧から流れ込む暖湿気が、地表の冷気層の上に滑り上がり(滑昇)、上昇過程で雲を生成します。
- 水蒸気が凝結: 暖かい水蒸気が冷やされ、水滴や雪の結晶になるとき、水蒸気が持っていた潜熱(凝結熱)を周囲の空気中に放出します。
- 結果: 雲の中の空気が暖められ、上昇流が維持・強化されます。これが、降水(雪)を安定して供給し続ける原動力となります。
【下層】冷気層の強化 → 潜熱を吸収(冷える)
上空でできた雪が、地表付近の冷気層へ落下するとき、「雨から雪へ」と変えるための決め手となる冷却現象が起こります。
融解による冷却
落下してきた雪が、途中で 0℃以上の空気層を通過し溶けて雨粒になるとき、雪は周囲の空気から大量の熱を奪います。
この現象が、周囲の空気を急激に冷却し、地表の冷気層をさらに厚く、冷たく強化します。
蒸発による冷却
落下中の雨粒が、冷気層内の乾燥した空気に触れて蒸発するときにも、潜熱(気化熱)を周囲から奪い、冷却効果に貢献します。(これは空気の持つ顕熱を奪うことになります。)
この冷気層の強化によって、雪が溶ける層(融解層)が地表まで下がり、雪が溶けずに地上に到達できるようになるのです。
超簡単なイメージ:雨粒の「熱泥棒」

この複雑なプロセスは、空気分子の視点で見るとシンプルです。
地表近くの冷たい空気は、まるで熱という名のエネルギーを貯め込んだ貯金箱です。
- 上空から降ってきた雪が、途中で溶けようとするとき…
- 「溶けるためのエネルギーをくれ!」と、周囲の空気から熱を強引に奪います(水にとっては潜熱の吸収であり、空気にとっては顕熱を奪われること)。
- 熱を奪われた周囲の空気は冷たくなり、地上の冷気層は自己強化されます。
この「熱泥棒」のメカニズムこそが、南岸低気圧による降雪の予測を難しくする、最も重要な要因です。

降雪時の冷却効果を説明するために、あえて「熱泥棒」という強い言葉を使いました。
物理学的には、水分子が状態変化に必要なエネルギー(潜熱)を周囲の空気(顕熱)から受け取っているという、中立的な熱の移動に過ぎません。
雨粒さん、ごめんなさいね。 😥
この強烈な冷却作用は、他の現象でも重要な要素になります。
ぜひ、このイメージを使って、潜熱の知識を確実なものにしてください。
さいごに
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