彩雲のひみつ!あなたの空でも見られる珍しい現象

空を見上げると、そこにはいつも違う表情があります。

青い空、白い雲、夕焼けのグラデーション…しかし、ごく稀に、そのどれとも違う、息をのむほど美しい「彩雲」に出会うことがあります。

まるで絵の具を散らしたような鮮やかな色彩が雲を彩るこの現象は、「幸運の兆し」とも言われ、見た人に感動を与えます。

この記事では、そんな神秘的な彩雲のメカニズムから、見つけやすい条件、そして撮影のコツまで、彩雲のひみつを徹底解説します。
もしかしたら、今日あなたの空にも、虹色のサプライズが現れるかもしれません。

さあ、一緒に彩雲の魅力に迫りましょう!

※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。

彩雲とは?

「彩雲(さいうん)」とは、太陽の近くにある雲が、虹のように色づいて見える現象のこと。
これは「回折(かいせつ)」という光の性質によって起こる。

彩雲はその名のとおり、鮮やかに空を彩る雲で、瑞雲(ずいうん)や慶雲(けいうん)、景雲(けいうん)、紫雲(しうん)とも呼ばれ、古くから吉兆の前触れ、しるしとされてきました。  

この彩雲、太陽の光が、雲の中にある小さな水滴や氷の粒に当たると、光がわずかに曲がり(回折し)、その結果、特定の方向に色が分かれて見えるのです。雲の粒が均一で小さいほど、はっきりした色が現れます。

見える位置や時間帯によって違いますが、雲の縁がピンクや緑、青など、虹のようにカラフルに輝いて見えることがあります。

これはとても珍しい自然現象で、「吉兆」とも言われることがあります。

彩雲は吉祥模様(きっしょうもよう)として、古来よりきものや帯の柄にも取り入れられきました。
(※吉祥模様:めでたいこと、縁起のよいこと、幸福を願う心に合った文様のこと。)                                    

彩雲の基本的な仕組み/メカニズム

彩雲の仕組み・メカニズムは、主に光の回折(かいせつ)による。
虹とは仕組みが違う。

彩雲は、雲が虹色に色づいて見える美しい自然現象です。
その仕組み・メカニズムは、主に光の回折(かいせつ)によって説明されます。

彩雲の仕組み・メカニズム

光の回折

雲を構成しているのは、小さな小さな水滴(雲粒)たちで、微小水滴や微小氷晶(氷の結晶)のこと。

この雲粒(うんりゅう)の半径は約0.01mm前後と言われています。

ちなみに、人間の髪の毛は半径約0.05mmなので、雲粒は髪の毛1本の太さよりも、小さな小さな粒なのですね。

この小さな粒たちがたくさん集まって、雲が構成されています。

でも、カラフルに輝く彩雲と違って、私たちがイメージする雲は一般的に白や灰色ですよね。

彩雲は雲そのものが光り輝いているようにみえますが、実は光の回析現象によるもの。
「光の回析」とは、光の波(波長)が障害物にあたるとき、その背後に波が回り込む現象です。

光の回析

簡単に言うと、雲粒に太陽の光(主に可視光線)が回り込み、その度合いが光の波長によって異なるため、おきている光学現象なのです。

色の分離

太陽光は、様々な波長(色)の光が混ざり合ってできています。

光の回折の度合いは、光の波長(色)と水滴の大きさによって異なります。波長の長い赤い光は波長の短い青い光よりも大きく回り込みます。

  • 光の波長が長い(赤):障害物の背後に回り込む角度が大きくなる
  • 光の波長が短い(紫や青):障害物へのは回り込みが浅くなる

この回折の性質により、水滴を通過した光は、色(波長)ごとに異なる角度に分散されます。

そのため、私たちの目に届く光が色ごとに分かれて見え、虹色のように輝いて見えるのです。

雲粒の均一性

雲の縁は雲粒がどんどん蒸発していくのでサイズが小さく、中央部とくらべると雲粒の大きさが異なります。

波長の長さの違いに加え、雲粒のサイズが不揃いのため、色の並び方が不規則になり、グラデーションのように見えるのです。

レンズ状の雲(レンズ雲)の場合は雲粒の大きさが揃いやすいため、大規模でなめらかな彩雲が見られることがあります。

虹との違い

彩雲も虹も「虹色」に見える現象ですが、そのメカニズムは異なります。

彩雲

雲の水滴による光の回折によって生じます。太陽の近くの雲に見られます。

空気中の大きな水滴による光の分散(屈折と反射)によって生じます。
太陽を背にした反対側の空に見られます。

どんな条件なら見れる?

彩雲はどんな条件なら見れるのでしょう?
知っていれば、「今日は彩雲を見れるかも!」と空を見上げるのが楽しくなります。

彩雲を見れる天気は?

彩雲が見られる天気は、基本的には晴れた日、あるいは薄曇りの日がチャンスです。
重要なのは、以下の条件が揃っていることです。

  1. 【太陽が出ていること】 彩雲は太陽光が雲粒を回折することで発生するので、太陽が雲に隠れていないことが大前提です。
  2. 【薄い雲が空にあること】 雲の種類としては、巻積雲(うろこ雲、いわし雲)や高積雲(ひつじ雲)、あるいは積雲(綿雲)の縁といった、水滴でできた薄い雲が理想的です。厚い雲では光が回折しにくいため、見えにくいです。
    巻積雲高積雲積雲
  3. 【太陽の近くに雲があること】 彩雲は、太陽のすぐ近く、視角度で10度以内の空にある雲に現れやすいです。

具体的な天気パターン

高気圧に覆われて晴れているが、上空に薄い雲が広がっている日

地上は晴れていても、上空に薄い巻積雲や高積雲が流れているような日は、彩雲を見る絶好のチャンスです。特に、空全体が真っ青ではなく、うっすらと雲がかかっているような状況が狙い目です。

晴れているが、モコモコした積雲が点在している日

積雲の縁など、薄い部分に彩雲が現れることがあります。

レンズ雲が現れるような上空の風が強い日

レインボー色に輝く大規模な彩雲(光冠を伴うもの)は、このような雲によく見られます。

反対に、彩雲が見えにくい天気

厚い雨雲に覆われた日

雨雲は水滴が大きく、光の回折が起こりにくく、また太陽光が届きにくいので、彩雲はほとんど見られません。

雲一つない快晴の日

雲がないため、彩雲の元となる雲粒が存在しません。

つまり、彩雲を見たいなら、「青空の中に、太陽の近くに薄くてきれいな雲が浮かんでいる日」を探すのがポイントです。日差しはあっても、空全体が真っ青ではない日、というイメージが近いかもしれません。

彩雲と天気の関係/この後どんな天気になる?

彩雲が見られた後の天気は、一概に「こうなる」とは断言できませんが、いくつかの傾向があるようです。

一般的に、彩雲が見られるような巻積雲や高積雲は、高気圧の縁や、低気圧が接近する初期段階で見られることが多い雲です。
そのため、以下のような天気の変化が予想される場合があります。

  1. 天気が下り坂になる可能性(雨の兆候):
    • 彩雲が見られるような薄い雲が、その後低気圧の接近に伴って厚みを増し、雨雲に変化していく過程を示唆していると考えられます。
    • 特に、西から彩雲が見える雲が近づいてくる場合、低気圧や前線が接近している可能性があり、数時間後から翌日には天気が崩れることがあります。
  2. 晴天が続く可能性(上空の安定):
    • 一方で、単に上空の湿度が一時的に高く、光の条件が揃っただけで彩雲が見えることもあります。この場合は、その後も晴天が続くことがあります。
    • 特に、積雲の縁などに見られる一時的な彩雲は、必ずしも天気の変化を伴うわけではありません。

つまり・・・

いわゆる温暖前線が近づく場合に見られる雲のパターンの場合、その後雨が降るかもしれない。

しかし低気圧や前線通過とは関係のない積雲などの雲の場合、その後も晴れが続くかもしれない。

要するに、「彩雲を見れたら…」のような天気予報はできないということです。

さいごに

空を見ていると、一つとして同じ形の雲はありません。空を見上げていると、その時の大気の状態や湿り具合、風が吹いてくる方向や速さ、前線の接近など多くのメッセージを雲が伝えてくれます。

時にはこのように、風でたなびく彩雲も見られますよ

「彩雲」に出会うには、ちょっとしたコツとタイミングが必要ですが、たまにはのんびりと空を見上げてはいかがでしょうか。

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