【水蒸気画像】強風軸を把握するための利用法

水蒸気画像の暗域は、強風軸と対応しています。

そこで受講生の方からこんな質問をただきました。

受講生
受講生

どうすれば水蒸気画像から強風軸を見つけられますか?

デミー先生
デミー先生

では水蒸気画像と強風軸について、詳しくお話ししましょう!

一見すると単なる色の濃淡に見えるこの画像の中に、実は強風軸の重要な情報が隠されています。

ここでは、水蒸気画像を読み解き、強風軸を把握するための具体的な方法を解説します。

※この記事は、当講座に在籍する気象予報士が監修しております。

水蒸気画像の基礎知識

空に雲がなくても、水蒸気もない・・・なんてことはなくて。
見えないだけで水蒸気はあるかもしれません。

そこで役立つのが気象衛星の水蒸気画像です。

水蒸気画像では、上層から中層にかけての大気中に存在する水蒸気の分布を可視化したもので、雲のない領域でも、水蒸気の様子を知ることができます。

水蒸気画像の基本的な見方

水蒸気画像で明るい領域(白い領域)には、対流圏の上層から中層に多くの水蒸気が存在し、湿っている領域を示します。

反対に水蒸気画像で暗い領域(黒い領域)対流圏の上層から中層に水蒸気が少なく、乾燥している領域を示します。

以上のことから、水蒸気画像からわかることをまとめました。↓

  1. 上層・中層の大気の流れ
    水蒸気は空気の流れに乗って移動するため、水蒸気画像のパターンを追うことで、高層の気流の様子を把握できます。特に、ジェット気流の蛇行や、低気圧・高気圧に伴う渦の動きなどを捉えることができます。
  2. 乾燥域と湿潤域の分布
    水蒸気の多い領域は雲が発生・発達しやすい場所であり、逆に少ない領域は天気が崩れにくいと考えられます。
  3. 低気圧や前線の解析
    水蒸気画像は、低気圧や前線に伴う水蒸気の分布を明瞭に示します。これにより、低気圧の発達度合いや、前線の位置、寒気の南下などを把握することができます。
  4. 強風軸の推定
    水蒸気画像の暗い領域は、上層の乾燥した空気が下降している場所に対応することがあり、ジェット気流(強風軸)の位置を推定する手がかりとなります。

水蒸気画像を見る際の注意点

水蒸気画像は、下層の低い雲や地表付近の水蒸気の状態を直接示しているわけではありません。

明るい領域が必ずしも雨雲に対応するとは限りません。
上層に水蒸気が多くても、下層の条件によっては雲が発生しないこともあります。

水蒸気画像で強風軸はどう見えるのか

水蒸気画像において、強風軸(ジェット気流の中心付近の最も風が強い領域)は、一般的に明域(白っぽい領域)と暗域(黒っぽい領域)の境界として現れます。

この明域(白っぽい領域)と暗域(黒っぽい領域)の境界をバウンダリーといいます。↓


2025年5月15日08時

気象庁ホームページ:気象衛星ひまわり水蒸気画像

なぜそんなふうに見えるの?

上空には「西から東へ」と流れる偏西風がありますね。
この偏西風は蛇行していて、「谷(トラフ)」と「山(リッジ)」の波をつくります。

ここで起きていることは・・・

  1. トラフの東側(=強風軸の南側)は、風が発散的になっており、空気が拡がるように流れるため、下から空気が補われ、上昇流が発生。
  2. 反対に、リッジの西側(=強風軸の北側)は、風が収束的で、空気が集まって沈み込む流れになる=下降流が発生

このようにして

  • 強風軸の南側:上昇流(湿潤、雲や降水が起きやすい)
  • 強風軸の北側:下降流(乾燥、水蒸気画像では暗くなる)

という分布になります。

水蒸気画像から強風軸を解析する方法

水蒸気画像から強風軸を見つけることは、実技でとても重要なポイントです。

試験で焦らないためにも、ここでしっかり学んでおきましょう。

【強風軸の解析方法(手順)】

① 「明域と暗域の境界(バウンダリー)」を見つける

  • 水蒸気画像では、上空(対流圏中~上層)の水蒸気が多い所が白く(明域)、少ない所が黒く(暗域)写ります。
  • この明暗の急な変化がある境目に注目します。

② 境界の「やや暗域側」が強風軸の目安

  • 強風軸は、バウンダリーの少し暗い側(黒い側)に位置することが多いです。
  • これは、ジェット気流(上空の強風帯)の存在を示しています。

③ 形状の「曲がり方」に注目(トラフ・リッジの解析)

  • バウンダリーが南に凸になっている所は「トラフ(気圧の谷)」、北に凸は「リッジ(気圧の山)」です。
  • トラフ東側では上昇流(明域)、リッジ西側では下降流(暗域)が対応します。
デミー先生
デミー先生

☆補足知識:「暗化」や雲の動きもヒントになります!

時系列で見て暗くなるエリア(暗化)があれば、下降流が強まっている=リッジが強まっている可能性もあります。

まとめ

水蒸気画像では、上層から中層にかけての大気中に存在する水蒸気の分布を可視化したもの。

雲のない領域でも、以下のことがわかる。

  • 上層・中層の大気の流れ
  • 乾燥域と湿潤域の分布
  • 低気圧や前線の解析
  • 強風軸の推定

水蒸気画像を見る際は、下層の低い雲や地表付近の水蒸気の状態を直接示しているわけではないことに注意。

また、【強風軸の解析方法(手順)】は以下の通り。

  1. 「明域と暗域の境界(バウンダリー)」を見つける
  2. 境界の「やや暗域側」が強風軸の目安

気象衛星画像のおかげで、上空から大きな範囲で雲や水蒸気を確認できます。

画像は美しいだけではなく、大きな範囲で大気の動きを読み取ることができるので、見ていて飽きませんね。

実際の気象予報士試験では、水蒸気画像だけではなく、高層天気図も使って強風軸を解析する場合が多いです。
ですから、ここで学んだ知識だけではなく、強風軸についてしっかり学んでおくようにしましょう。

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