みなさん、富士山レーダードーム館に行ったことありますか?
私は気象予報士になってかなりの年月がたちましたが、今回初めて行ってきました。
気象に興味がある方は絶対行ったほうがいい!テンションがあがりまくった施設でしたので館内の様子を少し紹介します。(写真掲載許可確認済みです)
富士山レーダー・富士山レーダードーム館とは
富士山レーダーは日本の10大発明とされ、故八木秀次博士らによって開発されました。
まだ日本に大規模なレーダーが少なかった頃、1959年伊勢湾台風で死者行方不明者5,000名という大災害が発生しました。
これを受けて台風の被害を減らすためにも、台風の位置を正確に把握することが社会的急務となっており、気象庁が気象レーダーを設置を促進することとなりました。
そこで選定されたのが富士山です。全方向にわたってレーダーの電波が山岳で遮られることがないという観点で、従来から測候所があった富士山測候所にレーダーを増設することとなりました。
現場の気象条件は過酷であるため、工事は難航し、レーダーの設置を請け負った三菱電機がヘリコプター輸送を行いようやく設置に成功したそうです。
この富士山レーダーのおかげで日本の気象観測の技術は大幅に進化しました。
富士山レーダーは35年間観測を続けた後、気象衛星「ひまわり」などにその道を譲って、1999年にその役目を終えて、今は隠居生活を送っています。
その富士山レーダーを保管しているのが富士山レーダードーム館です。
2022年に展示内容をフルリニューアルして、富士山レーダーの歴史や気象観測に加えて、天気予報や、防災コーナーなどが増えました!
場所は富士吉田の道の駅の隣にあって、富士山や富士五胡周辺の観光がてらに立ち寄れる立地です。
2022年にリニューアルされたとあって、どこもきれい!インスタ映えする!(と、このフォトスポットでそう思うのは予報士だけでしょうか?)
館内の様子
館内は3階建てで、
1階は映画放映のシアターと防災コーナー
2階は気象と富士山コーナー
3階は気象レーダーがあります。
しっかり見ようと思うと所要時間1時間では足らないかも…。でも、観光がてらに立ち寄るのであれば30分でも時間があれば楽しめると思います!
映画放映(シアターコーナー)
入るとすぐに流れている音楽が聞こえてきます。中は小さい映画館のようになっています。
シアターでは10分ごとに上映されている、富士山レーダードーム館の見どころ。
そして、10時、13時、15時に50分かけて上映される~富士山頂9,000人のドラマ~として、建設当時、働く人たちの苦労や、成功までを描いたNHKのプロジェクトXが放映されています。
私は時間的に観られなかったのですが、口コミサイトのトリップアドバイザーなどではこの映画が良かった!という意見が多く、「気象衛星がない時代に富士山レーダーがあることで台風予報に威力を発揮していました。まさに人命を守るためのレーダー。改めて富士山レーダーの建設秘話を知るととても心に響きます」などとコメントがありますね。
見たかった。
防災学習コーナー
防災学習コーナーは子どもにもわかりやすく、イラスト付きだったりクイズがあったり、体験型があったりと内容が濃い!
線状降水帯や、バックビルディング現象などの説明もあって、大人も勉強になります!
こうやって災害をわかりやすく、体験型で勉強できるのって大切ですよね。
台風の仕組みのコーナーでは、アイウォールやスパイラルバンドなんて気象予報士試験レベルの話も!
台風で起こる災害。これもまさに気象予報士試験に問われる内容!
気象と富士山コーナー
ここはまさに気象予報士試験の勉強になることがたくさん!
高層天気図の説明もあるではないか!
過去、最も被害が大きかった台風、伊勢湾台風コーナー
富士山レーダーが設置されるきっかけになった、伊勢湾台風の被害の規模の大きさがわかります。
実際の写真をめくって見られるなど、子どもが興味を持つ工夫がされています
天気図のコーナーも。
関東に雪を降らせる南岸低気圧パターン、急速に発達する低気圧のパターンなどは気象予報士試験でよくでる事例です。
気象衛星やラジオゾンデ、気象レーダー、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏などなど、これは学科一般、専門で出題される分野ですよね。
気象予報士を勉強している人は、こういうところに友達や家族と行って「これ、わかる」ってほくそ笑むようになりましょう。
雨量計、風速計、気圧計もいろいろボタンを押して遊べます
お天気のことわざパネルなどもあって、本当に情報が盛りだくさん!
「富士山気象観測のあゆみ」コーナーでは、富士山レーダー設置までの苦難が時系列に書かれていて、ドラマを感じます。
無事にレーダーが稼働した瞬間、「だが、泪は湧いてこなかった」かっこいい~!!
当時の富士山測候所の再現。
当気象予報士アカデミー受講生のYさんから、「暴風が吹き荒れる富士山の過酷な環境下でのミッション、大蔵省と気象庁、製造メーカーの入札を巡る駆け引きが、リアルに描かれていますよ!」とこの本を薦めていただきました。すっかり富士山スイッチが入ったので読んでみようっと。
そして富士山測候所のいま
富士山山頂の寒さ体験が面白い!
富士山レーダードーム館の人気コーナー!富士山頂の寒さが体験できるコーナーです。
2つコースがあります。
①ご来光コース
山頂付近の7月頃の体感 風速10mで体感温度マイナス15℃
②ブリザードコース
山頂付近の3月頃の体感 風速15m
風速1mにつき、体感温度は1度下がりますよね。
私はもちろん②のブリザードコースを選択。
中に入ると、富士山頂を歩く観測隊の映像が流れて、風が吹いてきて、本当に寒い!!
中で風が吹いてくる様子がわかるようにと、自撮りの動画も取ったのですが、寒さと風で顔がすごいことになってさすがにアップは差し控えます。
1分くらい富士山頂の寒さを味わった後、館内に戻ると温かさで体温が戻って体中の血がふわ~と流れる感覚でした。
富士山レーダー・富士山コーナー
富士山の特別な気候では、年間の雪の深さが。
こんなところに観測所を作る工程は本当に大変だったでしょうね…。
富士山でみられる現象コーナー。
そしてこちらが富士山レーダー!
今は観測はしてないですが、クルクル回っている姿を下から仰いでみることができます。
ここからマイクロ波をパルス間隔で射出するんですよね。
そして雨や雪の粒にあたって戻ってきた電波から降水強度などを観測するんですよね。
気象予報士を勉強する人はこのレーダーを見て、試験にはどんな知識が必要なのか、イメージしてみてください。
気象レーダーの変化コーナー。
気象レーダーは年々進化しています。気象予報士試験の専門は過去問が古くて使えないのがリアルにわかります。
階段を上って3階にたどり着くと、富士山ならではの気象現象の紹介が。山岳派が発生するから富士山には吊るし雲やかさ雲が発生しやすいんですよね!
富士山も拝めるナイスビュー!
3階は外に出ることもできます。
ちょうど雲の隙間から富士山が!
気象予報士を目指している人も、そうでない人も、大人の社会見学ができてとても楽しめるので、ぜひ行ってみてください!
富士山レーダードーム館営業情報
※2023年6月現在情報 最新情報は公式HPをご確認ください
住所 | 〒403-0006 山梨県富士吉田市新屋3-7-2 |
電話番号 | 0555-20-0223 |
営業時間 | 【営業時間】 9:00 ~ 17:00 最終入館 16:30 |
休業日 | 火曜日 |
料金 | 【 単館券:個人 】 大 人 630円 小中高生 420円 未就学児 無料 |