気象予報士試験では「ここの気圧(きあつ)は何ヘクトパスカルでしょう」などと、「気圧を知っていて当たり前」とのごとく、「気圧」が登場します。「高気圧」「低気圧」などはよく天気予報でも耳にしますよね?
では、その「気圧」とは、なんだったでしょうか?中学理科で習ってますよ!!思いだしておきましょう。
気圧とは
気圧の言葉の定義はこちら(コトバンクにリンクしています)
気圧とは、大気にどれだけ「圧力」があるか、その「圧力」がどれくらい強いのかを表しています。
また、気圧は、簡単に言えば空気の重さです。
目には見えませんが、空気にも重さがあり、私たちの体は空気から圧力を受けています。
ですので、「高気圧」の時には、とても重たい空気が頭の上にあり、一方で「低気圧」が近くにある時は体の周りの空気は軽くなっています。
日本語で「高気圧に覆われている」というと、晴れるし、なんとなく、おだやか~に感じますが、英語で言うと「Hight Pressure」=高い(大きい)プレッシャーかけられてますという意味ですよね。
そして、気象現象を考慮せずの条件ですが、一般的に私たちが住んでいる地表付近の気圧はだいたい1000hPaくらいです。一方で、富士山など高いところに登ると頭の上から宇宙までの空気は少なくなりますので、気圧は低くなります。だいたい100mごとに10hPa気圧が下がりますので、富士山山頂では気圧は630hPaくらいになります。
よく山の上に行くとポテトチップスの袋が膨らむ、という話を聞きますが、それがこの気圧の差です。
地表付近では重たい空気に押されているので、ポテトチップスの袋は膨らみません。
一方で、山の上では空気が押す力が弱いので、ポテトチップスの袋の中の空気のほうが圧力が強くなり、外に向かって動こうとするので膨らみます。
気圧を表す単位はいくつかありますが、気象予報士試験で使われる単位は「ヘクトパスカル(hPa)」です。(ヘクトは100という意味で、1hPa=100Paです)
1992年までは日本ではミリバール(mbar)を使用していましたが、今は国際単位のパスカルを使用しています。
日本付近の天気図に現れる気圧はだいたい、900hPa~1020hPaくらいの高気圧や低気圧です。
高気圧と呼ばれるのは多くは1000hPaくらい。低気圧は900hpa台が多くなります。
ちなみに、日本周辺の平均気圧は1013hPaです。
では「高気圧」「低気圧」の定義はなんでしょうか。
高気圧とは
高気圧とは、周囲よりも気圧が高く、閉じた等圧線で囲まれたところをいいます。そのため、気圧が○○hPa以上であれば高気圧というわけではありません。
周囲よりも気圧が高いものの、閉じた等圧線がかけないところは高圧部といいます。
低気圧とは
低気圧とは、周囲よりも気圧が低く、閉じた等圧線で囲まれたところをいいます。そのため、気圧が○○hPa以下であれば低気圧というわけではありません。
周囲よりも気圧が低いものの、等圧線が閉じておらず、中心が特定できないようなところは低圧部といいます。よく「気圧の谷」と天気予報で聞くことがあると思いますが、低気圧とまでは言えないまでも気圧が低い部分を「気圧の谷」と言います。
つまり、1000hPa以上が高気圧などといった決まった数値はなく、
高気圧、低気圧とは「周りに比べたら高いか、低いか」になります。
高気圧・低気圧の種類
そして、低気圧・高気圧にもさまざまな種類があります。
低気圧:温帯低気圧、熱帯低気圧(台風)、寒冷低気圧、南岸低気圧
高気圧:移動性高気圧、太平洋高気圧、オホーツク海高気圧、シベリア高気圧
気象予報士試験で使う気圧面
気象予報士試験では、地上の気圧などの情報が載っている「地上天気図」だけでなく、その上の大気の層を気圧で切り取った「高層天気図」を用いて問題が出されます。
850hpa図(高度約1500m 富士山の3合目あたり)
700hpa図(高度約3000m 富士山の7合目当たり)
500hpa図(高度約5500m 富士山を超えて、富士山を見下ろせる高さ)
高層天気図は気象庁のHPに掲載されていますので興味がある方はこちら(気象庁HPにリンク)
気象予報士試験で使われる天気図は地上天気図、高層天気図です。代表的なものをいくつか紹介します。
地上天気図
高気圧や低気圧の位置、進むスピードなど全体的な気圧配置を確認します
850hpa天気図
等温線(同じ温度を線で結んでいる)が表示されていますので、850hpaでの温度や、風向きを確認します。斜線が引いてあるのは700hpa面での上昇流があるところです。
700hpa天気図
気温と湿域を見ます。点線の箇所は湿っている=雲が発生していると判断します。
500hpa図
強風軸(上空の強い風はどこで吹いているか)を見つける時などに使います。