気象予報士試験の試験内容とは?出題方法や時間〜その詳細まで

気象予報士に興味あるんだけど、試験のイメージがわかなくて、勉強してみるかどうか迷ってます!

デミー先生
デミー先生

では、気象予報士試験について、詳細を説明しましょう。

「明日は晴れるでしょう」「大雨にご注意ください」――テレビで活躍する気象予報士の言葉に、助けられることも多いですね。

彼らが伝える天気は、私たちの生活、仕事、そして大切な予定を大きく左右します。
気象予報士は、ただ天気を当てるだけではありません。
膨大な気象データを読み解き、複雑な大気の動きを分析し、時には災害から命を守るための重要な情報を発信する、まさに「空の専門家」です。

しかし、この気象予報士という資格は国家資格であり、難関資格とも言われています。

この記事では気象予報士試験について、よくある難易度やふんわりした内容解説ではなく、具体的にしっかりイメージできるように説明していきます!

受験資格はない

受験資格は特になく、年齢、学歴、性別、実務経験を問わず誰でも受験できる国家資格です。

小学生でも、社会人でも、年齢を重ねてからでも、どんな経歴でも受験できます。(例外あり)
ただし、その合格率は例年4~6%と非常に難易度の高い試験として知られています。

ちなみに試験を実施しているのは、気象庁の業務委託により一般財団法人「気象業務支援センター」です。

試験は3科目で構成

試験は大きく学科試験実技試験の2部構成の3科目で、全てに合格する必要があります。

実技の試験って、誰かの前でテレビみたいに天気予報の解説したりするんですか?

デミー先生
デミー先生

お天気解説の実演はないですよ!

口頭試問もありません。

解答用紙に記述する形式の試験です。

では試験科目について、大まかな内容を表にまとめました。

科目内容
学科(一般)大気の構造・熱力学・放射などの自然科学の基礎知識
気象業務法の知識
学科(専門)観測、数値予報、予報手法などの専門的知識
気象災害に関する知識
実技気象概況及びその変動の把握
局地的な気象の予想
台風等緊急時における対応

各科目のもっと詳しい内容に関しては、こちらのまとめをご覧いただき、まずは試験の全体像をお伝えしていきます。

では次。上表の科目ごとの試験時間・試験形式・合格基準は以下の表のとおりです。↓

科目試験時間試験形式合格基準
学科(一般)60分選択式(15問)
マークシート
11問以上正解
学科(専門)60分選択式(15問)
マークシート
11問以上正解
実技
(実技1と実技2に分かれている)
実技1:75分
実技2:75分
記述式
解答欄に言葉、または文章で記述
天気図に記号を記入
総得点が満点の70%以上
(※難易度により調整する場合あり)

選択式でマークシートなら、私にもできるかなぁ?

選択式ということは、常に正解が見えるところにあるんだから、いくらか過去問を見て勉強すればできるかも?

では具体的にどのような選択式問題なのか、具体例をお見せします。

マークシート形式

第63回気象予報士試験 学科一般 問8より

単純に⭕️❌問題という形式ではなく、⭕️❌の組み合わせで解答します。
問題文全てが「❌」ということもあり、実際にやってみるとそれほど簡単に感じません。

「これならできそう!」と思われるか、「これは日本語?」と感じるか・・・個人差が大きいかもしれませんね。

試験時間

さて、この気象予報士試験、表にありますように試験の時間は60分、60分、75分×2で合計4時間半ですが、試験は朝から夕方までとなります。

デミー先生
デミー先生

学科試験は午前中に

実技試験は午後に実施されます。

学科も実技も受験される場合、朝から夕方まで会場で過ごすことになります。

お昼ご飯を会場の外で食べても大丈夫ですが、開始時間までに会場に帰ってくることや、お手洗いの時間も考えて行動しなければなりません。

合格基準

合格基準は、学科も実技もおよそ7割。
学科は11問正解していれば合格!と言われています。

実技試験は、各問題ごとに点数が割り振られた記述式です。
多くの場合、合格ラインは7割と言われていますが、問題の難易度によって7割以下でも合格となった試験もあります。

試験科目の免除

一般知識と専門知識を問われる学科と、応用力が問われる実技試験という3科目の試験が行われる気象予報士試験ですが、学科試験の免除制度があります。

例えば・・・学科試験の全部または一部(一般知識または専門知識)に合格した場合、合格発表日から一年以内に行われる試験では、合格した科目の試験が免除になります。(自動免除ではない。申請が必要。)

つまり、次の試験と次の次の試験で免除され、受験が少し楽になります。

このような学科免除制度があるので、一発合格できなくても段階的に合格を目指す受験生も多いです。

・・・

ここまでが一般的な免除の話。

上記で説明した免除以外では、気象業務に関する業務経歴や、その資格を持っている場合にも免除制度があります。

例えば気象大学校卒業して気象庁にお勤めであるとか、自衛隊で予報業務の経験がある方も、学科試験の一部または全てが免除となります。

資格取る前から業務経歴があるなんて羨ましいですし、気象大学校卒業と気象予報士の資格はイコールにならないんだという驚きがありますね。

受験料

気象予報士試験の受験料は安くはないですが、高くて受験できないほどではありません。
学科試験免除の場合は、その分、料金も下がります。↓

受験科目の免除受験料
免除科目なし11,400円
学科一科目が免除10,400円
学科二科目が免除 9,400円

各科目の詳細

学科試験は暗記だけでなく理解力が求められ、実技試験は、実際の天気図やデータをもとに、気象現象を「読み解き・判断し・説明する」力が問われます。

それぞれの試験でどのようなことを問われるのか、先ほど表にまとめましたが、もう少し詳しく説明します。

科目内容
学科(一般)大気の構造・熱力学・放射などの自然科学の基礎知識
気象業務法の知識(4問)
学科(専門)観測、数値予報、予報手法などの専門的知識
気象災害に関する知識
実技気象概況及びその変動の把握
局地的な気象の予想
台風等緊急時における対応

学科試験・予報業務に関する一般知識

気象学の基本的な内容から、気象予報業務に関する知識を問われます。

気象業務支援センターより引用させていただいた、試験内容です。↓

  • 大気の構造
  • 大気の熱力学
  • 降水過程
  • 大気における放射
  • 大気の力学
  • 気象現象
  • 気候の変動
  • 気象業務法その他の気象業務に関する法規
引用:気象業務支援センター

さらにもっと具体的に説明します。

  1. 大気の構造
    • 大気は高度によって「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」に分かれる。
    • それぞれの層の特徴(気温変化、運動、水蒸気の含有量など)を学ぶ。
    • オゾン層や光解離・光電離のしくみも重要。
  2. 水の状態変化
    • 水の三態変化(氷・水・水蒸気)と潜熱の吸収・放出。
    • 湿度、飽和水蒸気圧、水蒸気密度などの理解と計算。
  3. 気圧と風の関係
    • 高気圧・低気圧、風の吹く仕組み、コリオリの力、気圧傾度力。
    • 地衡風、傾度風、循環の法則など。
  4. 放射とエネルギー収支
    • 地球の放射エネルギーの出入り(地球放射、太陽放射)。
    • 地表と大気の熱のやりとりや日射・地表温度の関係。
  5. 気象の観測
    • 気温・湿度・風・気圧・降水量などの観測方法と機器。
    • 日射量、視程、積雪などの観測も対象。
  6. 地球環境の変化
    • 地球温暖化や二酸化炭素の経年変化。
    • 温室効果ガスや人為的影響の基礎。

いずれも気象の基礎を支える重要な知識です。

15問のうち、必ず4問は「気象業務法その他の気象業務に関する法規」です。
暗記が得意な方は、ここを頑張ると有利ですね。

学科試験・予報業務に関する専門知識

気象観測に関する知識、予報技術に関する知識、気象現象や災害に関する知識を広く・浅くなく問われます。

覚える量は膨大で、初めて学ぶ場合、とてもたくさん勉強しなければなりません。
また、気象庁が予報システムを改善した場合、知識のアップデートも必要。

「この本をしっかり勉強しておけば合格する!」という教材が手に入りにくいことも、専門知識の勉強の壁になるかもしれません。

気象業務支援センターより引用させていただいた、試験内容です。↓

  • 観測の成果の利用
  • 数値予報
  • 短期予報・中期予報
  • 長期予報
  • 局地予報
  • 短時間予報
  • 気象災害
  • 予想の精度の評価
  • 気象の予想の応用
引用:気象業務支援センター

普段から「気象」や「天気予報」に興味のある人は有利だと感じます。

さらにもっと具体的に説明します。

  1. 地上気象観測
    • 気温・湿度・風・降水・気圧・積雪などの観測方法と機器。
    • 雲の分類(十種雲形)、天気記号、視程の基準など。
  2. 高層気象観測
    • ラジオゾンデによる高層の気温・湿度・風の観測。
    • 高層天気図(850hPa、500hPa、200hPaなど)の読み取り。
  3. 気象衛星・レーダー観測
    • 気象衛星画像(可視・赤外・水蒸気・雲頂強調)の特徴と利用。
    • 気象レーダーによる降水の監視と強度の判断。
  4. 数値予報と気象解析
    • 数値予報モデルの基礎、初期値と境界条件の意味。
    • 各種天気図の解析、トラフやリッジ、鉛直流の把握。
  5. 大気の熱力学・安定度
    • 断熱変化、飽和断熱減率、リフト指数など。
    • 大気の安定・不安定の判断と雲の発達条件。
  6. 力学・循環・渦度
    • 地衡風、傾度風、風の力学バランス。
    • 渦度・発散、鉛直p速度、循環の法則など。
  7. 天気の変化・気象現象
    • 前線・温帯低気圧・台風の構造と発達。
    • 降水過程、積乱雲、フェーン現象など。

実技試験の詳細

実技試験は、一般知識と専門知識を、必要なタイミングでアウトプットできるかを問われる問題です。

作図もあり、文章を記述する問題もあるので、時間が足りなくなる受験者が多い印象です。

気象業務支援センターより引用させていただいた、試験内容です。↓

  1. 気象概況及びその変動の把握
  2. 局地的な気象の予想
  3. 台風等緊急時における対応
引用:気象業務支援センター

さらにもっと具体的に説明します。

  • 気象概況及びその変動の把握: 地上天気図や高層天気図、衛星画像などを用いて、現在の気象状況やその後の変化を読み取る。
  • 局地的な気象の予報: 特定の地域における降水、風、気温などの予報を作成する。
  • 台風等緊急時における対応: 台風や大雨などの災害につながる気象現象に対し、適切な情報を提供するための判断を行う。

問題文の記載された用紙は、およそ4枚。天気図のはおよそ8枚〜10枚。

第63回気象予報士試験 実技2より

記述式で、実際に気象データ(天気図、観測データ、レーダー画像など)を読み解き、分析し、予報を立てる能力が問われます。

解答は文章、計算、作図、穴埋め、記号選択など様々で、勉強を始めて間もない方は、時間内に解答欄を埋めることも難しいかもしれません。

さいごに

気象予報士試験は、合格率が5%程度という難関試験であり、気象業務に関する幅広い知識が問われます。
しかし、この資格は単なる知識の証明にとどまりません。
合格に向けて努力する過程で培われる探求心論理的思考力、そして情報を正確に伝える力は、気象予報士としての仕事だけでなく、人生の様々な場面で役立つ財産となるでしょう。

気象予報士という職業に興味を持ち、この試験に挑戦しようと決意された皆さん、ぜひ自信を持ってその一歩を踏み出してください。
あなたの努力が実を結び、素晴らしい未来が開かれることを心から願っています。

気象予報士アカデミーでは、優れた教材だけではなく受験勉強のスケジュールから、勉強する中で生まれる疑問にもお答えしています。

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