【上空の気温が低い理由】常に不安定にならない?

ーここでわかることー
▶︎上空の気温が低い理由
▶︎上空の空気の温度が低くても対流が起きない理由

上空に上がっていくと気温が下がるとなると、上空は地上より常に気温が低いはず・・・
ということは、いつも大気の状態が不安定なのでしょうか?

その疑問はもっともです!

ずっと「暖かい空気は冷たい空気より軽く、上昇しようとする」という感覚があったと思います。
ただ気圧が関係すると、ちょっと違うんです。

そこでここでは、上空の気温が低い理由と上空の気温の方が低くても「常に不安定」ではない理由を、初めて気象を学ぶ人にも分かりやすく解説します。

この記事は当講座に在籍する気象予報士が監修しております。
気象予報士を目指す方もそうでない方も、楽しく学びましょう!

上空の気温が低い理由

上空ほど気温が低い理由は、上空ほど気圧が低いからです。

気圧が下がると、空気は膨張します。

膨張する際、空気分子の運動エネルギーが分散し、結果として温度が下がります。

標高が高いところが夏でも涼しいのは、気圧が低いからだったのですね。

上空の空気の温度が低くても対流が起きない理由

上空の気温が低くても、大気の状態が「常に不安定」ではない理由は
上空の空気の方がエネルギーをたくさん持っている場合があるから。

冬の寒い日、暖房で部屋の天井付近ばかり暖かくなり、床付近は寒い・・・みたいな経験、誰しもあると思います。

気球だって空気を暖めることで上昇するわけだし、暖かい空気は冷たい空気より軽い!というのは一般常識。
そして正しい知識です。

ただし・・・気圧が同じくらいであれば・・・とうい条件付きです。

前述しましたが、空気は気圧が下がると膨張しします。
すると以下のように気温が下がります。

気圧が下がる

空気が膨張

空気分子の運動エネルギーが分散

気温が下がる

では次に、逆のことをやってみましょう。

標高の高いところにある空気を、無理やり標高の低いところに持って降りるのです。

気圧が上がる

空気が圧縮

空気分子の運動エネルギーが増加

気温が上がる

イメージできましたか?

上空の空気を無理やり地表面付近に持って降りると、気温が高くなるのです。

上記のように無理やり持って降りた空気の温度が、地表面付近の空気の温度より高かったら…
「大気の状態は安定」と言えるでしょうし

上記のように無理やり持って降りた空気の温度が、地表面付近の空気の温度より低かったら…
「大気の状態は不安定」と言えるでしょうね。

具体的な数字で計算してみましょうか。

計算してみよう

次の条件の空気を想像してください。

標高:2000m 気温10℃

標高: 0m 気温20℃

上記に示した標高2000mにある空気を、無理やり箱か袋に入れて(熱が加わらないようにして)、標高0mまで持ってきます。

地球では、空気(乾燥している)は1000m上昇または下降する場合、約10℃変化するので・・・
この場合は2000m下降するので、20℃上昇することになります。

すると〜

【元標高:2000mの空気 気温(10℃+20℃)】
【標高: 0mの空気 気温20℃】

なんと、元標高2000mの空気が30℃もあり、標高0mの空気より暖かいではありませんか!

とはいえ、それでも地表面付近の空気の方がエネルギーが大きい場合もあるので、雲ができて雨も降るのです。

まとめ

  • 上層ほど気温が低いのは、気圧が低いため。
  • 上層の方が気温が低くても、「大気の状態は不安定」というわけではない。
  • 上層で気温が低くても、気圧を同じにすると気温が高い場合もある。

ちょっとややこしい話でしたが、お分かりいただけたでしょうか。

気象に関する学びは、身近で大変面白いです。
ぜひ他の記事もご覧になって、一緒に楽しく学びましょう。

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