受講生の方から質問です!

地衡風が高度と共に増大しているというのはどういう事ですか?
地衡風が高度と共に増大する、というのは、上空に行くほど地衡風の風速が大きくなる現象のことです
これを理解するためには、地衡風のバランスと、大気中の温度分布がどのように影響するのかを考える必要があります。
ここでしっかり学んでおきましょう!
地衡風のバランス
地衡風は、水平方向の気圧傾度力とコリオリ力が釣り合って吹く風です。
- 気圧傾度力: 気圧の高い方から低い方へ向かう力です。等圧線の間隔が狭いほど、気圧傾度力は大きくなります。
- コリオリ力: 地球の自転によって生じる見かけの力で、北半球では風の進行方向に対して右向き、南半球では左向きに働きます。風速が速いほど、コリオリ力は大きくなります。
地衡風はこの2つの力が釣り合った状態で吹いているため、風速は気圧傾度力に比例します。

高度による気圧傾度力の変化
一般的に、低緯度では気温が高く、高緯度では気温が低くなります。
大気の密度は温度が高いほど小さく、低いほど大きいため、同じ厚さの空気の柱を考えると、低緯度の方が上空の気圧が高くなるのですね。
これを等圧面で考えると、高緯度では等圧面の高度が低く、低緯度では等圧面の高度が高くなります。
高度が高くなるにつれて、この等圧面の傾き、つまり水平方向の気圧傾度が大きくなる傾向がある、というわけです。

温度風の関係
この高度による地衡風の変化を説明するのが温度風という概念です。温度風は、上層の地衡風ベクトルから下層の地衡風ベクトルを差し引いた仮想の風であり、実際の風ではありません。
温度風の大きさは、その高度間の平均的な水平温度勾配に比例します。南北の温度差が大きいほど、温度風は強くなります。
そして、地衡風の鉛直シア(高度による風の変化)は、この温度風によって表されます。
まとめ
地衡風が高度と共に増大する主な理由は以下の通りです。
- 高度と共に水平気圧傾度が大きくなる傾向がある: 低緯度と高緯度の温度差により、上空ほど等圧面の傾きが大きくなり、気圧傾度力が増大します。
- 地衡風は気圧傾度力に比例する: 気圧傾度力が大きくなるため、地衡風の風速も増大します。
- 温度風の関係: 高度による地衡風の変化は、水平温度勾配によって説明され、温度風という概念で表現されます。
特に中緯度では、南北の温度差が大きいため、上空の偏西風(西向きの地衡風の主成分)が非常に強くなります。これがジェット気流と呼ばれる強い風の帯です。
このように、地衡風が高度と共に増大する現象は、地球規模の温度分布と、それによって生じる気圧場の構造によって理解することができます。
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