気象予報士試験の勉強をしていると、「ここがよくわからない」「調べても腑に落ちない」
と感じる場面は必ず出てきます。なぜならば気象予報士試験はとにかく範囲が広く、深い知識も要求されますので、誰にでもつまづくポイントがあります。
この「わからない」への向き合い方は、独学で勉強しているか、講座を受講していて質問できる環境にあるか、
によって少し変わってきます。
このページでは、
・第1部:独学で勉強している人向け
・第2部:質問できる環境にある人向け
の2部構成で、気象予報士試験の勉強中に出てくる不明点の解消方法を整理します。
【第1部】独学で勉強している人向け
独学で勉強していると、
・質問できる相手がいない
・調べても答えにたどり着いているか、正解が分からない
・何がわからないのか整理できない
と感じることが多くなります。
これは、以下の点が理由になります。
・気象予報士試験自体、前提知識が多い
・市販テキストだと文字だけで理解をしなければならない
・過去問解説が簡潔すぎる
・過去問にも良問、悪問があって、それを自身で整理しなければならない
という特徴を持っているため、独学では不明点が残りやすい構造になっています。
独学で不明点を解消するための基本ステップ
①「どこがわからないか」を切り分ける
まずは、わからない理由を言葉にします。
・用語の意味がわからない
・現象の仕組みがイメージできない
・式の意味や使い方がわからない
・問題文の意図が読み取れない
この切り分けができるだけで、次に何を調べるべきかが明確になります。
② 1つの教材で理解しようとしない
1冊のテキストだけで理解しようとすると、どうしても行き詰まることがあります。
同じ内容でも、
・別のテキスト
・別の解説
・別の表現
に触れることで、理解が進むことがあります。気象現象はとても複雑で、作成者の解説はいろいろな観点から作成されています。
「そういう言い方もあるな」「ああいう理解の進め方もあるな」ということがテキストによっても様々ですし、正直、「あのテキストの説明はわかりづらいな」ということもあります。
ですので、「1つの情報媒体で完璧に理解しよう」としないことが大切です。
③ 図やイメージで整理する
文章だけで理解できない場合は、簡単な図を自分で描いてみてください。
・高度の上下
・温度の変化
・空気の流れ
を矢印や線で表すだけでも、頭の中が整理されやすくなります。
④ AIやWEB検索を使うときの考え方
ChatGPTなどのAIを使う場合は、「答えをもらう」ためではなく、「理解を助けてもらう」目的で使うのがポイントです。
例えば、
・中学生にもわかるように説明して
・この式が何を意味しているか言葉で説明して
・なぜこの条件でこの現象が起きるのか教えて
といった聞き方が有効です。ただし、現状のAIでは、必ず正しい回答であるとは限りません。その前提を理解して注意して活用してください。
また、日進月歩で進む気象観測や予報の技術ですので、市販のテキストやWEBでは情報が古いものも多々あります。必ず最後は、気象庁をはじめとする公的機関が発表している最新の情報を確認するようにしてください。
【第2部】質問できる環境にある人向け
気象予報士講座を運営をスタートしてから、毎日たくさん来る受講生の方からの質問を見てきました。中には、上手に質問する方もいれば、正直、質問の仕方が上手でないな、と思う方もいます。
そして、質問が上手な人は順調に勉強を進めて合格され、質問が上手でない方はなかなか合格が出来ない傾向がはっきりとしています。
ですので、効率よく合格するためにも、上手に質問方法を知っておきましょう。
講座受講で不明点を解消するための基本ステップ
①10分~15分考えてから質問をする
わからないことが起こった瞬間、すぐに質問をすると、その質問の回答が返ってきたとしても、その時にわかった気になるだけで、知識として定着させることは難しいです。
わからないことがあった時、まずは自分で解決できるかしっかり考える。
なぜわからないのか。学んだことを忘れているのか、まだ知らないことなのか、自分の今の持っている知識で解けることはないか。など、まずはしっかりとその疑問に向き合いましょう。
大事なのはわからないことがあった際に、その周りをほじくり返し、調べてる。
その行程こそが知識につながります。
しかし、自分でわかるまで頑張る!!30分くらい考える!では長すぎます。
確かに自分で考えて解決しようとする試みは大切ですが、それによって長時間使ってしまったら効率が良い勉強の仕方にはなりません。自分でトライする時間がどれくらいにするのか、が大切です。
「じゃあどれくらい悩んだら質問をすべきか?」
その一つの指標となるのが「Google人工知能チームの15分ルール」だと思います。X投稿をお借りします

Google人工知能チームの15分ルールの概要です。
最初の15分は自分で解決を試みる
15分経っても解決に至らなかった時は必ず人に聞く
前者を守らないと他人の時間を無駄にし、後者を守らないと自分の時間を無駄にする。
もちろん、すべての疑問を15分ルールに当てはめる必要はありません。もっと短くても、もっと長くても良いです。しかし、3分は短すぎますし、30分も悩むのは時間の無駄です。
「じっくり考えてみたけど、やっぱりわからない、質問しよう」という状況で、質問をして、回答が返ってきたら、それは記憶に残ります。
必ず「自分で解決するようにトライする」ステップを踏んで、実力を付けていきましょう。
次は質問の内容についてです。
②質問の内容
質問は「丸投げ」ではなく理解の確認だと思いましょう。質問するときは、
・必ず自分なりの考えやどの点がつまづくいてるを伝えるといった姿勢が大切です。
この質問をすると、講師はあなたの理解度が確認ができ、より良いアドバイスを行うことができます。
「こうなっているが、自分はこうじゃないかと考えた」という情報があれば、必ず質問内容に加えてください。ここが一番大切です。
例を挙げます。こちらは実際の質問です。


良い点1.分野と講座名がある
学科一般なのか、専門なのか、実技なのかが明示している
⇒気象予報士試験では、例えば台風であれば一般も専門も実技もあるので、どの分野か明示していると講師が確認しやすい
良い点2.疑問点箇所がある
今回はテストについての疑問ですが、何番という記載があり、疑問点箇所が明確になっている。
良い点3.「自分はこう思った」がある
自分はこう思ったが、なぜこうなるのか?という疑問を投げかけることで、この受講生の方がどういう考え方で、疑問を持ったかがわかります。
特に良い点は③番です!!!
「答えが0.25℃になるかわかりません」のような質問だと、どういうロジックで疑問に思ったのか講師に伝わりません。
一方で、「自分はこう考えた」のロジックを入れることで、どの点がわからないのかが明確になり、講師も的確な解答が出来ます。
こういう質問を続けると、「この人、前はこう考えてたから、ここの点が躓きやすいのではないか」などとサポートする側にもみなさんの苦手な点や、間違えやすい箇所などがわかるようになってきますので、よりその方に合ったアドバイスができるようになってきます。
結果、上手に質問をすることが、合格への近道に繋がります!
最後に
独学の人は、不明点を整理し、自力で解決する力を身につけることが重要です。
質問できる環境にある人は、その環境を最大限活かして、理解を深めることが大切です。
共通して言えるのは、「わからない状態を放置しないこと」。
このページが、気象予報士試験に挑戦する皆さんの学習の指針になれば幸いです。


